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MarkeZine Day 2026 Spring

AIで“いま”を可視化!SNSから紐解くトレンド・インサイト分析

生活者の“デジタル漬け”はなぜ解消されないのか?「デジタルデトックス」を求める声の深層を分析

AIペルソナインタビューから見えた、現代人が陥るストレスの悪循環

 ここからは、もう少しこのペルソナのスマホ利用について探っていく。

インタビュアー:あなたにとって、デジタルデトックスとはどんな存在ですか?

ペルソナ:デジタルデトックスは、正直「理想だけど現実的には難しいもの」という感じです。頭では必要だとわかっているし、たまに意識してスマホやSNSから距離を置こうとするんですけれど、仕事や日常の情報収集と完全に切り離せないので、なかなかうまく実行できません。

 このペルソナは「デジタルデトックス=情報から遮断される」という認識を持ち、そこから来る不安によって日々デジタル漬けの生活になってしまっている側面が見えてきた。なお、AIペルソナは、リアルな消費者に対してはなかなか聞けないこともインタビューできることが利点といえる。

インタビュアー:なぜ「今日の夜は改善しよう」とは思わないんですか?

ペルソナ:朝は特に「寝る前はスマホやめよう」って決意するんです。でも夜になると疲れてるせいもあって、つい自分に甘くなってしまうんですよね。毎回「あの時の決意はどこいった?」って自分でも呆れるほどです。

インタビュアー:スマホをやめるのではなく、「夜の時間を充実させよう」という意識を持つことが大切です。夜の時間に具体的に挑戦したい「夜活」は何ですか?また、その活動を実践することで、スマホから自然と距離を置いた未来を想像できますか?

ペルソナ:挑戦したい「夜活」は、読書やストレッチです。確かにこれらを習慣にできれば、自然とスマホから距離を置いて翌日すっきり起きられる未来がイメージできます。

インタビュアー:本当にそう思いますか?

ペルソナ:正直、実際は夜になると習慣や誘惑が強いので、すぐに実践できるかは自信がありません。ただ、本気で夜の過ごし方を変えたい気持ちはあるので、まずは少しずつ挑戦していきたいです。

AIペルソナインタビューの様子(クリックして拡大)

 このインタビューから見えてきたのは、朝に「今日こそやめよう」と決意するものの、夜には仕事の疲れからついスマホを手に取ってしまうという、消費者のリアルな姿だ。その結果、「決意を行動に移せない自分」に対して新たなストレスを感じるという悪循環に陥っている。

 夜間にデジタルデトックスへの意識が高まるのは、まさにこの「決意と挫折の葛藤」が最も顕在化する時間帯だからだろう。「決意と挫折」のループは自己嫌悪という二次的ストレスを生み出し、悪循環を強化してしまっている。

 真の解決策は、彼らの手持ち無沙汰な時間と疲れた心を、スマホ以外の「ポジティブな習慣」で満たしてあげることになりそうだ。このペルソナが、いかにして悪循環を断ち切り、豊かな夜の時間を取り戻せるのか。その成功を応援し、サポートする提案ができれば、生活者のニーズに寄り添った企画やプロダクトとして受け入れられそうだ。

まとめ

 今回は「デジタルデトックス」をテーマに、X(旧Twitter)の投稿約15万件の分析を通じて、その深層心理とマーケティングへのヒントを探ってきた。

 分析から見えてきたのは、人々が単なる「依存」に陥っているのではなく、「決意と挫折のループ」にともなう習慣に苦しんでいる事実だ。彼らは手持ち無沙汰な時間や日中の疲れを、最も手軽なスマホで紛らわせ、その決意を守れない自分に対して新たなストレスを感じていた。

 これらの分析から、マーケターには「禁止(デトックス)」というアプローチではなく、「新しいポジティブな習慣」の提案が求められているといえる。そして彼らが陥っている自己嫌悪という二次的ストレスに共感を通じて彼らに寄り添えるパートナーとなることが、顧客との長期的な関係構築のカギとなる。

 本連載では、今後も様々な社会のトレンドを切り口に、データの力で生活者のインサイトを可視化し、ビジネスやマーケティングのヒントを提言していく。次回もご期待いただけると幸いである。

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この記事の著者

澤野 未来(サワノ ミク)

 2024年プラスアルファ・コンサルティングに中途入社。CRM/MAツール「カスタマーリングス」のカスタマーサクセスを担当し、企業が抱えるマーケティング課題の解決を支援。現在はテキストマイニングツール「見える化エンジン」の企画職も兼任し、認知拡大に向けたコンテンツ制作や情報発信を推進している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50007

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