再生数が伸び悩んだ時期をどう打破したのか
MZ:アカウント運用において定められているKPIなどはありますか。
高橋:フォロワー数より、いかに多くの方にリーチできたかを重視しているため、最重要KPIは再生回数です。サブのKPIとして、フォロワー数を見ていますね。
ただ、TikTokはバズるもの・バズらないものの差が大きいプラットフォームです。定量的な目標は平均で考えるより、「○万回再生以上のものを○本」という観点のほうが適切なのではと感じます。適宜、反響なども見ながらKPIを調整していくことも必要だと考えています。
実際に、先ほどお話しした「ミンティアトリビア」の投稿の影響として、一気にフォロワー数が3,000人ほど増えました。これにより、2024年末時点で約7,800人、2025年3月時点で約1.1万人のフォロワー数に。Xでこの数のフォロワーを増やそうと思うと、予算を使ってキャンペーンを打たないと獲得できない数字なのではないでしょうか。
このような、一つの投稿で一気にフォロワーが増える可能性もある点がTikTokの魅力であり、運用のおもしろいところですね。
MZ:多くの方にリーチする投稿のコツなどはありますか。
高橋:かつて、私が運用担当に着任した当時は再生数が伸びない時期がありました。不振の要因は、おそらくPRに寄りすぎた内容だったことです。そこでクリエイティブの見せ方を練り直し、視覚的な魅力やためになる情報などを盛り込むことを意識したところ、フリーズドライ商品の投稿を皮切りに伸びるようになりましたね。
現在は扱う商品のカテゴリーや投稿の種類など、クリエイティブの勝ち筋が見えてきていて、徐々に成果を実感しています。ただ、一定のバズはあるものの、まだまだ再現性の部分はのびしろだと考えており、今も模索中です。

MZ:TikTokに対して、社内での関心度はいかがでしたか。
高橋:立ち上げ時の関心度は、実はそこまで高くはありませんでした。最初の半年ぐらいで100万回再生を超えるものが3~4件出ると、取り組みを社内で表彰したり、社員活動報告の場で発表したり、社内報で取り上げたりといった機会があったおかげで徐々に浸透していきましたね。今では営業部から「商談の時にTikTokの話が出ました」という報告をもらうこともあります。
魅力を伝え、「選ばれる会社」になるために
MZ:今後、TikTok活用で取り組みたいチャレンジなどはありますか。
高橋:現在、当社グループ内でTikTokを運用しているのはアサヒ飲料と当社だけなので、グループ内の横連携も強化していきたいと考えています。カルピス味のミンティアや三ツ矢サイダーキャンディなどとのコラボが実現できれば、シナジーが生まれる予感があります。
MZ:最後に、今後の展望を教えてください。
高橋:企業公式SNSは、各ブランドを横断して「選ばれる会社」になるための発信という目的をもっています。商品への愛着から会社そのものを好きになっていただける内容はもちろん、会社としての取り組みも今後は一層発信したいと思っています。
また、今は会社情報もTikTokで見る時代です。TikTokの利用層には就活生も多くいるからこそ、企業としての取り組みやサステナビリティ、各部署の仕事内容や社員の1日など、会社の色々な様子も発信し、等身大の姿を若年層に見ていただきたいですね。
