BtoCで磨き上げた「体験」を携え、本丸のBtoB市場へ
――GiftXは2026年に法人向けのギフトサービスを本格的にスタートしましたね。そもそも、飯髙さんはなぜ「ギフト」という領域を選んだのですか?
飯髙:実は、最初からギフト領域でやろうと決めていたわけではないんです。まず「起業する」という意思が先にありました。これまでの私のキャリアは、ベーシックでの『ferret』の立ち上げやホットリンクのCMOなど、トップが描く面白い未来を「作って広げる」という二番手のポジションでした。それが、自分には圧倒的に向いていると自負していました。
しかし、コロナ禍で内省する時間が増えるなか、ふと「自分は本当に、本気でチャレンジをしたことがあるだろうか」と考えたんです。誰かのサポートではなく、自分自身がオーナーとしてリスクを背負って勝負したい。その「起業への覚悟」がまず先にありました。
――起業を決意した後に、ギフト市場に行き着いたのですね。
飯髙:はい。いくつかの領域でテストマーケティングを行うなかで、最終的に行き着いたのがギフトでした。AIやテクノロジーが進化した先で最後に残るのは「人間関係」や「誰から買うか」という感情的な価値ではないかと考えたからです。
そこでギフト市場を深く調べてみると、約10兆円という規模がある一方で、受け取り手の約20%(2兆円分)が「好みではない」と感じているという、巨大なミスマッチが放置されている実態が見えてきました。
この「多くが幸せになっていない構造的な負」を解消するインフラを作ることこそ、自分がこれまでのマーケティングの知見をすべて投じて取り組むべき課題だと確信したんです。
ただ、最初から法人向けをやりたかったものの、市場には既に強力な先行プレーヤーがいました。そこでまずはBtoCからスタートし、私たちが提唱する「選び直せる」という独自の体験や、それを支える複雑な物流システムを徹底的に磨き上げる戦略をとりました。
市場規模10兆円、その裏側にある「2兆円のミスマッチ」
――既存のカタログギフトやeギフトも、その課題を解決しようとしているように見えます。
飯髙:既存モデルを深掘りすると、実は別の構造的課題が見えてきます。たとえばカタログギフトは、受け取り手の約25%が期限切れで失効しています。また、5,000円のカタログを贈っても、中身の商品は2,000円〜4,000円相当などと幅がある。ビジネスモデルとしては「受け取られないこと」や「安い商品が選ばれること」で利益が出る仕組みなんです。
優れたモデルですが、送り手の思いやりや受け手の観点では疑問が残ります。そこで、「あなたにこれが合うと思う」という送り手の想いを1つ選んで届けつつ、もし相手の好みに合わなければ選び直せる選択肢を用意する。そして「受け取られた金額のみを支払う」後払い方式のギフトサービスを提供することにしました。
このモデル自体は海外で既に確立されていますし、目新しいものではありません。しかし、在庫リスクや物流の複雑さから、既存の巨大プレーヤーがこちらに転換するのはハードルが高い。私たちは初期設計から「選び直し」を前提とした物流を組んでいるため、強力な優位性になると確信しています。
