JTBコミュニケーションデザイン(JCD)とベクトルは、生成AIを活用した観光向け動画広告プロモーション「Insight Finder for Tourism(インサイト・ファインダー・フォー・ツーリズム、以下IFT)」を共同で開発し、提供を開始した。
同プロモーションは、JCDが持つツーリズム業界特化型Webサイト解析ツール「AIアナリストforツーリズム(AIT)」のマーケティングデータと、ベクトルによる動画広告配信サービス「NewsTV」の動画広告ノウハウを組み合わせたサービス。
生成AIを活用し、Webサイト訪問データやユーザー行動を分析して関心の高いペルソナを設定し、精度の高いターゲティングを実施する。観光関連サイトのデータを基に、AIが潜在顧客の嗜好を抽出し、視聴者に響く動画広告コンテンツを提案・制作するという。

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実証実験の結果
IFTの効果を実証するため、あまがさき観光局のWebサイト「ジョーのある町 尼崎」で、「動画広告配信による定量調査」と「アンケートパネルを用いた定性調査」によるテストマーケティングを行った。
定量調査では、同局のWebサイトから抽出したAITデータを生成AIにかけ、ペルソナやターゲットエリア、広告内容や配信先などの仮説を設定。尼崎近郊にターゲットを絞った「ペルソナA」、よりエリアを広げた「ペルソナB」、それ以外の「ペルソナC」に分け動画広告を配信した。
その結果、完全視聴率はペルソナAが12.0%、ペルソナBが9.1%、ペルソナCが4.2%となり、AIからの仮説により配信したペルソナA、BがCよりも高い効果があったことを実証した。

視聴開始から完全視聴までの視聴率推移では、ペルソナAの冒頭視聴率が25.8%と平均の約3倍高く、AI仮説から興味対象とされていた「尼崎城」が紹介されるシーンでは、ペルソナを問わず視聴率が急上昇、特にペルソナAは最後まで高い視聴率を維持した。加えて、完全視聴単価も低く、想定値を大幅に下回る結果を達成したという。
さらに、アンケートパネルを用いた定性調査では、IFTが生成したペルソナ(尼崎近郊在住、30~49歳男性、子どもあり、会社員)を対象にしたパネル群Aと、それ以外を対象としたパネル群Bに対し、動画視聴前後に尼崎市への好感度や訪問意欲を調査。動画視聴前の尼崎市への好感度アンケートでは、パネル群Bのポジティブ回答が23.3%に対し、パネル群Aは38.5%と、15.2ポイント高い結果となった。

IFTの基本プランの提供価格は、動画制作1本あたり220万円からとなっている。
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