若年層にリーチしユーザー化を目指す、ロリエのマーケティング戦略
――はじめに、花王におけるロリエの立ち位置とマーケティング戦略を教えていただけますか。
佐藤(花王):ロリエは、発売40年以上になる歴史のある生理用品ブランドです。生理用品市場の特徴として、同じブランドを使い続ける方が多く、ブランドシフトが起きにくい点があります。そのため、若年層に知ってもらい、愛用していただくことが非常に重要です。
ロリエのマーケティング全般を担当。radikoの施策では、Nateeと連携してプランニングや出稿業務を行う。
これまでは、テレビCMをはじめマス広告でのコミュニケーションを中心に行ってきました。最近は、若年層にリーチしやすいSNSなど様々なメディアを活用したデジタルマーケティングにも注力しています。
視覚メディアを見られない時間に接触できる、音声メディアの強み
――radiko活用を提案したNateeはこれまで、ロリエのマーケティングにおいて、どのような支援をしてきたのでしょうか?
圓谷(Natee):Nateeは、ソーシャルメディアを起点にブランドとクリエイターの新たな価値を生み出すマーケティングカンパニーです。ロリエ様とはこれまで継続的に様々な取り組みを行っており、今回は生活者の動線に入り込み心を動かせるメディアという観点から、radikoの音声広告「radiko audio Ad」の活用を提案しました。
セールス兼プランナーとして、花王の課題解決に向け、ブランドとクリエイターとの共創を軸にしたマーケティング支援を行う。
――radikoへの出稿を提案した背景を詳しくうかがえますか。
圓谷:動画やSNSなど、現代の生活者は視覚情報が過多な状況です。そこで、「視覚の奪い合いからの脱却」を重視しました。移動中や家事をしているときなど、画面は見られないけれど耳は空いている時間は意外と多いです。そうした時間に「ながら聞き」される音声広告にはポテンシャルがあると考えました。
また、ロリエ様が大切にしている「安心感」や「寄り添う姿勢」を伝えるには、情報を広くリーチするだけでなく深く届ける必要があります。音声はイヤホンやスピーカーを通じて1対1で語りかけられるように感じられ、心理的な距離が近くなりやすいと思います。そのため、音声広告は特に、生活者に対して深いエンゲージメントを醸成できるだろうと考えました。
――花王はradikoへの出稿を決めるにあたり、どのような期待をされたのでしょうか?
高橋(花王):圓谷様が仰ったように、視覚が入り込めないモーメントにアプローチできる点と、完全聴取率が高く最後までメッセージを届けられる点に期待しました。
また、デジタル音声メディアは生活者の日常の中で自然に接触されやすく、広告メッセージも無理なく受け止めてもらいやすいと考えています。その特性が、生活者に寄り添って安心感を提供するブランドであるロリエのコミュニケーションと親和性が高いのではないかと考えました。
ロリエをはじめ、花王の様々なブランドのメディア戦略を横断的に支援している。
佐藤:radikoはラジオ好きな方が集中して聞かれているので、広告もじっくり聞いてもらいやすいのではないかと考えました。特に今回は商品認知の向上ではなく、興味関心や購入率の向上をKPIとしていたので、深く届くことを期待しました。
radiko Adについて関心を持たれた方は、radiko for Buzinessのお問合せフォームよりお気軽にお問い合わせください。
ラジオ広告はノンストレス?音声広告とコンテンツの関係
――広告に接触した人の不快感が少ないとのことですが、詳しくうかがえますか。
熊谷(radiko):radikoの音声広告はトークコンテンツが中心なラジオ番組の中での広告なので、音楽コンテンツ等に比べてリスナーに広告が自然に聞かれやすいのが大きな特徴です。ラジオ番組では昔から広告が流れていたので、リスナーの方々も広告がある前提で視聴していますし、中には広告を楽しみにしている方もいるほどです。実際に弊社で実施した調査では、動画や音楽など他の広告形態と比べても、ラジオの音声広告はストレスを感じにくいという結果が出ました。
地上波ラジオの良質なコンテンツの間に広告が流れるので、ブランド毀損の心配もなく、ストレスも感じにくいというのが、radikoの音声広告の特長と言えます。
セールス担当としてNateeと連携し、radiko audio Adの出稿を提案。
ターゲットに合わせた心に染みるクリエイティブをradiko audio Adで配信
――具体的な施策についてもうかがっていきたいと思います。利用した機能やスケジュールなど、取り組みの内容について教えてください。
圓谷: radiko audio Adの機能を活用して、15秒のブランドCM素材と30秒のオリジナル楽曲素材の2クリエイティブを制作し、18歳〜39歳の女性に向けて2025年8月末から約1カ月間広告を配信しました。
広告の接触頻度は高すぎても低すぎても効果が上がりにくいので、たとえば同じユーザーに広告が当たる回数を4回以上かつ上限を設けるといったようにフリークエンシーを設定しました。
――クリエイティブについて、音声広告だからこそ工夫した点はありますか?
圓谷:音声広告はスキップされにくい反面、違和感のある内容だとユーザーのストレスになってしまうこともありえます。番組の流れやリスナーの気持ちを邪魔せず、声のテンションや語りかけるスピードなどにも配慮して、すっと心に染み渡るような音楽とメッセージの融合を意識しました。
また、今回配信した2つのクリエイティブのうちの1つは、クリエイターと共に制作したオリジナル楽曲のクリエイティブです。このようなクリエイターとのコラボの場合、そのクリエイターのSNSアカウント上で「〇〇さんが出演している音声広告を聴いた」という発話が生まれることもあり、視聴者の音声広告体験が拡張されることで話題化や二次拡散も期待でき、音声広告単体の効果を最大化することにもつながります。
加えて、楽曲の歌い手として汐音(しお)さんというクリエイターにご協力いただき、音楽プロデューサーとして山口夕依さんに作詞・作曲いただきました。汐音さんは歌い手としてのチャレンジは初でしたが、ロリエのブランドイメージにも情緒的にフィットしていつつ特徴的な声をお持ちで、楽曲にポジティブな印象を持たせるには最適だと考えました。
山口夕依さんはこれまで多くの楽曲を手掛けられており、今回の『ロリエ もちふわfit』のオリジナル楽曲でも世界観と名称がしっかり残るような設計で考えていただきました。プラットフォーム横断での効果を最大化するためには、このようなブランドに最適なキャスティングとクリエイティブがあってこそだと考えており、今回の成功要因だと考えています。
佐藤:短い時間でも商品特徴をしっかりと理解してもらえるクリエイティブにすることも意識しました。たとえば「生理2日目こそ、もちふわfit。」のように、多い日にも漏れにくいという利用シーンと、商品名が『ロリエ もちふわfit』であることをシンプルかつ印象強く伝えています。また、ナレーションや音を優しいトーン&マナーにすることで、肌に優しい商品であることも表現しました。
使用した音声広告クリエイティブ

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広告接触者へのブランドリフトと購入率2.3倍を実現
――KPIは興味関心や購買のリフトとのことですが、どのような効果計測を行ったのですか?
熊谷:今回の検証では、radikoサーベイというブランドリフト調査と購買分析を実施しました。前者は、広告の接触者と非接触者に対して、radikoアプリ内でアンケートを行い、「認知」「興味関心」「利用意向」のリフトを調査するものです。そして後者は、購買パネルと連携し、広告接触者と非接触者の購入率を比較し、広告がどの程度購買に寄与するのか?を可視化する取り組みです。
花王様とのお取り組みでは、radikoサーベイにおいて全指標でアップリフトが確認されました。特に興味関心は約178%、認知は282%と高いリフトを記録しています。これらはradiko音声広告の平均リフトを大きく上回る結果であり、工夫されたクリエイティブとの相乗効果が示唆されます。
購買分析は、広告接触者の購入率が非接触者の2.3倍となり、意識の変化に留まらず実際の購買行動に繋がっている結果を確認することができました。
圓谷:ブランドリフトはもちろんですが、購買分析で音声広告に接触したユーザーの購買行動が喚起されたという効果を確認できたことは、音声広告が認知だけでなく行動変容を起こすメディアであることを示唆できたと言えます。
――こうした結果について、率直な感想や評価をうかがえますか?
佐藤:ロリエの過去施策と比較しても素晴らしい結果が出ました。正直、期待以上です。完全聴取率もかなり高く、改めてradikoはメッセージを深く届けられるメディアだと感じます。
深いコミュニケーションができる音声広告の可能性
――今後、radiko audio Adをどのように活用していきたいですか。
圓谷:今回の取り組みを通じて、リーチ数だけを追うのではなく、接触の質(深さ)を設計することの重要性を改めて実感しました。
メディアプランニングにおいて、正直なところまだ音声広告は「余った予算でやるもの」と思われがちですが、実際は「顧客と深いエンゲージメントを築くために欠かせないピース」になっていくはずだと考えています。今回、花王様がこうしたチャレンジをされて実績を残せたことは、広告業界全体にとっても大きな意味があると思います。
Nateeでは、radiko様のようなプラットフォームと連携しながら、視覚と聴覚をクロスさせた、より立体的に生活者の心を動かすコミュニケーションを設計していきたいと考えています。花王様とも、引き続き生活者とブランドが相思相愛になれるような深みのあるコミュニケーション設計に挑戦していきたいです。
佐藤:引き続き様々な場面でロリエのことを知っていただき、好きになってもらう取り組みを実施していきます。radikoについても、リーチだけではなくブランドのメッセージを深く伝えるツールとして、今後も活用していきたいと思っています。
高橋:広告の質という観点で、大きく3つの可能性があると考えています。1つ目は、表現の幅広さです。音声のみだからこそ、声のトーンや間・言葉選びなどのニュアンスを通して聞き手に想像の余白を残し、映像とは異なるメッセージを伝えることができます。
2つ目が、パーソナリティとリスナーとの距離感の近さを活かしたコンテンツ起点の施策です。他のメディアでは代替しづらい価値だと言えます。そして3つ目が、ジオグラフィックデータの活用です。たとえば、特定のチェーン店舗への来訪履歴データを活用することで、販促施策と連動した取り組みなどの可能性が広がると考えています。
今後も様々なブランドにとって再現性のある形で、活用の可能性を探っていきたいですね。
――radikoでは、今後広告主にどのような価値を提供していきたいと考えていますか。
熊谷:radikoは、画面を見られない可処分時間にアプローチできる点が特徴です。また、radiko audio Adでは、今回活用いただいた性別・年齢・興味関心のほかにも、たとえば「CMに出演しているタレントさんの番組を過去に聞いていたユーザー」といった行動からユーザーの絞り込みができます。また、高橋様に触れていただいたように位置情報に基づいて「最近ドラッグストアへ行った人」といったターゲティングも可能です。それらの機能をうまく掛け合わせることで、よりユーザーの生活に入り込んでいくようなコミュニケーションを提供できたらと思っています。
radiko Adについて関心を持たれた方は、radiko for Buzinessのお問合せフォームよりお気軽にお問い合わせください。

