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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Spring

事例を通して見る世界のマーケティング/ブランディングのトレンド

楽しみから義務としての「美しさ」へ。データと先進ブランド事例にみる価値観の変化

 現代人にとって「美」の意味は変わりつつある――。国内でも“兆し”あるマーケティングの新たな潮流に、業界を先進するブランドはどう向き合っているのだろうか? 本連載では、世界で100ヵ国以上にオフィスを展開する広告代理店HAVASで日本のエグゼクティブ・ディレクターを担う北市卓史氏が、同社が持つ専門研究チームとそのネットワークを活かし、世界各国の先進的なブランドによる取り組み事例を紹介。今後国内でも注目すべきマーケティングトレンドを共有していく。今回取り上げるのは、「美」が関連する多くのブランドが見過ごすことのできない価値観の変化と社会的な課題、そして海外ブランドが実践する新しい向き合い方のサンプルだ。

現代人にとっての「美しさ」とは?

 現代人にとっての「美」とは、楽しみなのでしょうか。それとも義務なのでしょうか。

 これまで「美」とは、文化や時代を映す「装い」として存在してきました。古代エジプトのコールやルネサンス期の白粉、日本の紅文化など、それは自分をより魅力的に見せるための営みであり、ときに楽しみでもありました。人間の根源的な欲求の一つでありながら、どこか自由で創造的な行為でもあったのです。

 しかし近年、その意味は変わりつつあります。今多くの人が、美しさを整えることを単なる外見の演出ではなく、「心を整えるセルフケア」として捉えています。メンタルヘルスやウェルネスの一部として「美しさ」が位置づけられているのです。これはプロシューマー層(トレンドを生み出し、社会の消費行動に影響を与える生活者グループ)でより顕著に見られる傾向でもあります。

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 そして、美しい外見を保つことへの社会的なプレッシャーも強まっています。外見の美しさが、いつのまにか「努力すべき前提」になり、自分に自信を持てない人も少なくありません。近年のGLP-1受容体作動薬など、効率的に痩せる方法への関心の高まりは、「美しくあらねばならない」という空気の表れともいえるでしょう。楽しみだったはずの美が、気づけば義務的なものへと変わりつつあるのです。

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 本記事では、かつて「自分を彩る楽しみ」であった美が、なぜ今「社会的なプレッシャー」へと意味を広げているのかを考えます。その変化をたどりながら、現代人が美しさとどう向き合っているのか、そしてブランドがどのような役割を果たせるのかを探っていきます。

美しさは健康へ

 近年では、美容と健康を結びつけるブランドの動きが加速しています。スーパーフード(肌・髪・爪に良い影響を与える栄養価の高い食品)や、スリープマキシマイジング(睡眠の質を高める習慣)、ヨガ、瞑想といったウェルネス活動が、美しさを支えるものとして語られるようになりました。いまや美しさは、表面を整えるだけでなく、心と体の状態を整えるものへと広がっています

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事例1:Erewhon : Strawberry Glaze Skin Smoothie――体内からスキンケア

 アメリカの高級スーパー「Erewhon」は、美容を意識したスムージーを販売し、大きな話題になりました。このスムージーには、コラーゲンやシーモス(藻類)などの成分が入っていて、価格はなんと1杯約20ドル。高価ではありますが、SNSで注目を集め、多くの人に知られる商品となりました。

 この商品のテーマは「Glazed Skin(内側から発光するようなツヤ肌)」です。肌を外からケアするのではなく、体の内側から整えることで美しさを目指す、という考え方が特徴です。美容液を選ぶようにスムージーを選ぶという、新しい美容の形を示した事例といえます。

 続いて、Estée Lauder、Gucci、Diorの事例を紹介します。

次のページ
特別な体験プログラム、デバイス…美と健康をつなぐ実践

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この記事の著者

北市 卓史(キタイチ マサシ)

HAVAS JAPAN 株式会社   Executive Director

営業職をベースに、国内と海外にて広告代理店の会社/新規事業立ち上げに従事。2022年より世界149カ国にオフィスを展開する広告代理店であるHAVAS社の日本法人の現職に就任。多様性のある職場や働き方、他国オフィスとのオペレーシ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/03/25 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50562

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