マーケティング施策を起点とした、価値創出のエコシステム
生成AIが思考の共働者としてマーケティングに加わることで、現場にはこれまで以上に多くの問いや示唆が集まるようになっている。それらは施策の改善やアウトプットの質向上にとどまらず、市場をどう捉え、どう新しい価値を作り、どの方向に進むべきかといった、意思決定そのものを支える材料として扱われ始めている。
その結果、マーケティングはブランディングや販促を担う機能を超えて、経営に近い役割を内包し始めているようにも見える。生成AIの正しい浸透とは、導入率や利用時間の話ではない。生成AIを組み込んだときにそもそもの会社の業務設計や組織設計、ベンダーやパートナーとの関係、すなわちエコシステム設計が大きく変わってゆくことも考えられる。
「使うDX」から「引き受けるDX」へ
生成AI時代のDXにおいて、最も重要なのは「使えるかどうか」ではない。むしろ使えるのは当たり前で前提条件となる。使い方は見つける、PDCAをくり返し使えるようにするというのが正解だ。ここで重要なのは「判断を引き受けられるかどうか」になってくる。
生成AIは、選択肢を増やし、視野を広げ、仮説を無数に提示することができる。人間が考えブレストする何万倍も早く実行できるのだ。これを活用しない手はない。しかし、その中から何を選び、どの仮説を信じるかは、基本的に人判断になるだろう。この部分は最終的には“共働”するとしても生成AIに任せないほうが良いと考える。すなわち生成AIのDXとしての正しい浸透とは、判断をAIに委ねることではなく、生成AIを前提に、人が判断を引き受け直すことなのだ。
2026年において、生成AIを導入しているかどうかは、もはや重要ではない。問われるのは、生成AIが存在する世界で、組織はどのように意思決定を行う存在であり続けるのか。この「判断構造の再設計」がマーケティング領域に入ったとき、なぜ個別施策を超えて、より大きな価値創出の構造へとつながっていくのかを考えていく。
