2025年6月2日、YouTubeを活用して優れた成果を上げた広告を表彰する「YouTube Works Awards Japan 2025」が開催。開催5回目となる今回は、2024年に国内で配信されたキャンペーンから応募を受け付け、全8部門の審査結果を発表した。
グランプリ、Best Brand Lift 部門:サントリーホールディングス
グランプリとBest Brand Lift 部門を受賞したのは、サントリーホールディングスによる『飲みに誘うのムズすぎ問題』だった。

「先輩が後輩を飲みに誘いづらくなっている」というシーンに着目し、先輩側が葛藤する心の声を音声で表現した。YouTube広告に加え、話題化や対話の舞台としてXも活用。総視聴回数は2,022万回、インプレッション数はKPI比3倍となる4,789万、総エンゲージメント数は25.5万件を記録。また、同社の調査による広告認知率は10.9%だった。
キャスティングの妙やYouTubeの使い方、あえて長尺動画の最後に、“ご褒美”として「プレミアムモルツ」を提示したところが評価された。受賞した同社の小林氏は、本施策の背景について次のように語った。
「従来のテレビCMとは差別化を図り、プレミアムモルツブランドに対して親近感を抱いてもらい、自分事化してもらうことを目的としました。生活者の皆様に共感してもらいながら、そこにプレミアムモルツが寄り添うような映像を作りたいとクリエイターの方々に相談して、今回のアイデアを出していただき、全会一致で決まりました」
Best AI Usage 部門:PayPay
今年から新設されたBest AI Usage部門は、AIを効果的に活用した取り組みを表彰するもの。受賞作は、動画と楽曲の全編をAIで生成したPayPayの『PayPay 生成AIを活用した動画クリエイティブ』が受賞した。PayPayを利用するきっかけとして多い、送金や割り勘の便利さをカラオケ風の動画で訴求。
1ヵ月間配信した結果、広告経由での増分決済数は、同時期に配信していた従来のクリエイティブを上回り月間1位に。また「送金・割り勘」訴求では、生成AIクリエイティブの導入前と比較して、増分決済数が307%増加したという。
Best Direct Conversion部門:ビーケージャパンホールディングス
Best Direct Conversion部門は、生活者の意思決定を後押することでオンラインで直接的な行動を促すことに成功しビジネス目標を達成したキャンペーンを表彰する部門。受賞したのは、ビーケージャパンホールディングスの『バーガーキングを増やそう』だった。
ファンから空き物件を募集した企画で、7万8,000件を超える応募が集まり、12店舗の出店が実現した。キャンペーン全体の予算は1,200万円で、そのうちメディア予算は200万円だったが、掲載メディアは278件、メディアインプレッション5,801万回以上、広告換算で3億 4,300万円以上となった。
Best Offline Sales Lift部門:日清食品
YouTube広告を通じて店頭での売上拡大につなげたキャンペーンを表彰するBest Offline Sales Lift 部門を受賞したのは、日清食品の『日清のどん兵衛「はいよろこんで 利き利きどん」篇』。
2024年にヒットしたこっちのけんと氏の楽曲『はいよろこんで』の楽曲とミュージックビデオ(MV)をパロディした内容で、YouTube、TikTok、Xなどに展開した。配信翌日の対象商品の売上は、日別POS実績によると前日比29%増。また同社ECサイトで限定発売した「利きどん兵衛セット」は、3時間で1,000個が完売したという。
Best Shorts Ads部門:サントリーホールディングス
YouTubeショートの特性やトレンド、視聴者のインサイトを捉えたクリエイティブで成果を上げたキャンペーンを表彰するBest Shorts Ads 部門は、サントリーホールディングスの『金麦_家路言』が受賞した。「耳からのブランド接点」を戦略に掲げ、音声中心でゆったりとしたクリエイティブを制作。また広告配信は「仕事中のONからOFFへと変化していく帰宅時間」の17~24時の時間帯に行った。その結果、20代~40代での広告認知は目標比50% 増。またキャンペーン全体での投資対効果(ROI)も、目標比で約170%向上した。
Breakthrough Advertiser部門:星野リゾート
YouTube広告に2024年に初挑戦し、戦略的に成果を上げたキャンペーンを表彰する Breakthrough Advertiser部門を受賞したのは、星野リゾートの『テンションあがる"街ナカ"ホテル OMO』だった。都市観光を好む人々は「旅行スタイル(誰と行くか)によって求めるものが変わる」というインサイトを反映し、26のホテル利用シーンを撮影し組み合わせ様々な訴求をする「マッチング CM」を開発。
配信先はYouTubeのみで、TrueViewリーチ広告によるリーチ最適化と、TrueViewインストリーム広告による視聴最適化を併せて実施。その結果、テレビCMと同程度の広告認知(28.0%)を獲得。広告好意度は43.2%と同ブランドの前回テレビCMから 10.1%向上した。
YouTube Creator Collaboration部門:日本ハム
クリエイターとのコラボレーションで成果を上げたキャンペーンを表彰するYouTube Creator Collaboration部門を受賞したのは、日本ハムの「シャウエッセン ショート動画プロモーション」だった。YouTube広告では若年層向けにエンタメ性の高いクリエイティブでブランド接点を増やすため、YouTubeクリエイターとコラボ。10本のショート動画を制作し、TikTok やXなどにも展開した。
YouTubeショートの再生回数は900万回を超え、20歳〜49歳を対象にしたブランドリフト調査では、商品認知が5.4ポイント、詳細認知は16.7ポイント増加。興味関心、購入経験、直近 1週間購入と購入意向の指標は20ポイント以上向上し、ブランドリフトを達成した。
Force for Good部門:カネボウ化粧品
収益やビジネスインパクトを超え、社会的意義のあるコミュニケーションを展開したキャンペーンを表彰するForce for Good部門は、カネボウ化粧品の『I HOPE. KANEBO』が受賞した。
2020年にリブランディングしたブランドの「KANEBO」が、化粧品の本来の価値を再定義しながら、ブランドへの共感を商品の認知や購買へとつなげることを目指したもの。YouTube広告では、60秒の長尺素材で質の高い認知獲得を狙い、テレビCMと相互補完的に活用した。『希望の口紅篇』は、長尺ながら視聴完了率55.3%と高い数値を記録。商品認知のきっかけとしてはYouTube広告が46.2%と、各種施策の中で1位に。また、予約・先行発売の商品も6日間で販売目標数を完売し、プレステージ口紅市場でシェア1位を獲得した。
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