「お~いお茶」をモンゴルで拡販、顧客調査をAIで大幅に効率化
最後にモンゴルにおける「お~いお茶」拡販における、「BestMove」の活用事例も紹介された。現地に赴くことも難しく予算も限られる中、従来はインターネット検索や現地コンサルタントへのヒアリングといったアナログな手法に頼らざるを得なかった。こうした制約を背景に、コストをかけずに打てる手を模索した結果、「BestMove」を活用することになったという。
「海外在住の健康志向な人」をターゲットに設定し、無糖緑茶を食中飲料として手に取ってもらうためのアイデアとして、「モンゴルの定番料理との食べ合わせ」という訴求切り口を「BestMove」で検証。その結果、高評価クラスターからの反応が良好であることが確認され、施策の方向性に一定の手応えが得られた。さらに高評価層へのインタビューを重ねることで、モンゴルの食習慣や飲料に対する意識など、現地に赴かずとも得られる示唆が着実に蓄積されていった。
立案した企画を91%が低評価?AIの「フラット&客観的」なアウトプットが活きる場面も
施策立案の過程で有望視されたアイデアのひとつが、「寿司マスター監修の緑茶にぎりレシピ付きPOP」だ。「お~いお茶」で炊いた寿司米を抹茶塩で握る"グリーン寿司"のレシピカードをPOPにするという内容で、日本のイメージを活かしつつ低コストで実現できる案として現実味があると考えた。
しかしAIアンケートで検証したところ、91%が低評価という結果が出た。というのも、モンゴルは内陸部が多く新鮮な魚介を扱う寿司の家庭調理はハードルが高いのだ。現地の食習慣とマッチしないといった具体的な理由が提示され、思い込みを冷静に修正するきっかけとなった。
矢野氏は「商品への思い入れが強いほど低評価から目を背けがちになるが、BestMoveはその結果をフラットかつ客観的に提示してくれる。ここにAIの本質的な価値がある」と話す。
加えて、「BestMove」の最新機能として画像を用いたABテストも紹介された。これは、商品情報とキーワードをもとに抽出した1,000〜2,000人規模のランダムサンプリングユーザーに対し、VOC(Voice of Customer)を収集しながらスコアリングを行い、集団全体のトップ5・ワースト5の意見を集約するもの。寄せられた意見はペルソナ単位で分解・可視化されるため、高評価層・低評価層いずれのユーザー像も詳細に把握することができる。
さらに、特定のペルソナに近い実在のユーザーと直接対話したい場合は、該当ユーザーを抽出してオンラインインタビューができるサービスもこれから備えていくようだ。
さらなる盛り上がりを見せるインバウンド市場だが、言語や文化の壁もあり、顧客理解に苦戦している企業も多いだろう。もとより、海外で顧客調査やテストマーケティングを行うとなると、どうしてもコストが膨らんでしまう。こうしたマーケティング業務でこそ、AIによる効率化が価値を生むのではないだろうか。
最後に、NEC小図子氏は「今回紹介された伊藤園様の事例が、“AIを活用していてもなかなか成果につながらない”と課題を感じられているマーケターの参考になれば幸いです」とセッションをまとめた。

