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コスト7割減、CVRは3倍!会員数200万人超のCake.jpに学ぶ、結果を出すメールマーケティング

 生活者の情報摂取行動は多様化かつ高度化しており、各施策はより洗練されたコミュニケーションが求められている。この潮流は、メールマーケティング施策も同様だ。では実際、何を見直しユーザーと効果的なコミュニケーションを図れば良いのだろうか。今回は、Cake.jpが取り組んでいるメールマーケティングについて伺い、生活者との向き合い方やコミュニケーションの取り方、同社の成功事例について共有する。

ケーキ・スイーツの専門通販サイト「Cake.jp」のマーケティング戦略

MarkeZine編集部(以下、MZ):本日は、Cake.jpのメールマーケティングの取り組みについて伺います。まず、Cake.jpのサービスや現在のマーケティング戦略について教えてください。

野崎:Cake.jpは2017年からスタートしたケーキ・スイーツの専門通販サイトです。現在、会員数200万人超、加盟店舗数1,700店舗以上、8,000種類のラインアップを展開しています。個人のお客様向けだけでなく、テクノロジーを活用した新商品の開発や加盟店へのブランディングサポートなども行っています。

 今回紹介する、個人のお客様向けのマーケティング戦略に関しては、より多くの方々に利用いただくべく、リスティング広告やSNS広告をはじめとする一般的な手法を実施しています。

野崎氏
株式会社Cake.jp 広報・CRM部 部長 野崎 有希氏

野崎:加えて既存のお客様に対するマーケティングも、事業成長における重要なポイントと捉えています。全社的にもCRM領域への期待が非常に高まっており、前年比115%という目標が設定されています。

 CRMに関しては、主にメルマガとLINEを活用していますが、売上規模の面ではメルマガの方が大きい状況です。これは、Cake.jpへの会員登録時に必ずメールアドレスを入力していただくため、LINEよりも配信数の規模が大きいことが理由として挙げられます。

 メールは主に既存のお客様へのアテンションとして活用しています。多くのお客様が最初にCake.jpを利用されるきっかけは、誕生日ケーキの購入です。誕生日は年に1回のイベントであるため、年間通じて様々なコミュニケーションがないと、サービスを忘れられてしまう可能性があります。そこで、Cake.jpを思い出していただく、想起していただくための重要な手段としてメールが位置づけられています。

メールマーケティングのメリットとは?

MZ:配信数の規模以外に、メールマーケティングのメリットはどういったところにありますか。

野崎:メルマガの利点としては、特別なインセンティブがなくても開封していただきやすい点がありますね。また、ゆるく・濃くつながれる点がメリットだと考えています。

佐藤:メールは企業とお客様を一対一でつなげられます。様々なコミュニケーションチャネルある中、メルマガは会員登録など、お客様の自主的な行動を前提としているため、最初からエンゲージメントが比較的高い状態でコミュニケーションを開始できます。

 また野崎様も挙げていた通り、お客様と緩やかに接点を持ち続けられる点も魅力です。メールは都合の良いタイミングにチェックされることが多いため、お客様との接点を維持しやすいです。少しずつ情報を提供しながらエンゲージメントを高め、クーポンを送ることなどで購入を後押しする、段階的なアプローチが取りやすいチャネルといえるでしょう。

 実際、メルマガの有効性を確認するため、調査を実施した結果、「メルマガをきっかけに商品を購入したことがある」と回答した方は全体の45%を占めています。

ユミルリンク『メールマガジンおよびLINE公式アカウント登録ユーザーの動向調査』

佐藤:調査を進めていくと、Webアクションを変えるにはメールマガジン、リアルアクションを変えるにはLINEが有利という傾向も見て取れました。長期的な関係構築はメールマガジン、即時アクションの促進にはLINEと、チャネルの特性に合わせて使い分けている企業様が多い印象です。

メールマガジンおよびLINE公式アカウント登録ユーザーの動向調査

本調査では、「メールマガジン」と「LINE」がどのように使われ、ユーザーにどんな影響を与えているかを調査しました。詳しい調査結果は、こちらからご確認ください

メールマーケティングを見直し、「Cuenote」を導入した理由

MZ:Cake.jpはメールマーケティングの見直しの結果、2022年に別のMAからユミルリンクが展開する「Cuenote」へ移行したと伺っています。以前はどういった課題があったのでしょうか。

野崎:当時は会員数が100万人程度で、今後さらに会員数を増やしていく方針だったため、メール配信数を増加させる見込みでした。また、一斉送信だけでなく、シナリオ配信やお客様の誕生日に合わせた配信など、One to Oneコミュニケーションに力を入れるべく、メール配信の種類も増やしていきたいというフェーズにありました。

 当時使用していたツールは従量課金制だったため、配信数の増加に伴いマーケティングコストが膨らんでしまうという課題がありました。そこで様々なツールを比較検討した結果、導入を決めたのがCuenoteです。

重松:導入後、Cuenoteの管理画面に初めて触れたときは、使いやすいと驚いたことを覚えています。メルマガに特化したツールであるため、必要な機能のみが厳選されており、非常にシンプルだなと思いました。と言うのも以前使っていたMAツールの中は、様々な便利な機能がある反面、当社では使わないデータや機能も多く、操作のしづらさや使いづらさを感じるものもあったからです。

 また、従量課金制ではないため月額費用のみで無制限で配信でき、コスト面で大幅な効率化が実現できました。導入前に比べて7割もコストを削減できています

重松氏
株式会社Cake.jp マーケティング本部 商品企画部 重松 小百合氏

重松:コストが削減されると、その分制限されることも多いのではないかという不安もありましたが、むしろできることが増えました。たとえば、以前はコスト面でネックになっていた新規施策を積極的に実施できるようになっています。

 加えて、コスト削減分をインセンティブ付きのキャンペーンやクーポン施策に振り向けられるようになりました。結果的にお客様への還元ができるようになり、CRMの成長に大きく貢献していると思います

CVR2~3倍アップ! 「Cuenote」を活用したメールマーケティング

MZ:具体的に実施したメールマーケティングについてお聞かせください。

野崎:お客様の嗜好性に合わせてパーソナライズしたメール配信を実施しました。お客様のこれまでの購入データや、店舗・商品へのお気に入り登録情報を活用してセグメント化し、そのジャンルの新商品が発売されたタイミングで、該当するセグメントの方にメールを配信しています。結果、一斉配信と比較してCVRは2~3倍となっています

 一斉配信は定期的なお知らせとして、パーソナライズしたメール配信は、お客様が本当に欲しいと思っている情報を届けるOne to Oneマーケティングの手法として活用しています。

重松:クーポンの有効期限をお知らせするメールも配信しています。すでにクーポンを取得するなどアクションを起こした方々を対象としているため、期限の2日前にリマインドすることで、購入につながりやすくなっています

野崎:また、週1回のCRM定例ミーティングを設け、振り返りも実施。進捗状況が良くない場合は、「次にどうしていくか」といった改善に向けた議論を行います。

重松:メルマガは数字を毎日チェックしています。メルマガで特に効果のあった切り口を他の施策の参考にするなど、マーケティング全体に活かしています

佐藤:Cake.jp様のお話を伺うと、メルマガの結果を日々チェックすることの重要性がわかります。

佐藤氏
ユミルリンク株式会社 マーケティング本部 マーケティング部
シニアマネージャー 佐藤 日和氏

佐藤:メルマガは、高い配信解除率や低い到達率などといった、大きな問題が発生するまでは、自分たちが伝えたい情報を一方的に送り続けてしまうケースがあるのではないでしょうか。メールマーケティングにも一般論的なTIPSはありますが、重要なのは自社のお客様が「どのようなタイミングで、どのような情報を欲しいと思っているか?」を日々のメルマガの結果から分析することだと考えます。

 しかしCake.jp様は「送るだけでなく、結果を振り返り、次のメルマガや他の施策へつなげる」という基本的なことを着実に実践されています。企業様の中では、メルマガの成果が良くないと思ったら、実は到達率が悪く、ツール自体を見直すべきだっことにも気付くきっかけになったという話もあります。

効率的なメールマーケティング戦略を実現する「Cuenote」

MZ:Cuenoteの特性・特徴を教えていただけますか。

佐藤:Cuenoteは企業と消費者のコミュニケーション課題を解決するため、メールやSMS配信システム、Webプッシュ通知などを行うことができるメッセージングソリューションです。Cake.jp様にご活用いただいているメール配信システム「Cuenote FC」の特徴を3つに分けて説明します。

 まず、大規模配信の信頼性と速度。大量のメールを高速かつ確実に送ることは技術的に難しいものですが、特に配信リスト数が多い企業にとって重要な要素です。クーポン情報などは即時性が重要で、翌日に届いたのでは意味がなくなることもあります。自社開発の配信エンジンを持ち、ドメイン分析などを常に行うことで到達率の維持・向上に取り組んでいる点が強みです。

 次に、標準搭載のマーケティング機能です。 シナリオメールやABテスト機能が標準で利用できる点も大きな特徴です。特にABテスト機能は、たとえば1万件のリストに対して最初の1,000件に異なる件名のメールを送信し、反応の良かった方を残りの9,000件に送信するといった高度な機能が、オプションではなく標準機能として利用できます。

 最後は、Cake.jp様にもお話いただいたシンプルで使いやすい操作性です。厳選された機能や、すっきりとした管理画面となっています。さらに、複数担当者での運用にも対応。一つの契約で複数のアカウントを作成でき、それぞれの作業領域を分けられる機能があります。たとえば、A店舗の担当者はB店舗の顧客情報にアクセスできないように設定できるなど、セキュリティーと運用効率を両立可能です。

野崎:Cuenoteは、会員数が飛躍的に増加し、今後も増加を目指す経営戦略を持つ企業様におすすめのサービスだと思います。

 他にも複数の店舗やブランドを持つ企業にとっても有効でしょう。一社で様々なブランドを抱えていて、ブランドごとに全く異なるユーザー層がいる場合など、それぞれのブランドや商品に応じたきめ細かいコミュニケーションが必要なD2C企業もその効果を実感できるのではないでしょうか。

顧客とのコミュニケーションをより強固に

MZ:最後に、今後の展望・展開をお聞かせください。

野崎:パーソナライズされたメルマガに一層力を入れていきたいです。現状では商品告知やクーポン告知が中心ですが、セグメントの切り口をさらに増やすことで、より精度高く、タイムリーな情報提供を実現し、メール配信数を増やしていきたいと考えています。

重松:CuenoteのABテストをはじめとする機能を活用して、トライアンドエラーを繰り返しながら、お客様のニーズに沿った商品を的確に紹介していきたいです。メルマガによる日々の接点維持を通じて、誕生日や記念日など、お客様の大切な場面でCake.jpを思い出していただけるようにしたいです。

佐藤:メールに関しては、引き続き高速かつ確実な配信を重視し、お客様の施策成果につなげていきたいと思っています。

 会社全体では、Webプッシュ通知サービス「Cuenote Push」を提供したり、SNSの運用支援やコンサルティングを行う企業をグループ化したりと、サービス領域を拡大しています。企業とエンドユーザー間のコミュニケーションは非常に速いペースで変化しています。メールに限らず様々な形でコミュニケーションをサポートするシステムやサービスを通じて支援していきたいです。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:ユミルリンク株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/05/09 10:00 https://markezine.jp/article/detail/48731