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MarkeZine Day 2026 Spring

“好き”がブランドを強くする──コミュニティ活用の先駆者たち(AD)

Sansanのコミュニティ戦略には共創のヒントが詰まっていた LTV最大化からイノベーションの創出へ

 顧客との双方向の関係性を深め、事業成長につなげる仕組みとして再注目されている「コミュニティ」。本連載では、コミュニティを運営する先進企業を取材し「なぜ今コミュニティに取り組むのか」「どのように顧客と双方向の関係を築いているのか」「それが事業成果やブランド価値にどうつながっているのか」といった問いに迫る。第三回では、2016年からコミュニティ活動を行うSansanを取材。同社に伴走するコミューンのメンバーにも話をうかがうことで、コミュニティの可能性と活用のポイントを深掘りする。

LTV最大化を目的にしていて良いのか?

──Sansanにおけるコミュニティ活動の歩みを教えてください。

一方井:当社がコミュニティの活動を始めた時期は2016年に遡ります。当時はCS(カスタマーサクセス)組織の一部としてコミュニティを運営しており、主な目的はLTVの最大化でした。つまり、プロダクトをより深く活用してもらい、解約を防ぎ、売上を最大化するための場としてコミュニティが存在していたのです。

一方井氏
Sansan コミュニティ戦略室 室長 一方井 辰典氏

──2021年に大きな転換があったとうかがいました。

一方井:私自身が2021年にコミュニティを担当することになり「今のあり方で本当にコミュニティの価値を最大化できているのか」という疑問を抱きました。当社のミッションは「出会いからイノベーションを生み出す」です。プロダクトの話に閉じたコミュニティは、この壮大なミッションに対して世界観が狭いと感じたのです。

 出会いのあり方はもっと多様であり、その多様さがイノベーションの創出を促すはずです。会社が掲げるミッションをコミュニティという場所でこそ体現すべきではないか──そう考え、LTV最大化という目的をアップデートし、より広義の「イノベーション創出」を目指す場としてコミュニティを再定義しました。それが「Sansan User Forum」です。

Sansan User Forumのページ
Sansan User Forumのページ

──組織の体制も変わったのでしょうか?

一方井:運営主体がCS組織から独立した「コミュニティ戦略室」という専門組織になりました。LTV最大化だけが目的ではなくなったためです。会社のミッションにかけて、組織のミッションを「コミュニティからイノベーションを生み出す」としました。

 方針を変えた当初、社内の反応は厳しいものでした。LTVというわかりやすい指標から離れたことで、経営層に対してコミュニティの価値を証明し直す必要があったからです。実績がまだない中で「信じてほしい」と言い続け、一つひとつの施策で成果を積み上げることで、ようやく現在の立ち位置を確立することができました。

“信頼残高”が発足時の助けになった

黒田:専門組織を立ち上げてコミュニティを運営する際のポイントは「ミッションの明確化」です。Sansanさんの場合、全社ミッションをコミュニティのミッションへ見事に落とし込んでいます。これにより、コミュニティの成長が企業の成長とアラインし、チームが自発的に動きやすくなるとともに、他部署からの理解も得やすくなるのです。

黒田氏
コミューン Community Lab 所長 黒田 悠介氏

──他部署との連携において、苦労した点はありますか?

一方井:苦労はありましたが、私自身のキャリアパスが大きな助けになったと思います。十年以上会社に在籍し、様々な部署で多くの仲間と一緒に仕事をしてきた「信頼残高」があったからこそ、実績がない初期段階でも「じゃあ協力するよ」と言ってもらえました。信頼の厚いメンバーが集まっていることはチームの強みになっています。

 また「win-win-win」の関係を常に意識しています。我々よがりの企画になってもダメですし、ユーザーさんの利益だけを考えていては社内の協力が得られません。また、社内の利益だけを優先すればユーザーさんは離れていきます。「三方よし」の状態まで企画を練り上げることが我々の仕事です。

──2021年のリニューアルにともない、コミュニティプラットフォームを「Commune」にリプレイスした理由を教えてください。

一方井:従来のコミュニティより扱うテーマが広がるため、興味関心ごとに細かくグループを作れる柔軟な機能が必要でした。コミューンさんは「コミュニティの中にコミュニティを作る」という構想を掲げており、我々が求める機能を十分に備えていたためCommuneを選びました。

Sansan User Forumで生まれた様々な共創

──Sansan User Forumの取り組みにおいて、コミューンの皆さんが果たしている役割を教えてください。

宮川:私は立ち上げに伴走させていただきました。最初に複数のプランを提案したところ、一方井さんから「全部やりたいです」と言われまして(笑)。プレッシャーは正直大きかったですが、Sansanさんが目指すコミュニティの姿は我々も描きたい像だったため、サポートというよりは一緒に作らせてもらっている感覚で伴走してきました。

宮川氏
コミューン VP of CS 宮川 知也氏

矢野:現担当である私の役割は、単なるツールの活用支援にとどまらず、ユーザーさんとの信頼関係を軸にした「場作り」の議論を深めることです。最新事例を共有しながら、コミュニティの価値最大化に向けて、二人三脚で常にアイデアを練っています。

矢野氏
コミューン SaaS Biz Group Customer Success Ⅱ Dept. CSM 矢野 康博氏

──Sansan User Forumの活動内容を詳しく紹介いただけますか?

岡田:Sansan User Forumは、当社の「Sansan」や「Bill One」などを導入しているユーザーの皆さんが自由に参加し、交流できるオンラインコミュニティサイトです。業界・業種・エリア・役割を問わず、様々なユーザーさんが参加されています。情報交換のテーマはプロダクトの活用方法にとどまりません。日々の取り組みや悩み相談など幅広いです。

岡田氏
Sansan コミュニティ戦略室 岡田 玲氏

岡田:こうした交流の中から生まれた共創の代表的な取り組みの一つが「営業DX診断」の共創プロジェクトです。「営業DXという概念をより広く届け、サービスの価値をさらに高めたい」というSansan事業部の方針のもと、ユーザーの皆さんの知見をお借りしながら、診断ツールを一緒に開発しました。設問に回答することで、自社の営業DXの進捗度を可視化できる診断です。10名規模の「営業DX Meetup」から始まり、診断ツールやハンドブックが出来上がりました。回を重ねて、現在は150名規模のカンファレンスを開催するプロジェクトにまで成長しました。

 また、研究開発チームとのコラボレーションも盛り上がっています。ユーザーさんから「AI活用について学びたい」という声をいただき「Sansan×AI活用について語る会」を3ヵ月に一度のペースで開催し、あわせてオンラインコミュニティ内にグループを設置しました。

 Sanasn×AI活用について語る会では、AIに関する情報交換やリリース前プロダクトの先行体験を実施し、リリース時には研究開発メンバーがコミュニティ内のグループで直接コメントをしています。その結果、ユーザー同士のつながりに加え、研究開発チームとの関係性も深まりました。ここで得たアイデアを基に、プロダクトの機能をアップデートする動きも出ています。

一方井:いま岡田が紹介した取り組みには、Communeの機能が大きく貢献していると感じます。営業DXやAIなど、特定テーマに関心を持つ方が集まって深い議論をする際に、限定的なユーザーさんだけが見られるエリアでグループをつくることができるんです。運営メンバーも入りつつ、クローズドな環境でユーザーさんと一緒に企画を考えられるため、コミュニティの活性化につながっています。

KPIは固定せず3ヵ月ごとに目標を再設定する

──リニューアルから約3年が経ちましたが、現時点でどのような変化や成果が見られていますか?

岡田:アクション数はリニューアル前と比較して約100倍に伸長しました。社員だけでなく、ユーザーさんからも投稿に対して平均5〜20件の返信が届くようになり、盛り上がりを肌で感じています。

──コミュニティの成果を測るKPIはどのように設定されているのでしょうか?

一方井:かつてはコミュニティに参加しているユーザーさんの契約継続率や商談化率、売上増加率などをもってコミュニティの価値を経営層に示していました。しかし、これらの成果はどこまでいっても間接貢献です。「すごいね」で終わってしまい、本質的な価値が伝わらないもどかしさがありました。

 現在は、会社の戦略イシューにアラインする形でコミュニティ戦略室の目標を定め、その結果で判断するフローでコミュニティを運営しています。会社や事業の戦略イシューに対してコミュニティで貢献できることを考え、事業責任者や経営層と都度握るんです。たとえば先ほどの営業DX共創プロジェクトも、当時の会社の目標だった「営業DXの認知拡大」に連動した取り組みでした。結果的に診断ツールという有益なアウトプットも生まれましたし、成功だったと考えています。

コミュニティは“情緒”に振り切る

──BtoB企業が運営するコミュニティならではの特徴はありますか? BtoC企業のコミュニティとの違いを踏まえて、意識すべき運営上のポイントがあれば教えてください。

黒田:ビジネスの性質の違いがコミュニティにも反映されます。たとえば、ステークホルダーの多さ。現場の担当者だけでなく、マネージャーや経営層が意思決定に関わるからこそ、それぞれに応じたコンテンツの企画や体験設計が重要となります。

黒田:加えて、参加者のモチベーションも異なります。BtoCの場合は「共感」や「愛着」などの情緒的なモチベーションが働きやすい一方、BtoBの場合は「機能を使いこなして成果を上げたい」などの実利的なモチベーションにもフォーカスしなければなりません。Sansan User Forumは情緒と実利を高度に両立させている点が特徴的ですね。

一方井:BtoBビジネスでは、ほとんどの方が所属企業や肩書の下でお仕事をされています。ただ、コミュニティだけは個人が集い交わる場だと私は考えていて。実利的なモチベーションは、営業がお見せするマテリアルや会社が主催するイベントなどでも満たすことができるからこそ、コミュニティは情緒に振り切っているかもしれません。

──ユーザー主体の場を作る鍵となる「Sansan Navigator」について教えてください。

岡田:Sansan Navigatorは、コミュニティとユーザーさんをつなぐ架け橋のような存在です。リニューアル直後は5名でしたが、現在は20名を超えました。Sansan User Forumの世界観を非常に深く理解・共感していただいている方々で、積極的な投稿で場を盛り上げてくださったり、企画を一緒に考えてくださったり、新たなユーザーさんを呼び込んでくださることもあります。

一方井:中には、当社のプロダクトの機能を他のユーザーさんに紹介してくださる方もいて。コミュニティに貢献してくださっているSansan Navigatorの皆さんには、恩返しの機会を設けるようにしています。クローズドのグループを作成して当社主催のカンファレンスにVIPとしてご招待したり、オリジナルのTシャツや名刺などを贈ったり。少しでも「一緒に盛り上げていこう」と思ってもらえるような場にしたいんです。

宮川:コホート分析をすると、Sansan Navigatorの方々が非常に高い頻度でログインされていることが見て取れます。BtoBの場合は稼働が落ち着くはずの土日でも、ログイン率が少し上がるんですよね。それくらい居心地の良い場所になっているのだと思います。

コミュニティで差別化する時代へ

──今後、Sansan User Forumをどのような場所にしていきたいですか?

岡田:コミュニティから生まれるイノベーションの輪を、さらに広げていきます。Sansan User Forumの良さがまだ十分に伝わっていない方もいらっしゃるため、そういう方々がもっと気軽に発信できるようなコミュニケーションを意識したいです。企画を考えてくださるのはユーザーさんですが、皆さんがワクワクできる場づくりや、ユーザーさん同士をつなぐことでコミュニティを盛り上げられると思っています。

矢野:私は、ツールありきの支援ではなく「どうあるべきか」という体験設計を第一に引き続きサポートしていきたいと考えています。現状に満足されていないところがSansanさんの素敵なところです。今後も提案内容やプロダクトのアップデートを重ねて、コミュニティの可能性を広げるお手伝いができればと思います。

一方井:コミュニティが持つ正しい価値を、社内だけでなく世の中に広めていきたいです。コミュニティに対して「どうせ飲み会なんでしょ」「サークル活動でしょ」というネガティブなイメージを持つ方は未だにいらっしゃいます。これほど学び深い交流が生まれる場所なのに、ただの飲み会やサークルだと捉えられてしまうのは非常にもったいないと感じていて。古いイメージを変えていきたいと本気で考えています。

宮川:一方井さんがおっしゃった展望を実現するためには、我々がマーケットを広げていかなければなりません。「コミュニティをやっていないほうが少数派」くらいのムードになるよう、コミューン自体も進化し続けていきたいと思います。

黒田:AI時代において、ことSaaS企業は機能面での差別化が難しくなると目されています。仮にそのような未来が訪れても、顧客との強い信頼関係は模倣不可能な競争優位になるはずです。コミュニティ運営を顧客との信頼関係を築く資産形成のようなものだと捉えて、Sansanさんのように中長期的に取り組む企業が増えると良いなと思っています。

コミュニティ活用についてもっと知りたい方は

書籍では、コミュニティの立ち上げ方が詳しく解説されています。具体的なノウハウを学びたい方は、ぜひお手に取ってご一読ください。

『コミュニティ経営の教科書 顧客・従業員とのつながりが競争優位となる新時代の事業戦略』商品ページ

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:コミューン株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/03/04 10:43 https://markezine.jp/article/detail/50289