来場者数は14.8万人規模に~会場で体感してきたテックと実感~
2026年、世界最大級のテクノロジーイベントCESは、4日間にわたりラスベガスをイノベーションの熱気で包み込みました。
事前情報から、会場ではヒューマノイドをはじめとするロボットの出展が予想されていたこともあり、SNSや動画を通じて、その印象が強く残りがちです。ただ、本稿ではそうしたロボットの話題や“わかりやすい映像”に振り回されすぎることなく、マーケティングの視点からCES全体を整理し、テクノロジーがどのように社会・産業・生活と結びついて語られていたのかを丁寧に見ていきます。
2026年の来場者数は約14万8,000人規模とされ、前年(2025年)から堅調に増加しました。パンデミック後の回復局面を越え、「集まる価値」そのものが改めて問われ、評価されていることを示す数字とも言えるでしょう。
CESと言えば、「未来を語る技術の場」とステレオタイプに語られてきた傾向がありますが、開発する企業の側は現実的なマネタイズまでの間隔が、短時間、短期間に向かっている印象を受けます。実際、スマートと名の付く「スマートホーム」「スマートグラス」「スマートリング」などの商品は単に展示されるのではなく、すでに北米市場の店舗では陳列されている商品も増えています。今夏販売予定、年内販売予定と銘打って、CESに合わせてティーザーの発表をする企業もあります。
つまり、「CES=近未来のテクノロジーを知れる場」ではなく、「少し先の情報を先駆けて知れる場」に変わってきているように感じます。
スポーツイヤーと選挙が重なる米国の2026年、市場は独特の空気感に
テクノロジーやAIの話に入る前に、まず押さえておきたいのが、2026年のアメリカ市場を取り巻く独特の“空気感”です。2026年は、広告・マーケティングの観点から見ても、極めて特殊な年となっています。というのも、以下の通り、アメリカ人が特に高い熱量で視聴するスポーツイベントと、政治・国家的イベントが1年に集中しているのです。
2月:2026年ミラノ・コルティナダンペッツォオリンピック
3月:ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)
6〜7月:FIFAワールドカップ
7月4日:独立記念日(建国250周年)
7月14日:MLBオールスターゲーム(独立宣言が発表されたフィラデルフィアで開催)
11月:中間選挙
オリンピック、野球、サッカーといった大型スポーツイベントは、アメリカ市場において依然としてテレビ受像機の買い替え需要と強く結びついています。
実際、中国の家電メーカーTCLはオリンピックのワールドワイドスポンサー、ハイセンスはFIFAワールドカップに加え、NFLのオフィシャルパートナーとして会場内のパネル展示でその存在感を示していました。2026年は、家電メーカーにとっても、広告主にとっても、まさに「勝負の年」と言えます。
また、7月4日は、アメリカが独立250周年という大きな節目を迎える象徴的な日です。アメリカの方にとって「ジュライ フォース」は特別な1日。その準備の一環として、America250委員会は、全国規模の大学起業家競技会という新たな国家イニシアチブ「America Innovates(アメリカは革新する)」を発表しました。
そして、11月には中間選挙もあります。日本で「キャンペーン」という言葉は主に販促活動を指しますが、アメリカでその最大のキャンペーンは選挙です。従来、選挙のある年は政治広告の増加により広告枠の確保やターゲティングが難しくなることから、企業は大型広告キャンペーンを控える傾向がありました。しかし今年は建国250周年という国家的節目と大型スポーツイベントが重なっており、アメリカ国内のデジタル広告、特に動画広告市場は堅調に推移すると見る関係者が多くいました。
