サントリーは2月5日、「ノンアルコール飲料戦略説明会」を開催した。
まず、同社の代表取締役社長である鳥井信宏氏が登壇。同社におけるノンアルコール飲料(以下、ノンアル飲料)の位置づけについて説明した。
鳥居氏は、同社が取り組む酒類文化継承の活動について紹介した。同社では、2024年11月から適正飲酒の大切さと、お酒の魅力を伝える活動である「ドリンクスマイル活動」を開始。企業・自治体・大学に向けにセミナーを行うなど、活動に注力していくのだと鳥居氏は語る。
また、鳥居氏は、同社においてノンアル飲料には清涼飲料とも、アルコールが入ったお酒とも異なる独自の価値があると強調した。そこで、ノンアル飲料を通じた新たな酒類文化の創造を目指して2025年に1月に「ノンアル部」を新設。ノンアル飲料に関するマーケティング費用を50億円(前年比130%)に増やすなど、活動を強化すると発表した。
続いて、同社のビール・RTD本部でノンアル部長 福本 匡志氏が登壇。まず、ノンアル飲料の市場の現状について解説した。
近年、ノンアル飲料市場では、ビールテイスト・RTDテイスト・ワインテイストなど、様々なラインアップが拡充。2024年の出荷数は4,500万ケース以上で過去最高規模になったと同社は推定しているのだという。
一方、市場規模として見ると、ノンアル飲料は酒類飲料市場のわずか1%程度に留まると福本氏は話す。そこで、同社ではノンアル部の活動を通して、2030年には市場規模を最低でも1,400億円(2024年比1.3倍)以上にすることを目指すのだという。さらに、2050年までには、8,000億円規模まで拡大させることも視野に入れていると語る。
続いて福本氏は、ノンアル飲料の具体的な活動戦略を紹介した。現在、ノンアル飲料には“お酒の代替品”というネガティブなイメージが付いていると福本氏は指摘。そこで、同社では、「ノンアルをSMARTからFUNな飲み物に」をコア戦略として掲げ、カテゴリーに対するイメージを「我慢のときの消極的な選択肢」から「楽しい時の積極的な選択肢」へ変えていくのだという。
その上で、同社は、「ポートフォリオ再構築」「飲用接点拡充」「コミュニケーションメッセージ刷新」と3つの活動を強化する発表した。
1つ目のポートフォリオ再構築に関しては、これまで味のタイプごとに各ブランドを位置付けて整理していたものを、ユーザーのニーズを起点にして大きく3種類に分類する。
2つ目の飲用接点拡充については、商業施設やイベント会場にて、積極的にノンアル飲料を販売・提供。また、全国で延べ100万人規模のサンプリング実施も計画している。
そして、3つ目のコミュニケーションメッセージ刷新について、同社は、「ココロだけプハーってしたい時もある。攻めのノンアルしちゃおっか。」 を新たなキーメッセージに設定。毎日の生活にノンアル飲料があれば、時間の過ごし方が豊かになるといった場面を描き、がユーザー「ノンアル飲料を前向きに選択すること」を促していく。
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