そもそも「コンテンツファン消費行動調査」とは?
博報堂DYグループは幅広いエンタメコンテンツのファンの実態を知るため、年に1回「コンテンツファン消費行動調査(以下、コンテンツ調査)」を実施しています。2011年から開始し、今では1万人を対象とする大規模インターネット調査です。
特徴は、音楽やアニメ、映画にスポーツなど、11のコンテンツジャンルをカバーし、そのジャンル内でのコンテンツ利用の有無や、支出金額、利用する際のデバイスやシチュエーションの他、どんな嗜好があるかを聞く意識項目など180超の設問を備えていて、コンテンツファンの実態を様々な切り口で分析することが可能です。
コンテンツ調査はグループのナレッジ開発職やマーケティングプラナー、コンテンツプロデュースの専門家などで構成される「コンテンツビジネスラボ」が運営しています。私たちは調査データや独自のヒット研究をもとに、メディア企業やIPホルダー、コンテンツを活用したマーケティングを検討する広告主企業の支援を行っています。
コンテンツ支出が過去最高に
さて、2025年3月に実施された最新のコンテンツ調査では、支出者ベースでの一人あたりのコンテンツへの支出金額が8万5,137円に上り、調査開始以来、過去最高になりました。
コロナ禍の影響でエンタメ業界の活動が制限された時期を経て、2022年ごろから消費は回復してきましたが、2024年・2025年と支出金額は一段と高い水準で推移。エンタメビジネスが本格的に盛り上がっているといえそうです。
背景にはコンテンツを楽しむ環境がリアルとデジタルの両方に広がり、さらにグッズなどコンテンツ周辺への支出も浸透していることがあります。
ファンが支出した市場カテゴリごとに見ると、リアルイベント市場は2025年調査では推定で1兆2,596億円規模に拡大し、サブスク配信などを含むデジタルコンテンツ市場や関連グッズ市場も高い水準を維持しています。
支出人数は減少傾向、ピーク時から2,000万人減
盛り上がりを見せるエンタメコンテンツ市場ですが、気になるデータもあります。支出する人の数が減っているのです。
調査では何らかのコンテンツに支出している人を「支出層」と定義して推計していて、2025年は4,767万人でした。そもそも日本の人口自体が減少に転じてはいますが、調査開始以来、支出層は減少傾向で、ピーク時より2,000万人ほど減っています。
いわゆる「推し活」のように特定のコンテンツやアーティストなどを深く愛して支出もするというファンがいる一方で、コンテンツの利用人口そのものは減ってしまっているのかもしれません。
また、実は支出の有無を問わないコンテンツの「利用層」も同じく減少傾向にあり、コンテンツ市場は確かに盛り上がってはいますが、ファンの広がりには課題があるといえそうです。
