ハローキティとぐでたまでファンの属性は異なる
──コンテンツの1to1コミュニケーションにおいては、どのような施策を行っていますか?
髙松:お客様が最も心を寄せてくださっている、キャラクターを活用したコミュニケーションを増やしているところです。投票数によって順位を決定する年次イベント「サンリオキャラクター大賞」では、会期の終了後に自身が最も多く投票したキャラクターからお礼のメールが届きます。
田口:キャラクターとお客様とのエンゲージメントが当社のマーケティングの要だと考えています。Sanrio+を立ち上げたとき、最もこだわったのが会員証のデザインでした。一般的な会員証では保有しているポイントが大きく表示されますが、Sanrio+の会員証では22のキャラクターから自身の好きなキャラクターを選んで会員証のデザインに反映できるんです。
田口:ハローキティがお好きな方と、ぐでたまがお好きな方の属性は大きく異なります。全員に一律のコミュニケーションを届けるやり方がファンの気持ちに寄り添っているとは思いません。会員証のデザインでハローキティを選ぶ方は、ハローキティからメッセージを受け取りたいと思います。
とは言え当社には非常に多くのキャラクターがいます。それぞれのキャラクターからの1to1コミュニケーションを追求すると掛け合わせのバリエーションが膨大になってしまうため、それに対応する意味でもBrazeが必須でした。現在はクリエイティブの出し分けに留まっていますが、今後は各キャラクターの個性を反映した文面の出し分けなどにもトライしたいです。
インセンティブの明示でアンケートの回答率がUP
──確かな効果を実感した施策があればお聞かせください。
髙松:Sanrio+には「Sanrio+ハートあつめ」という、会員ステージを上げるための制度があります。メールマガジンの登録やサンリオショップでのお買い物など、規定のアクションに対してハートが付与され、一定数のハートが集まると会員ステージが上がる仕組みです。
ハートがもらえるアクションの一つに「アンケートの回答」があるのですが、回答率が低く、あまり認知されていないという仮説を立てました。そこで、アンケート未回答のお客様の中から、ハートをあと一つ獲得すれば上のステージに上がる状態のお客様に対象を絞り「アンケートに回答すればステージが上がりますよ」「ステージが上がるとサンリオピューロランド デイパスポートのプレゼントキャンペーンに申し込めますよ」など、具体的なインセンティブを明示するシナリオを作成しました。
BrazeにはABテストを簡単に実施できる機能があります。その機能を使ってシナリオの効果を検証したところ、最初の1週間で明確な有意差が見られました。インセンティブを告知したグループのほうが、告知しなかったグループよりもアンケートの回答率が高かったのです。2週間様子を見ても差が明らかだったため、ABテストを止めて全員に配信しました。
田口:Sanrio+ハートあつめの特徴は、お客様の購買金額ではなくアクションに応じてハートが付与される点にあります。つまり、主体的なアクションを促すコミュニケーションが不可欠なのです。
全員に対して「頑張ってハートを集めましょう」と訴求しても、なかなか自分ごととして捉えていただけません。ステージ別のコミュニケーションはもちろん「このアクションを達成すれば次のステージに手が届くからやってみてください」というお客様に寄り添ったコミュニケーションをすることで、お客様の行動も変わってくると思います。
──行動データをより精緻に把握してシナリオに反映する必要がありそうですね。
髙松:はい。Brazeでは属性やイベントをカスタマイズできるため「この属性の方にはこのイベントを実施する」といったアクションを簡単に実行できる点に使い勝手の良さを感じています。

