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MarkeZine Day 2025 Retail

ソーシャルから見るトレンド・ムーブメント

海外SNSトレンドから学ぶ、若年層ユーザーの拡散行動とは?

事例3:Jet2Holidays ― 意図せぬバズをブランド資産に変える

 イギリスの格安旅行会社Jet2holidaysの広告キャンペーン動画/CM「Nothing beats a Jet2 holiday」が、2025年夏にTikTokでミーム化。旅行中の失敗や日常のドタバタにBGMを重ねる形で拡散しました。さらに、ブランド側も意図しない拡散を受け止めることで、ブランド価値へと昇華させ盛り上がりを加速させました。

 その後、その国の訛りを誇張したセリフバージョン(タイ訛りの英語など)も登場し、各国でローカライズされることによる観察と二次創作で世界的ムーブメントへ発展しました。この事例からは、特に『再構築』が重要な役割を果たしたことがわかります。

【図3】事例から見る海外トレンドの共通項:非言語と再構築
【図3】事例から見る海外トレンドの共通項:非言語と再構築

 ブランド側が、自社の意図しない形でミーム化しているユーザーの“遊び方”を素早く観察し、そのノリを否定せず再構築することで、ネガティブな拡散を防ぎ、ブランドの好感度を高めることに成功しました。企業事例においても、『ノリ』『非言語の拡散力』『再構築』が重要なことがわかります。

【図4】世界的なミームに発展する仕組み
【図4】世界的なミームに発展する仕組み

『ノリ・非言語・再構築』が拡散を決める!

 3つの事例に共通していたのは、以下の要素です。

  • 共感よりノリ:深いストーリーよりも、一瞬の面白さや遊びでつながる
  • 非言語の拡散力:意味を固定しない表現や偶然の出来事が、言語を超えて広がる
  • 再構築:国やブランド独自の文脈に合わせてアレンジを加える
【図5】若年層の拡散行動を読み解く3つの視点
【図5】若年層の拡散行動を読み解く3つの視点

 意味がなくても、ノリだけで世界に広がる時代。
ブランドも“正解を語る”より“遊びに混ざる”くらいが、ちょうどいいのかもしれません。また、ミームやユーザーのノリは、ブランドが完全にコントロールできないものです。だからこそ観察し、「必要に応じて遊びに参加する再構築の姿勢」が、今後のSNSマーケティングにおいて重要なポイントになってくるのではないでしょうか。

海外トレンドはどのような変遷で日本にやってくる?

 海外発トレンドが日本でトレンドになる時、複数回のピークが遅れて発生する傾向が見られました(図6)。これは、「複数回見ることで流行りだと認識する」というトレンド観察インサイトがあるためだと考えます。

【図6】直近1年のTikTokでのトレンド関心度(グローバルと日本を比較)
【図6】直近1年のTikTokでのトレンド関心度(グローバルと日本を比較)

 海外トレンドは着火点が1ヵ所でわかりやすい一方、日本トレンドは徐々に火がつき加速するため、定期的に海外動向を押さえることで、日本のピークを想定した立ち回りが可能になるのではないでしょうか。ブランドで活かす場合には、施策を段階的に展開し、ユーザー参加の機会を複数回設計することで、長期的な盛り上がりに貢献することができると考えます。

 これまでのSNSトレンドは「共感」が中心でしたが、新たに「ノリ」というメカニズムが見えてきています。共感ポイントを探るだけではない発想がソーシャルマーケティングに求められていきそうです。日々の観察を通じて瞬間的な動きを捉え、タイミングよく取り入れる姿勢がより求められてきます。「言葉」に頼らない拡散力を生かし、変化の激しいSNSのトレンドに柔軟な対応で新しい発見やコミュニケーションに生かすチャンスを探ってみてください。

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この記事の著者

65dB TOKYO(シックスティーファイブデシベル トウキョウ)

 65dB TOKYOは、ソーシャルリスニングを中心としたマーケティング支援チームです。「65dB」とは、人々が通常の会話で発する音声の強さ(65デシベル)から名付けられており、生活者の声からブランドアクションを生み出す分析および戦略立案を行います。また、TBWA HAKUHODO傘下に組織を置くことで、グローバルレベルのクリエイティブチームとも連携し、マーケティングプロセスをワンストップで支援することも可能です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/10/29 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49966

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