ロングテールはビジネスでは「使えない」理論である
今日も新製品の売り方の相談があった。相談者が持参するマーケーティング・プランには、CGM、PGM、ホリスティックなど、Web2.0風の用語が散りばめられている。「キーワード広告への出稿。ロングテール手法の活用」といった言葉も盛り込まれている。
一方、そのキーワード広告の第一人者であるコンサルタント滝井秀典氏のニュースレターには、次のように書いてある。
今年の春ぐらいから、「ロングテール」という言葉が流行しだした。
巷でいわれているロングテールとは、「今までは売れ筋商品20%が売上げの80%を占めていたが、ネットの世界は物理的限界がないのであまり売れない商品をたくさん並べた方が売上げがいい」という理論である。
(よくわからない人は、無理して理解しなくていい。どうせ使えない理論だから)
今回では「ロングテールはビジネスでは使えない理論である」という主張を述べていく。では、はじめよう。
「使える」理論、「使えない」理論
私は、「ロングテールはビジネスでは使えない」と述べた。ならばまず「使える/使えない」という言葉を定義しておこう。有名な「80対20の法則」を題材にして考えてみることにする。読者の中にもご存じの方は多いだろう。
80対20の法則:
「成果の8割は、活動の2割から産み出されている」
仕事の成果の8割は、費やした時間の2割から生まれる。売上の80%を産み出しているのは、20%の製品、20%の顧客、20%の社員だ。不良品の80%は、工場内で生じている不具合すべてのうちの20%を原因としている。この世の富の80%は、20%の人間に握られている。etc, etc …。この法則をはじめて知ったとき、最初は意味がつかめず「?」と思ったが、しばらくして「!」になった。そして頭が突然開けたような思いがした。
「80対20の法則」は、元々はイタリアの経済学者、ヴィルフレド・パレートの学説にもとづいている。実際はパレートは「80対20」という表現は使っていなかったようだが、この法則は、ビジネスで(人生で)実に使える法則である。「80対20」の一言だけで、いろいろなことが見えてくる。
「まんべんなく努力するのではなく、一点に集中することが重要」
「最小の努力で、最大の成果を上げることを目指す」
「仕事はえらぶべきだ」
「社員は、製品は、顧客は、平等ではない」
「世の中は平等ではない」
仕事に優先順位がつけられないとき、問題のどこから手をつけたらよいかわからなくなったとき、八方美人になってしまいそうなとき、「80対20、80対20」と唱えると、行動の指針が見える。
この法則は実用価値が高い。現象を描写するだけでなく、次に何をするべきかをわからせてくれるからだ。これが「使える」法則だ。現象を描写する「だけ」の法則は、たとえ真実であっても「使えない」法則である。
では問題の「ロングテール」について考えてみよう。ロングテールは、はたして使える法則なのか?