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TikTokレコメンドシステムの裏側:安心安全、その先のデジタルウェルビーイング実現に向けて

レコメンドアルゴリズムの構造――「数学」による最適化

 最後に見るのは、TikTokのユーザー体験の核である「おすすめフィード(For You Feed)」のアルゴリズムの裏側。高度な数学的処理によって構築されているTikTokのアルゴリズムについて、ロイ氏は「マジックではなく、数学(Mathematics)だ」と、その構造を解説する。

多次元グラフ上で「ユーザー×好みの動画」をマッチングさせる

 基盤にあるのは「エンベディング(埋め込み)」と呼ばれる方法。これは、機械が日々の出来事やコンテンツの内容を理解するために、あらゆる情報を「0」または「1」の数値(ベクトルデータ)に置き換える手法だ。

 まず、ユーザーの「いいね」「コメント」「視聴時間」といったリアクションをシグナルとして収集し、機械が理解できる「0」か「1」の数値に置き換える(例:最後まで見た動画、リアクションがあった動画は「1」=ユーザーにマッチしている)。この数値化によって、すべてのコンテンツとユーザーに「個別のスコア」が割り振られる

 そのスコアをもとに、コンテンツとユーザーは多次元グラフ上にプロットされる。このグラフは、いわばTikTok上のすべてのコンテンツとユーザーがいる巨大な地図のようなイメージ。地図上で近い位置にあるコンテンツほど、ユーザーが好む可能性が高いと数学的に判断され、優先的にレコメンドされる仕組みになっている。

グラフのイメージ
グラフのイメージ

フィルターバブルを脱する機能も

 TikTokのアルゴリズムがユニークなのは、8本の動画を1セットとして学習を回している点だ。8本ごとのリアクションを分析し、「最新のあなた」にフィードを最適化し続ける

 しかし、特定の興味関心に偏る「フィルターバブル」は社会的な懸念材料でもある。これを防ぐため、TikTokは「10本のうち4本は、あえて興味とは無関係なトレンドや異なるカテゴリーの動画を混ぜる」という仕組みも導入しているという。アルゴリズム内で未知との出合いも担保しているわけだ。

 さらに、学習が進みすぎてフィードが偏ったと感じたときのために、学習履歴をリセットして利用初日の状態に戻す「フィードのリフレッシュ」機能も用意されている

ペアレンタルコントロール、STEMフィードなど機能の拡充も

 取材では、新たに実装された機能の紹介もあった。たとえば、親が子供の利用状況をリモートで管理できる「ペアレンタルコントロール」機能。これは、単に利用を制限するだけでなく、家庭内でのデジタルリテラシーに関する対話を促すことにも繋がる。

 具体的には、1日あたりの視聴時間を親の端末から設定できるほか、特定のキーワードを含む動画が子供のフィードに表示されないよう制限をかけることができる。また、メッセージを送受信できる相手を制限したり、機能を完全にオフにしたりすることも可能だという。

 さらに、教育的価値の高いコンテンツを優先的に提供する「STEMフィード」が米国などでは先行提供されている。短尺動画を受動的に視聴し続けるだけでなく、プラットフォームを通じて具体的な「学び」を得たり、「対話」を促したりすることで、より質の高い視聴体験を創出する狙いがあるのだろう。

“安心安全”がTikTokの根幹を成す

 TikTokは、「滞在時間の最大化」だけでなく「視聴の質の向上」へとその評価軸を広げつつあるのかもしれない。また大前提として、SNSの影響力がますます強くなっている今、「安心安全に利用できるプラットフォームであること」の重要性が高まっていることは言うまでもない。

TikTok Trust & Safety 北東アジアパートナーシップマネージャー 梁秀瑛(ヤンスヨン)氏
TikTok Trust & Safety 北東アジアパートナーシップマネージャー 梁秀瑛(ヤンスヨン)氏

 取材の最後に梁氏は、TACの存在意義、TikTokとして安心安全の取り組み力を入れる理由について、次のように話していた。

 「“安心安全”はTikTokのすべての根幹を成すもの。既存のリスクだけでなく、新たに出てくるリスクにも備えています。ただ、この“安心安全”を実現するためには、社会全体のメディアリテラシー向上も必要です。TikTokのガイドラインも、利用者に認知・理解されなければ意味がありません。安心安全に向けた取り組みの“発信”も重要であり、今後も精力的に活動を続けていきます」

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2026/03/16 08:30 https://markezine.jp/article/detail/50435

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