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激変するデジタルマーケティングに対応する、インハウス化の心得

ハイブリッドCookie時代、理想的なデジタルマーケティングの運用体制とは?

インハウス化で直面する2つの課題&解決のヒントとは?

 では、デジタルマーケティングのインハウス化を進める際、どのような課題に直面することが多いのでしょうか。ここでは、よく相談を受ける2つの課題と解決のヒントを紹介します。

 1つ目の課題は「全体ディレクションを可能にする社内リテラシーの向上」です。インターネット広告そのものの知識はもちろん、各媒体・プラットフォームの特性や最新情報など、キャッチアップしなければならない知識は無数にあります。その中からどのように取捨選択して、リテラシーを高めていくべきか、お客様から相談を受けるケースがあります。

 ただ、大切なのは知識を詰め込むことより、実際に新しい施策や技術、コンセプトを可能な範囲で試してみることです。

 PoC(Proof of Concept、概念実証)という考え方がありますが、アメリカの大手広告主は、全体のマーケティング予算の平均10~15%を新規のプラットフォームやメディア施策、テクノロジーなどへの実験に充てています。

 日本では他社が実施してみてから自社も試すという傾向が強く見られますが、このような実験では、誰も張っていないところに張ることでの先行者メリットも得られます。新規のリテールメディアと共同で広告プロダクトをつくることもあるので、取り組みを通じて広告主のリテラシーもさらに高まるという好循環が生まれやすいです。

 いずれにせよ、マーケティングに正解はないので、チーム内で意見を出し合い、試行錯誤を繰り返して改善を進めることは非常に重要です。

 2つ目の課題は「インハウス化を進める際、広告代理店・外部パートナーとの良い付き合い方がわからない」ことです。マーケティング業界にはSLA(Service Level Agreement、サービスレベルの合意)の概念がなく、特にコミッション制度(手数料)を敷いている日本では、対価の中でどこまで対応する・しないという中身の透明性が希薄です。

 コミッション制度の場合、広告費に連動してマージンも高くなるため、「こんなに広告費を払っているのだから、ここまで対応してくれて当然」という高い期待値のもとで広告代理店や外部パートナーへの丸投げ思考が生まれがちです。

 期待値のズレを防ぐためにSLAをすり合わせることはもとより、広告主側が全体ディレクション可能な体制を構築することがまず求められます。その上で、広告代理店や外部パートナーも社内のチームメンバーの一員のように密に連携すること、そして適切な目標設定を行い、順を追って運用の改善や成果創出につなげていくことが良い付き合い方と言えるのではないでしょうか。

次のページ
インハウス化の本質は、主体性を持つこと

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激変するデジタルマーケティングに対応する、インハウス化の心得連載記事一覧
この記事の著者

杉原 剛(スギハラ ゴウ)

アタラ株式会社 代表取締役CEO
ノバセル株式会社 エグゼクティブディレクター

KDDI、インテルを経て、オーバーチュア(現Yahoo!検索広告)、Google日本法人で広告営業戦略を担当。2009年にマーケティングのコンサルティングサービスやツールを提供するアタラを創業。プラットフォーム広告、リテールメディアなどの最新情報を発信する、日本では数少ないプラットフォームビジネスアナリストでもある。「プラットフォームの思考回路」チャンネ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

石永 孝士(イシナガ タカシ)

アタラ株式会社 マネージングディレクター/シニアコンサルタント
ノバセル株式会社 エグゼクティブディレクター

 大学卒業後、大手アウトソーシングビジネス企業に入社。米国シアトルにてシステムエンジニアとしてCRMシステムの開発に携わる。帰国後は外資系メーカー、オプト、ヤフー、楽天にて主にECや広告事業に関するマーケティ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/01/20 08:00 https://markezine.jp/article/detail/47933

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