「ありのままの瞬間」に特化するBeReal.
2020年にリリースされ、2023年初頭から日本でも利用者が増加し始めた「BeReal.」。加工を前提とした従来の写真・動画共有SNSとは異なり、「ありのままの瞬間」を共有することが重視され、若年層を中心に支持を集めています。
独特なのは、ユーザーが「1日1回、ランダムな時間に通知が届き、その瞬間から2分以内に写真を投稿する」という仕組みや「フロントカメラとバックカメラを同時に使用して撮影できる」ということ。これらによって、その瞬間のユーザー自身の表情と風景を一度に切り取って共有できます。

これらに加え、フィルターや加工機能、いいね機能がないことや、撮影時刻が明確に表示されることも、飾らない日常をそのまま投稿すること、リアルタイムでの共有を促進する仕組みとなっているでしょう。
企業での活用=「等身大を伝えられる」可能性
企業活用の観点からも、BeReal.には大きな可能性があると考えられます。撮影や編集に時間をかけて投稿するコンテンツを作成する従来のSNSとは異なり、企業の等身大の姿を伝えられるのは良い点です。これにより、商品やサービスの人間味や親近感を自然に発信できるだけでなく、商品やサービスの実際の使用シーンをリアルに伝えられます。
このような特徴は、ユーザーがブランドやサービスの「裏側」や「素顔」を知りたいと考える心理とも相性が良いです。具体的な投稿例として、イベントを準備する様子など普段見られない舞台裏や、スタッフの日常的な業務風景、特別な場所やイベントでのリアルタイムの発信が効果的です。
プロによって撮影・編集されたコンテンツよりも、気軽に撮影された自然な一コマのほうがユーザーの関心を引きやすい傾向があるため、自然でリアルな投稿が、ユーザーとの距離感を縮めるカギとなります。
アカウント開設前に検討すべき三つのポイント
BeReal.での企業アカウント開設を検討する際は、(1)商材との相性、(2)ブランドイメージとの整合性、(3)運用リソースの確保という三点を検討する必要があります。
検討ポイント(1)商材との相性
BeReal.と相性が良いのは、ファッション、食品、インテリアといった体験価値を視覚的に伝えられる製品です。また、イベント運営や教育プラットフォームなどのリアルタイム性や日常感を伝えられるサービスも好相性です。
一方で、高度に専門的でビジュアルでの伝達が難しい商材は、相性が良くない可能性が高いです。製造業の細かい部品やバックエンドソリューションなど、写真だけで「これは何か」を伝えづらい商材は、ユーザーの興味を引くことは難しいと言えます。