20XX年のマーケティング像
そして、湯川氏がもう1つ注目しているのが、facebookやmixiなどにおける個人やコミュニティの属性を活用した「ソーシャル広告」である。
既に、モバイル広告のadmobは、facebookからユーザー属性情報を受け取り、それに基づいて属性にあった広告を配信している。たとえば「男性でスポーツ好き」という属性に対して、サッカーの広告が掲載されるというわけだ。さらに、facebookから無料で提供されているのも「連携」という意味で画期的だという。そうしたもちつもたれつの関係によって、今後はすべてのものがつながってくることが期待される。
さらにテクノロジーの進化によってPCを飛び越え、日常的に接するあらゆるもの、バーやカジノ、電車、エレベーターなどがメディアになる可能性を秘めている。中でも湯川氏が注目するのが、ウォルマートやベストバイなどの「店舗内デジタルサイネージ」である。米国で6000店、2億5000万人の購入寸前という瞬間に目にとまるとなると、メディアとしてあなどれない。
しかも、外の天気の動向を認識し、モニターから見ている人を分析して、合致した情報を変えることもできる。いや、将来顧客のPOSデータと連携するようになれば、もっと細やかな広告表示ができるようになるだろう。
こうしたことから、店舗内のデジタルサイネージは2年以内に急成長し、5年以上に市場規模でテレビを抜くといわれている。もちろんモバイルなどのツールも含めれば、もっと早い時期になることは明らかだ。
「広告~販売」という一本道から、広告やWeb解析、CRM、POSといったあらゆるシステムが複雑につながり合っていく。そうした大掛かりなパラダイムシフトが起きつつあるということなのだろう。
その中で、日本は日本人ならではの細やかなマーケティングがあり、それを連携プロセスに載せていくことによって大きな強みとすることができるという。特にモバイル分野では世界をリードしており、実験的な試みが可能な土壌にもある。湯川氏は「日本で培われたマーケティングの考え方」が世界的なスタンダードになる可能性について触れ、多くの聴講者に強い励ましの言葉をおくった。
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