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トランプ政権で変わる米国コミュニケーション戦略

ギャップやバドライトの炎上事例から学ぶ、米国SNS戦略のリアル

 ドナルド・トランプ氏が再び大統領に選出された背景には、ソーシャルメディアが世論形成に与える影響力の増大があります。米国ではSNS戦略がマーケティング・PRの中核となる一方で、規制強化や分断リスクも拡大中です。日本企業が米国市場で成果を出すには、SNS活用の在り方を再考する必要があります。本稿では、米国市場向けPRとマーケティング支援を行い、カナダ在住の神村氏の視点から、変化に対応するヒントを紹介します。

最新データで見る米国SNS利用動向

 前提知識として、米国における最新のSNS利用動向を把握しておきましょう。

 米国におけるSNSプラットフォームは、Facebook、X(旧Twitter)、Instagram、YouTubeなど日本で利用されているものと同じですが、利用傾向に特徴があります。たとえば、Facebookは家族や友達とのコミュニケーションツールであり、日本のようにビジネス利用はありません。Xの利用者層に男性が多いのは同様ですが、政治や経済に大きく傾倒しており、ジャーナリストやニュースインフルエンサーをフォローする傾向にあります。

出典:Meltwater and We Are Social, Digital 2025: The United States Of America/p.86
出典:Meltwater and We Are Social, Digital 2025: The United States Of America/p.86

 Meltwater and We Are Socialの調査『Digital 2025: The United States Of America』によると、2025年1月の時点で、米国のインターネットユーザーは3億2,200万人、SNSのアクティブユーザー数は2億530万人に達しています。これは総人口の約73.0%に相当します。一人あたりの平均SNS利用時間は1日に2時間9分で、グローバル平均(2時間21分)に近い水準です。特に動画SNSのTikTok(月間43時間)やYouTube(月間24時間)は長時間使用されています。従来のSNSでは、Facebook、Instagram、SnapChatが利用率の高いプラットフォームとして挙げられ、Xは後退傾向にあります。

購買前の意思決定プロセスに入り込むSNS

 またPEW Research Centerの調査からは、TikTokは商品購入に大きく寄与していることが明らかになっています。ユーザーのうち62%が「レビューや商品推薦を見るために使っている』と回答しており、単なるエンタメ用途にとどまらず、購買前の意思決定プロセスにSNSが組み込まれていることがわかります。TikTokのクリエイターが米国政府の禁止法案に反対するのも納得です。特にZ世代を中心に、「友人やインフルエンサーのリアルな体験」に価値を置く傾向が強まっており、企業にとってはコンテンツの信頼性がより問われる環境となっています。

 同時に、検索の代替手段としてもSNSが台頭しています。Adobeが米国でTikTokユーザーに行った調査によると、 Z世代のうち約64%がGoogleなどの検索エンジンよりも、TikTokで検索を行っていると答えています。これは、テキスト中心の検索よりもビジュアルや動画による実体験・リアルな雰囲気を重視する若年層の価値観を反映した動きです。ブランドにとっては、検索対策(SEO)だけでなく、SNS内での検索されやすい構造を作ることが新たなテーマとなっています。

筆者のInstagramで検索 左:健康なレシピの検索、右:ワイヤレスイヤホンのレビュー投稿
筆者のInstagramで検索 左:健康なレシピの検索、右:ワイヤレスイヤホンのレビュー投稿

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SNS広告へのコメントもユーザー体験の一部に

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この記事の著者

神村 優介(カミムラ ユウスケ)

 シェイプウィン株式会社 代表取締役 ShapeWin Canada Ltd. CEO

 2011年に日本と北米に拠点を置くPR&デジタルマーケティング会社シェイプウィン株式会社を創業。2021年からカナダ・バンクーバーを拠点に置き、日本の大手製造業や韓国のスタートアップを中心に北米市場でのマーケティングを支援...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/06/25 09:00 https://markezine.jp/article/detail/49285

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