SNSでの話題化を妨げる「写真撮影の困難さ」
三つ目の特徴が、「投稿された写真に人が映り込んでいない」です。これは「そのOOHがSNSに投稿しやすかったか」という観点で重要な意味をもっています。私自身SNS投稿を前提に活動しているので、広告を撮影する上では人が映り込まないよう撮影角度や場所を調整しています。ゆえに、人通りが多く写真撮影が困難な広告枠は、基本的に撮影を見送る傾向にあります。どうしても必要な場合は数分待機して撮影する時もありますが、一般のほとんどの方はわざわざ広告を撮影するために待つことはないでしょう。
また、それでも人が映り込んでしまった場合は、ぼかしや切り抜きなどの加工作業が必要となるため、投稿へのハードルが著しく上昇してしまいます。たとえ視聴者が「おもしろい」「共感した」と感じていても、投稿のハードルが高ければSNSでの共有に至らず、結果として拡散にはつながりません。こういった投稿のハードルを下げることが、SNS投稿を促進する上で非常に重要になると言えるでしょう。
話題化したOOHのSNS投稿を分析すると、これら三つの要素が含まれているケースが多く見られます。ただ、これらは各要素が単独で効果を発揮するわけではありません。あくまでもそれぞれの要素が互いに補完し合うことで、投稿の拡散力を高めているというのが私の見解です。
では、これらの要素を踏まえた上で、OOHに関するSNSでの投稿を生み出し、話題化させるにはどうすれば良いのでしょうか。
OOHがSNSに投稿されるまでの六つのステップ
通行人にOOHを撮影してもらい、SNSで投稿・拡散されていくまでには六つのステップが存在しています。それらのステップを一つずつ見ていきましょう。

まずきっかけとなるのは、当然、通行人が「広告に出会う瞬間」です。この時通行人は、意識的に広告を見ようとしているわけではありません。あくまでも景色の一部として自然と視界に広告が入り、それを意識して捉えた時点で「何かしらの感情が生まれる」。これが二つ目のステップです。
そしてその次が「写真撮影の判断」です。大抵の人は広告を見て何かしらの感情を抱いたとしても、そのまま通り過ぎてしまいます。中には、人前でスマートフォンを取り出して写真を撮ることに抵抗を感じてしまう人もいるかもしれません。そういった人たちが“つい写真に撮りたくなる”ような設計を広告主は作る必要があります。
しかし当然、写真撮影のハードルを乗り越えたとしても、もちろんSNSでの拡散には至りません。そこで、重要なのが「投稿内容の作成」と「投稿を行う判断」のステップです。
