広告とコンテンツの境界は消える。e.l.fのUGC施策
最終的に、広告とコンテンツの境界は曖昧になる。
e.l.f. CosmeticsはTikTok上でUGCを活用し、広告とコンテンツを融合させている。
同社はオリジナル楽曲「Eyes Lips Face」を起点にしたキャンペーンで、70億~100億回以上の再生、500万〜700万本以上のUGC投稿を生み出し、TikTok史上最大級のブランドキャンペーンとなった。
さらに、サイトトラフィックは200%、商品検索が300%へ増加するといったビジネス成果にもつながっている。
ここでのマーケターの仕事は、広告制作ではない。「どのトレンドに乗るか」「どの文脈でブランドを自然に接続するか」「ユーザーが参加したくなるフォーマットをどう設計するか」など、UGCが生まれる土壌を設計することである。
また、運用の考え方も変わる。完成形を作るのではなく、小さなコンテンツを高速で投入し、再生数や保存率、シェア率を見ながら改善を繰り返す。
ユーザーは広告としてではなくコンテンツとして消費するため、心理的な抵抗が低い。広告運用は枠の管理から、コンテンツ環境の設計へと変わった。
日本企業の競争力を決める4つの転換
海外企業の取り組みは一見高度だが、その本質はシンプルだ。意図を理解し、表現を変え、生成し、最適なタイミングで届ける。このループをどれだけ細かく回せるかに集約される。そのうえで、今日本企業が取り組むべきは、次の4つの転換だ。
第一に、セグメントではなく行動で顧客を理解する。閲覧履歴や購入履歴から「検討中」「比較中」といった今の状態を定義する。
第二に、クリエイティブを「素材単位」で管理する。完成品を作るのではなく、画像、コピー、オファーを素材として分解し、組み合わせ可能な状態にする。
第三に、改善サイクルを高速化する。週次ではなく日次、可能であれば接触単位で改善を行う。
そして第四に、マーケターの役割を再定義する。制作ではなく設計に価値を置き、意思決定の仕組みを作る。
マーケティングは配信ではなく、学習するシステムの設計である。パーソナライズは「誰に何を届けるか」ではなく、「その瞬間に何を生成するか」という問いに変わった。この発想に転換できるかどうかが、これからの競争力を決める。
