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『MarkeZine』(雑誌)

第110号(2025年2月号)
特集「イマドキの中高生・大学生のインサイトを探る」

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【特集】テクノロジーで変化する、社会、広告、マーケティング

AIは社会と人を豊かにできるのか?テクノロジー領域でマーケターが果たせる役割を考えよう

 続いて2人目の解説者は、電通未来事業創研所属の吉田健太郎氏。CESを主催するConsumer Technology Associationが2025年に101年目を歩み始めるということもあり、節目としての大テーマを期待していた吉田氏。しかし、CES 2025に大きなテーマは見当たらず、結果として「テクノロジーの進化の方向性」について深く考えることになったそうだ。前ページと同じく「AIホーム」を例にとり、また少し違う角度からテクノロジーの進化を捉えてみよう。

※本記事は、2025年3月刊行の『MarkeZine』(雑誌)111号に掲載したものです

行き先・ビジョンが見えない、テクノロジーの進化

 はじめに、CESというイベント全体に関する所感を申し上げると、個人的に「CES 2025」には大きな期待を寄せていました。しかし、「CES自体が踊り場に来ているのでは」と感じてしまったというのが正直な感想です。

 コロナ禍の2年間はオンラインでしたが、私は2011年から毎年続けて計15回CESに参加してきました。振り返ってみると、CESおよびテクノロジー市場のトレンドはおよそ5年単位で移り変わってきています。

株式会社電通 第4マーケティング局 未来シナリオコンサルティング部 未来事業創研ファウンダー 吉田健太郎氏 モバイル事業、スマホアプリ領域を中心とした市場分析、戦略プランニング、コンサルティングなどに従事。CES/MWCに2011年から毎年参加し、TECHトレンドを把握。2021年に電通グループ横断組織「未来事業創研」設立。未来の暮らしの可視化からのバックキャストでの事業開発を得意とする。
株式会社電通 第4マーケティング局 未来シナリオコンサルティング部
未来事業創研ファウンダー 吉田健太郎氏 

モバイル事業、スマホアプリ領域を中心とした市場分析、戦略プランニング、コンサルティングなどに従事。CES/MWCに2011年から毎年参加し、TECHトレンドを把握。2021年に電通グループ横断組織「未来事業創研」設立。未来の暮らしの可視化からのバックキャストでの事業開発を得意とする。

 「スマート○○」というワードとともに、デバイスがネットとつながるという概念が出てきたのが2010年頃。その後、2015年には「コネクテッド/IoT」というキーワードが出現し、複数のデバイスとネットがつながることで価値が生まれるという流れになりました。断続的に2020年頃にかけて「パーソナライズ」への関心が高まり始めましたが、コロナ禍に突入すると「サステナビリティ」を筆頭に「forソーシャル」「Co○○」といった方向へ関心がシフトしていった印象です。

 生成AIが社会を席捲し始めた2024年を経て、今年のCESでは2030年以降の世界を見据えた大きなテーマが提示されるだろうと期待を抱いていたのですが、蓋を開けてみると昨年の延長線上のように感じました。一方で、だからこそ、テクノロジーの進化の方向性について深く考えられた部分もあったように思います。

 たとえば、テクノロジー領域を取り巻く世界の分断について。サステナビリティを横に置き経済成長を追い求める方向にシフトしているアメリカと、対立する中国、そしてテクノロジーより文化や自然、人の豊かさを重視するヨーロッパ諸国。CESを俯瞰すると、そんな構図がリアルに浮かび上がってきました。

 ここで考えるべきは、日本企業がどの方向へ向かうかです。AIしかり、テクノロジーは否応なしに進化していくわけですが、「その進化は本当に人や社会のためになるのだろうか」「一部の成功者のみに恩恵が与えられていないだろうか」といった疑問が拭いきれません。CES 2025を振り返り、キーワードを1つ挙げるなら、私の場合は「人間らしさ(Humanity)の再考」になります。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/18 09:30 https://markezine.jp/article/detail/48663

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