世界観を具現化するクオリティへのこだわり
──今回のポップアップストアでのキャラクターグッズの展開にあたり、苦労された点はありましたか?
非常にたくさんありました(笑)。製造元の発掘やコミュニケーションもそうですが、何よりクオリティの担保です。本国のアメリカに在籍している、Duoの生みの親であるデザイナーによるクリエイティブチェックが非常にシビアなんです。製品の造形がブランドの守るべき水準を満たしているか、常に時間との勝負でした。サンプルのクオリティが基準に達せず、泣く泣く発売を見送ったアイテムもあります。SKUが多かったので、その管理も大変でした。
ただ、プロジェクトを進める上で大きかったのは、初期段階で「コンビニ」というコンセプトをしっかりと固められたことです。コンビニという明確なベンチマークがあったおかげで、「日本のコンビニならこういうものが置いてあるよね」「唐揚げみたいなホットスナック風のアイテムも並べたいね」と、企画の判断基準がブレませんでした。
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グローバルのメンバーも、自分で日本のコンビニの画像を検索しながら、「こういうのおもしろいね!」とワイワイ楽しみながら企画を進められました。コンセプトの持つ力を、改めて実感したプロジェクトでしたね。
「絶対的な正解はない」IP展開の描き方
──IPビジネスへの挑戦は、アプリマーケターとしてのキャリアを築いてきた水谷さんご自身にとっても初めてのことだったと思います。どのように学んでいったのでしょうか。
網羅的に本を読んだり、事例を調べたりもしますが、一番参考になるのは当事者に話を聞きに行くことです。ゲーム会社などでIPビジネスを成功させている方々に直接話を聞きに行くと、これまで見えなかった課題や質問が見えてきます。
──その中で、一番の発見は何でしたか?
「IPビジネスに絶対的な正解の方程式はない」ということですね。人によってアドバイスしてくださることがまったく違うんです。「最初にビジュアルコンセプトを固めるべきだ」という人もいれば、「アニメに投資すべきだ」「ライセンシングはこう進めるべきだ」と、重要視するポイントが見事にバラバラなんですよ。
この「こんなにも違うんだ」という発見は、同時に「こんなにも正解の数があるんだ」という気づきでもありました。そこで、自分なりに思考を整理するために、IPの市場をセグメント分けして考えるようになったんです。
たとえば、子ども向けのIPだとしても、年齢とともに「卒業していくIP(例:機関車トーマス)」と、大人になっても「卒業しないIP(例:ポケモン)」があります。また、アニメなどの映像化そのものがマネタイズポイントになるIP(例:鬼滅の刃)もあれば、映像化はあくまでグッズ展開を後押しするブースト装置として機能するIP(例:ベイブレード、リカちゃんなど)もあります。
このようにターゲットや目的で市場を細分化していくと、それぞれの最適な手法やコンセプトが見えてくる。この自分なりの整理が、IP事業を推進する上での拠り所になっています。
“Duo先生”として実写ショートドラマを制作
──今後のDuolingo、特に日本でのIP展開について教えてください。
まずは3月2日から、実写のショートドラマ『私立デュオリンゴ学園』をYouTubeや各SNSで公開します。英語に挫折して荒れ狂うクラスを、新人の“Duo先生”が立て直していくという、どこか懐かしい平成学園モノのようなストーリーです(笑)。アプリが持つ「語学学習を諦めさせない」というコンセプトを、ドラマという形で楽しくお届けする試みですね。

──最後に、水谷さんご自身の展望をお聞かせください。
IPビジネスとしてのDuoは、まだほんの走り始めの段階です。もし興味を持ってくださったライセンシーのパートナーさんがいらっしゃれば、ぜひお声がけをお待ちしています。
私自身の展望としては、引き続きDuolingoを日本で成長させていくこと。DAUの規模はグローバルでも上位ですが、さらに浸透させていきたいです。さらに、オンライン英語能力試験の「Duolingo English Test(DET)」も、アメリカの大学の95%以上で採用されているように、日本でも当たり前の選択肢として育てていきたいと考えています。
