なぜビッグワードが効果的になってきたのか
例えばこれまでは、ユーザーが海外の子会社で利用する複数言語に対応が可能なERPパッケージを検索する場合、「ERP 海外 多言語」のようにニーズに合わせ、より具体的なキーワードで検索することが多かった。しかし、ユーザーが情報を検索エンジンで探すことに慣れるにつれ、「ERP」のようなシンプルなキーワードからでもきちんと然るべき情報を得ることができるようになってきた、つまり、ユーザーの検索能力、もっと厳密に言うと検索情報見極め能力が上がってきていると中島氏は分析する。
また、ネット広告は、テレビ広告や紙媒体などよりも反響が明確に計測できるため、B2B業界においてもネット広告へのシフトが進んでいる。こういった状況下でWEB経由の問い合わせだけではなく、測定対象メディアごとに測定用の電話番号を割り振り、電話バウンドを計測できる「TELカウンター」といったサービスが登場するなど、ROI徹底の動きが加速しており、ユーザーの求めるレベルも年々上がってきている。
問い合わせ率が4ヶ月連続で30%を超えた

商材に合わせた戦略を

このように、IT業界におけるリスティング広告ではロングテールキーワードの効果が低くなってきている。だからといって、ロングテールを一切排除すべきというわけではない。
もちろん、ロングテールが効果的な場合も多くある。例えば不動産物件の広告では、ユーザーが希望している地域を考慮しなければ多数の無駄クリックを誘発してしまうため、「マンション」というキーワードだけでは、あまりに不親切すぎる。最低でも「マンション 吉祥寺」のようなキーワードで広告を仕掛けるべきである。
「ネット広告は我々が考えている以上のスピードで進化を続けています。半年前はこうだったから大丈夫という保守的な考えは捨て、常に新しい傾向を分析し、トライしていくという積極的運用が求められるのだと思います」と中島氏はWebマーケティング業界の現状に対して苦言を呈した。