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信頼による差別化が求められる時代へ──レイ・イナモト氏が語る、ブランド構築のために必要な4つのシフト

「再現」と「継続」によって信頼を生む方法

3.方法のシフト:「表現」から「再現」へ

 冒頭でイナモト氏が示したように、ChatGPTが1億人のユーザーを獲得するのに要した時間はたった5日だった。なぜ、ChatGPTは短期間で普及したのか。イナモト氏は、その要因の1つとして、機械が思考するプロセスをリアルタイムで可視化し、あたかも機械と対話しているかのような体験を提供することで、その価値をユーザーに伝えた点を挙げた。

 また、もう1つの具体例として、Instagramのストーリー機能を挙げた。Instagramを開くだけで、新しいコンテンツがあるかがわかる仕組みになっており、「Instagramを開くといつも何か新しいものがある」という価値を可視化しているのだ。

 ここで重要なポイントは「1回限りの表現ではなく、再現可能な仕組みを作ること」と、イナモト氏は語る。

4.関係のシフト:「バイラル」から「バイタル」へ

 4つ目の関係のシフトは、「一瞬のバズやバイラルよりも“継続的な関係性”、できれば一生買い続ける『バイタル』な関係性を重視すること」だ。

 事例として、3~4年で5倍の成長を遂げているファッションブランド「HUMAN MADE」を挙げる。広告にはあまり予算をかけていないという同ブランドの戦略は、会社のプロセスとサプライチェーン、商品を整理し、毎週のプロダクト企画・発表のリズムを確立していることにある。

「小ロットの日付が刻印された限定アイテムを発売することで、『毎日何か新しいことをやってくれる』という価値と信頼が生まれています」(イナモト氏)

HUMANMADEのプロダクト

 また、「OpenAIのコミュニケーション戦略も特筆すべきもの」と語った。OpenAIは、毎週2〜3回プレスリリースを発信することで、継続的に信頼を築き、ブランド構築へとつなげているのだ。

ブランドとは「信頼による差別化」

 総括すると、ブランドとは「信頼による差別化」そのものである。機能や意味だけでは、真の競争優位性は生まれない。ブランドを成長させる鍵は、「信頼」をいかに獲得し、継続的な関係性を築けるかにかかっている

「一般的には、エレベーターをブランドとは捉えないかもしれませんが、エレベーターで例えてみましょう。エレベーターの高層階に移動できるといった『機能』、高層階だと素晴らしい景観が見られるという『意味』、これらには確かに価値があります。しかし、それを可能にするには、『信頼』が必要なのです」。イナモト氏はそう語り、セッションを締めた。

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この記事の著者

竹上 久恵(編集部)(タケガミ ヒサエ)

早稲田大学文化構想学部を卒業後、シニア女性向けに出版・通信販売を行う事業会社に入社。雑誌とWebコンテンツの企画と編集を経験。2024年翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/08/26 09:00 https://markezine.jp/article/detail/49549

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