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【西口一希氏特別連載】マーケティングは何のため?仕事に活きる“OS”を学ぶ

「価値」は顧客が見出すもの。3つの法則で考える、ロイヤル顧客の重要性

「5:25の法則」:わずか5%の改善が、利益を劇的に変える

MZ:3つ目の法則は、さらに驚くべき数字が出てきますね。

西口:顧客の離反率をわずか5%改善するだけで、利益は25%も改善するという「5:25の法則」です。

 ここまでインパクトが大きい理由は、2つあります。一つは、先ほどの「1:5の法則」の通り、既存顧客は維持コストが低いため、売上がそのまま利益に直結しやすいこと。もう一つは、長く使い続けてくれる顧客ほど、利用額が増えたり新しいサービスを試してくれたり、他の方に紹介してくれたりと、1人当たりの利益貢献度(LTV)が高まる傾向にあるからです。

「5:25の法則」顧客離反率を5%改善すれば、利益が25%改善される
「5:25の法則」:顧客離反率を5%改善すれば、利益が25%改善される

MZ:既存顧客の満足度を少し上げるだけで、会社の利益構造が劇的に変わるのですね。

西口:はい。これは、金融でいう「複利」の効果に似ています。毎月数%ずつ顧客が定着していくと、その差は1年後や3年後、5年後には新規獲得だけではとても追いつけないほどの圧倒的な事業基盤の差となります。

 ここまで3つの法則を駆け足で紹介しました。いずれも経験則ですし、数字はあくまで象徴的なものではありますが、傾向としては事実だといえます。つまり、仮に新規がどんどん獲得できていても、既存の離反が多いと極めて損失が大きいと感じていただけると思います。継続的な事業成長とは、既存顧客を維持しながら、そこに新しい層を加えていくことなのです。

MZ:派手なプロモーションで一気に売上を伸ばすよりも、地道に顧客の不満を解消して離反を5%減らすほうが、はるかに重要だということですね。

西口:その通りです。派手なプロモーションで得られる売上は、ほとんどが「悪い売上」だったりします。マーケティングの真髄は、顧客の心を捉えるクリエイティビティと、このような数字のリアリティを両立させることにあると思います。

マーケターの役割は、顧客の信頼という「資産」を積み上げること

MZ:全3回の連載を通して、マーケティングが単なる宣伝やプロモーションの実行ではなく、事業成長に直結する活動だとわかりました。新任マーケターであっても、経営や財務に結びついていると意識するだけで、業務への向き合い方が変わる気がします。

西口:よかったです。今回は3回に凝縮したので、長期的な事業成長につながる「良い売上」の可視化や伸ばし方にフォーカスしましたが、並行して一過性の売上に留まる「悪い売上」を減らしていくことも大事です。

 最後に新任マーケターの皆さんへ、マーケティングの仕事は「コストを使うこと」ではなく「資産を積み上げること」だとお伝えしたいです。

MZ:「資産」ですか?

西口:はい。ブランドへの信頼、顧客の継続的な利用、そして「この商品が自分には必要だ」という顧客の確信。これらはすべて、目に見えませんが、一朝一夕では築けない最強の資産です。短期的な売上のために、安売りをしてブランドを傷つけたり、顧客を裏切ったりすると、資産を毀損します。

MZ:目先の数字に振り回されそうになったとき、何に立ち返ればよいでしょうか?

西口:今日の自分の仕事は、1年後、5年後の利益を支える「良い売上」につながっているかを自分に問いかけてみてください。顧客が価値を見出し、喜んで使い続けてくれる構造に寄与しているなら、経営に直結するマーケティングを担っているといえます。

MZ:その積み重ねが、継続的な事業成長を作るのですね。

西口:そうです。マーケティングは、顧客に喜ばれながら会社を強くしていける、非常におもしろい仕事だと思います。手法やテクノロジーは日々進化しますが、顧客の心理と態度変容によって事業が成り立つマーケティングの本質的な構造は変わりません。

 皆さんが、本連載で紹介した土台となる考え方=“OS”を使いこなし、すばらしい価値を顧客や社会に提案することを楽しみにしています。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/05/18 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50679

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