続くガチャガチャ人気、「ランダム性」もエンタメ要素に?
また、“カスタム性”ではなく“ランダム性”を軸としたエンタメのトレンドとして、ここ数年の「ガチャガチャ(カプセルトイ)」ブームが挙げられます。たった数百円で“ドキドキ感”や“ワクワク感”を味わえる。そんな「手軽なエンタメ性」が、学生・社会人を問わず女の子たちの日常に心地よい刺激をもたらすのです。

また“形として手元に残る”特性から、特に学生の間では、友達と同じガチャガチャを回してお揃いアイテムにするという楽しみ方も流行しています。“一緒に遊んだ思い出”をバッグに付けて、「友情を可視化するアイコン」として機能させるのです。そう考えると、ガチャガチャは単なるエンタメに留まらず、「友達とのコミュニケーションツール」としても受容されている存在だと言えるでしょう。
ちょっとした日常に「映えるネタ」を見つけたい
これらのトレンドから、「ちょっとした日常の中にもネタを見つけたい」というインサイトが見えます。この意識が浸透した背景には、たとえばコロナ禍以降「遠くへ行かなくても楽しむことができる」価値観が定着したことや、物価高に起因する節約志向の中で「お金をかけずに遊ぶ」スタイルが支持されるようになったことがあります。つまり、社会情勢と密に結びついたインサイトなのです。
最近ではSNSにおいても“日常のちょっとしたネタ”をシェアする文化が広がっています。たとえば、ChatGPTの画像生成機能を使用してビックリマン(ロッテの「ビックリマンチョコ」におまけとして入っているシールのキャラクター)※風の似顔絵イラストを生成して印刷する、という「ビックリマン風シール」。AIを使えば誰でも“簡単に”・“安く”真似できる遊びとして、女の子たちの間でトレンドとなりました。
同じ流れで、スタジオジブリの作品のようなタッチで写真を加工するという「ジブリ風イラスト」※も流行しましたが、これらにはすべて、「日常の写真を楽しく・ラクに加工してシェアしたい」というインサイトが通底しています。
※これらの表現はあくまでユーザー個人による創作・楽しみ方であり、各企業・原作との関連はありません。
また、特にファッションや美容に焦点を当てた、「背伸びをしすぎずに“オシャレなこと”をしたい」というインサイトもあります。たとえば、肌にラメやストーンを張り付けてデザインを楽しむ「ボディージュエリー」や、同じく“歯”を装飾する「トゥースジェム」。これらは、タトゥーやピアスなどの“高価格”や“痛み”が伴うものではなく気軽な気持ちでチャレンジできるオシャレであるため、学校や親の目を気にせずオシャレをしたい女の子たちに人気の体験です。

AI画像生成の例を含め、これらのトレンドに共通するのは、「特別な手間や高額な投資をせずとも、日常の中で“映える体験”や“ネタになる体験”を楽しみたい」という、今の女の子社会に見られるリアルな感覚です。
