デザインの領域にもAIが。AIを使い、顧客19名と「本当に欲しかった服」を企画
MarkeZine:デザインの領域にもAIは入ってきていますか?
藤田:今年新しく出たファッションデザインエージェント「TOMOKO」がすごく優秀で、まさに使い始めたところです。
NAVYNAVYでは「ライフパフォーマンス向上委員会」というプロジェクトを行っており、公募で集まって下さった19名のお客様と一緒に、「本当に欲しかった服」をみんなで企画して作っています。以前はMaison AIでプロンプトを考えながら画像生成していたのですが、TOMOKOは「こういう服を作りたい」と入力すると、あっという間にデザインを起こしてくれるんです。2026年のコレクションなどを調べて、ファッションのトレンドをリサーチした上で、いくつかのデザインパターン出してくれます。
MarkeZine:デザイン経験やファッションの知識がない方でも、デザインを起こせるわけですね。
藤田:そうなんです。「もう少しエレガントにして」などと指示するだけで調整してくれるので、デザイナーでなくても商品を企画することができます。委員会ではいくつかのチームに分かれ、TOMOKOを使ってデザイン案を作り、最後に商品企画のプレゼンをするというワークを実施しました。
MarkeZine:最終的には、そこで企画した服も店頭に並ぶのでしょうか?
藤田:はい。自分の課題を解決してくれる服が、商品として店頭に並び、また別のお客様の課題解決につながる――ユニバーサルデザインの発想ですよね。委員会では、メンバーの皆さんの思いの強さに感動することもあります。
MarkeZine: AIでデザインを起こす際、「NAVYNAVYらしさ」を守るために、どのようなことが大事になってきますか?
藤田:ブランドの軸が非常に重要になってくると感じています。そこがないと、AIが出してくる多様なアイデアをディレクションし切れません。「NAVYNAVYはどういうブランドなのか」「誰に対して、何を提供するブランドなのか」という判断基準があるから選択・判断ができる。ブランドの軸となるコンセプトを大事にしています。
結局、仕事量は増える?AIエージェントと働く難しさと魅力
MarkeZine:AIエージェントにより効率化される部分もあると思いますが、22体のエージェントと仕事をするとなると、藤田さんがさばく量は結果的に増えているのではないですか?
藤田:そうなんです。AIはどんどんアウトプットしてくるので、人間にはそれをまとめる力が問われます。AIのアウトプットを、AIにまとめてもらったこともあるのですが、あまりうまくワークしませんでした。結局、答えを出すのは人間なので、AIからのアウトプットもある程度は自分で飲み込む必要があると感じています。どうすれば、もっとうまく効率的にAIエージェントを使いこなせるのか……正直、私自身もまだコツをつかみ切れていません。

また、人間のフィジカルな価値はAIには代替できないのだろうとも思っています。先日、イベントで店頭に立つ機会があり、せっかくなので「ディレクター(人間)とAIに相談できる場」という打ち出し方をしたのですが……お客様はぜんぜんAIに興味を示さなかったんですよ。「ディレクターの藤田に服を選んでほしい」というニーズのほうが圧倒的に大きく、イベントなどのリアルな場では人間のフィジカルな側面が必要とされることを改めて感じました。
MarkeZine:そんな中でも、AIにどのような可能性を感じているか、最後にお聞かせください。
藤田:AIエージェントの活用により、職能の壁がなくなったのは確かです。デザイナーである私がPRやSNS戦略も考えられているわけですから。AIエージェントにより、自分の職種が拡張された感覚があります。
AIは進化のスピードが速すぎて、正直怖くなることもあります。ですが、どんな時も何がいいのかを判断するのは人間だと思っています。AIエージェントとの共創についても方法はあえて固定せず、進化の波に乗りながら、一緒に成長していきたいです。
