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広告産業のパーパスを考える

企画の前提がズレている?『戦略ごっこ』芹澤連さんが指摘する「広告会社のよくない癖」【前編】

 博報堂/SIXのクリエイティブディレクター藤平達之さんが、様々な立場・役割の方とのディスカッションを通して「広告会社の強み」や「これからの可能性」を見つけていく本連載。第3回は、マーケティングサイエンティストの芹澤連さんをお訪ねしました。対談の中で見えてきた「広告会社の悪い癖」とは? エビデンスベーストマーケティング(EBM)を学び、自分の武器にしたくなるような、希望も見える対談となりました。

3回目ゲストは『戦略ごっこ』著者の芹澤連さん

藤平:本日はよろしくお願いします。半年ほど芹澤さんのエビデンスベーストマーケティング(以下、EBM)のゼミに参加させてもらい、今は実務でどう実践していこうかと、日々奮闘中です。

芹澤:嬉しいですね、ありがとうございます(笑)。

藤平:今日は、EBMと広告会社のビジネスを掛け合わせて、広告会社の成長/生存戦略を前向きに考えつつ、改善しなければならない課題についてもお話しできればと考えています。事前にお送りした質問事項のとおり、お聞きしたいことが山盛りですが(笑)、流れでお話しさせて下さい。

この対談のトピックス

・芹澤さんから見て「広告会社の悪い癖」は?

・EBMである程度の正解値が示されるが、マーケターやクリエイターは、自分のアイデアやクリエイティビティをどこで発揮すればよいのか?

・EBMで考える広告会社の生存戦略、ブランド戦略について

広告会社は、そもそも「発想の前提」からズレている?

藤平:冒頭から単刀直入に伺いますが、EBMの視点を踏まえて、広告会社の人間が「ズレているな」と思うことはありますか?

博報堂/SIX クリエイティブディレクター 藤平達之氏
博報堂/SIX クリエイティブディレクター 藤平達之さん

芹澤:正直なところ、思考のベースから違っていることが多い印象です。1つ例を挙げると、CMを作る時、みなさん「しっかりCMを見てくれる/深く理解してくれる」という前提でストーリーラインを考えがちですよね。EBM界隈では「“in the room”が前提になっている」という指摘の仕方をします。

コレクシア 執行役員 マーケティングサイエンティスト 芹澤連氏
コレクシア 執行役員 マーケティングサイエンティスト 芹澤連さん

 たとえば、「これでは差別化ポイントが伝わらないのではないか」「比較検討時に迷うのではないか」といった説得力の議論に終始している時点で、“聞き手が既に部屋の中にいる”ことを前提に考えていますよね。

藤平:in the roomというのは、「ブランドと生活者が同じ部屋で向き合っている」というような意味合いでしょうか?

芹澤:はい、その通りです。ですが、それは勝手な思い込みですよね。

 コミュニケーションでは、まず「部屋に入って来てもらうこと」、つまり気づいてもらうことを目指さないといけないはずですたとえば、ジングルを聞いたら直感的にあの企業だとわかる、一瞬見ただけであのブランドだと気づく、というレベルの刷り込みですね。何を前提にして、どこをアイデアにするのかという、定義づけの部分からズレているなと思うことがあります。

藤平:思っていたよりかなり手前の前提に関する指摘で、グサッときました。そんな風に思っているわけではないのですが、たしかに企画の際、状況を都合よく考えすぎているところはあると思います。こうした課題は『戦略ごっこ』でも、再三示されていました。

次のページ
エビデンスをベースにすれば、クリエイティブジャンプの飛距離が伸びる

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2025/05/22 08:30 https://markezine.jp/article/detail/48881

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