食でも美容でも“エンタメ思考”が広がっている?
今月のテーマは、「手間のかからないエンタメ思考」です。ここでいう“手間のかからない”とはつまり、“お金や時間をかけずに、日常の中で楽しむことができる”ということ。すなわち、数年前からトレンドワードとなっている「タイパ(タイムパフォーマンス)」や「コスパ(コストパフォーマンス)」の延長線上にあるエンタメ消費の在り方を指しています。今回は、そんなエンタメ消費の形を取り上げます。
象徴的なトレンドは、コンビニエンスストアやファストフードチェーンなど身近なお店の商品を使ったアレンジフード・アレンジドリンク。皆が知っているあの場所・あの店で買える商品で、オリジナルのメニューを作ることができる!という「手軽なオシャレ感」が受け、「#コンビニアレンジ」「#ドリンクレシピ」「#おうちカフェ」などのハッシュタグワードと共に自作レシピを発信する女の子が増えています。

トレンド例1:おうちで簡単アレンジフード
たとえば、最近流行した「焼きポン・デ・リング」。ミスタードーナツの人気商品「ポン・デ・リング」を“フライパンで焼いて食べる”というアレンジが注目を集めました。
また、美容・健康系フードでは「ヨアボ(ヨーグルト・アイス・ボウル)」が話題に。専門店に行かずとも、身近に買えるヨーグルトアイスやフルーツだけで作ることのできるアレンジフードとして広がりを見せています。
トレンド例2:カスタムドリンク
こうした流れの中で、より“カスタム性”に焦点を当てた「カスタムドリンク」のトレンドも登場しました。コンビニエンスストアで販売している「レモン飲料」と「飲むゼリー」を混ぜた「むくみ&疲労撃退ドリンク」や、「水」・「緑茶」・「はちみつ」・「レモン果汁」を混ぜた「美肌ティー」などがその好例で、身近に手に入る商品を自分好みにカスタマイズする、という「“手軽さ”と“アレンジ”を絶妙なバランスで楽しむことができるエンタメ性」が人気のポイントだと言えます。
ちなみに、こうしたカスタムドリンクは自宅で気軽に作ることができるため、見た目がオシャレでエコ・節約にもつながる「ストロータンブラー」に入れて飲むスタイルが人気を集めています。
トレンド例3:100均財布
この新しいエンタメの形は、食文化以外の面でも見られます。100円ショップのポーチを財布にするという「100均財布」がその一例です。
100円という低価格ゆえに購入のハードルが低く、複数をそろえて気分に合わせて“着せ替え”感覚で楽しむ投稿も目立ちます。加えて、これまで述べてきた「カスタマイズ文化」との相性の良さも見逃せません。シンプルなデザインやキャラクターものの100均財布は、ステッカーや刺繍、チャームなどで自分好みのデザインにアレンジでき、たとえば「推し」をテーマにアレンジを施すことも可能です。
ここでもやはり、カスタムドリンクで見られたような「“手軽さ”と“アレンジ”を絶妙なバランスで楽しむことができるエンタメ性」が存在しています。なお完成度の高いカスタムはSNSで拡散されており、100均財布が「自己表現ツール」として評価されていることがわかります。
