SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2026 Spring

MarkeZine Day 2025 Autumn

物価高時代の消費者心理を読み解く!生活者1万人調査が明かすインサイトと、施策に活かせる5つのポイント

 物価上昇や円安の進行により景気の先行きへの不安が高まる昨今。生活者はどのような価値観を持ち、どのような原理でモノを選び、消費しているのか。MarkeZine Day Autumn 2025では野村総合研究所の松下東子氏が登壇し、同研究所が1997年から四半世紀以上にわたり日本人の価値観や消費行動を追い続けてきた「生活者1万人アンケート調査」を基に、現在日本の生活者の行動原理やインサイトを解説。今、企業が取るべきマーケティング指針を探った。

株価高騰や賃上げの影響は?生活者は景気をどう見ているか

 野村総合研究所は、1997年から3年おきに「生活者1万人アンケート調査」を実施しており、最新調査の2024年を含めた27年間分の生活者のデータを蓄積している。

 同調査は、調査員が調査対象者宅へ訪問し紙のアンケートを取る「訪問留置法」で実施している点が特徴だ。セッションでは、野村総合研究所の松下氏がこの調査データを元に、生活者のインサイトを掘り下げていった。

 この27年間の消費トレンドおよび直近の変化を見ると、消費者の意識に興味深い傾向が見て取れる。まず生活者の景気認識だが、2024年は株価が最高値を更新し、企業の賃上げなど景気の良いニュースが流れていたものの、生活者の実感は異なっていたようだ。今年から来年にかけての家計収入見通しでは「よくなる」と答えた人は過去最高水準となった一方、「どちらともいえない」が依然として6割程度を占めており、薄日が差した程度の改善に留まっている。

クリックして拡大

 「株価上昇や賃上げがあっても、増税や円安、物価高に加えて、日本の人口減少や高齢化といった構造的不安が見えている状況では、景気の見通しはなかなかよくならないと考える人が多いことがわかります」(松下氏)

株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部マーケティング戦略コンサルティング部 シニアプリンシパル 松下東子氏
株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部マーケティング戦略コンサルティング部
シニアプリンシパル 松下東子氏

 続いて、日本人の不安について見ると「自分の健康」は1997年から一貫して1位であり、「親の健康」は徐々に増加傾向にある。背景には、人口の高齢化や非婚化、少子化により一人暮らしや一人っ子が増加していることが考えられる。さらに非正規雇用の増加により福利厚生が薄くなっており、親の健康悪化が就業継続の危機に直結するなど、生活を楽観視できない人の割合が増えている。

 一方で年金など社会保障制度破綻への不安は1997年と比べて減少傾向にある。これは年金がもらえないという前提で老後の生活設計を考える人が増えたことと、年金通知の充実や老後生活設計サービスの普及により、情報提供が進んだポジティブな面もあると考えられる。

 この変化は自分で備える投資意識の高まりにも表れている。2021年以降、投資をする人の割合が急激に増加しており、20代では倍以上になっている。

 コロナ禍で在宅時間が増え生活設計を見直す機会ができたこと、金融知識を学ぶ時間ができたこと、長期低金利下での物価上昇により預金だけでは追いつかないという感覚が強まったこと、NISAやiDeCoなど投資しやすい制度の整備、ポイント投資など少額から始められる投資商品の登場などが挙げられる。

コロナ禍以降、街や商業施設に人は戻ってきたのか

 コロナ禍を経て現在、街や商業施設に人が戻る中、外食や旅行などの余暇活動は回復傾向にあると松下氏。リアルレジャーでは、映画鑑賞や外食グルメ、食べ歩きなど街レジャーがコロナ禍前を上回るスピードで回復している。

 さらに、デジタルレジャーも大幅に伸長。パソコンはスマートフォンの普及にともない低下したが、その一方で動画鑑賞はサブスクリプションサービスの拡大を受けて大きく増加している。

クリックして拡大

 また、国内旅行は回復しているものの、円安の影響で海外旅行は過去最低水準まで落ち込んでいる。アウトドアキャンプやドライブは密を避けるレジャーとしてコロナ禍で人気を博したが、現在は落ち着いている状況だ。

次のページ
価格高騰が影響。ネットチャネルとリアルチャネルの現状

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
MarkeZine Day 2025 Autumn連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/12/03 08:30 https://markezine.jp/article/detail/49853

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング