「アクセス解析」はこれからが本番
「SiteTracker」といえば、Webマーケティングに有効なアクセス解析ツールの定番としておなじみだ。同製品はこれまで、エー・エス・アイ株式会社(旧アスキーソリューションズ)が国内総販売代理店として同製品を取り扱っていた。しかし、7月1日のエー・エス・アイの民事再生手続開始申立を受け、株式会社アセンディアに事業譲渡された。
アセンディアのネットビジネス事業部 企画サービス部のマネージャーである外立貴宏氏は、「事業譲渡は7月31日に正式決定しました。『SiteTracker』の販売やサポートといったサービスの継続を行うにあたり、私たちはまずエー・エス・アイからアセンディアへの契約切り替えを最優先に進めました。現在のところ特に問題なく移行が進んでいます。開発元の米UNICA社とのSiteTracker販売契約も、すでにアセンディアに移行されています」と語る。
老舗サービス事業者から見たアクセス解析の今
事業譲渡によってアセンディアブランドとなった「SiteTracker」だが、アクセス解析の背景と現状はどのようになっているのだろうか。
「『SiteTracker』は、Webサイトのアクセスログを解析したいという提供者側からのニーズによって、12年前に登場しました。テキストの羅列であるログを解析することでWebサイトへのアクセス傾向を知ることができます。当時は『何名のアクセスがあったか』という程度でしたが、現在ではマーケティングツールとして認識されています。
アクセス解析を行うことで、特定のユーザーがどこからそのWebサイトにやってきたか、どのページを閲覧して、どんな商品を購入したか、どこで離脱するのかがわかるようになります。これによって、たとえばアクセス数が減っている場合の原因を調べるなど、サイト運営の課題を発見して対策を講じられます。また、最近一般的になったリスティング広告と組み合わせることで、より詳細な解析が可能になり、マーケティングにも活用できるようになっています。
最近の傾向としては、Webサイトのリニューアルやキャンペーンサイトの公開に大規模な予算を投入するケースが増えており、失敗が許されません。そのため、事前に十分な効果測定を行う必要があり、アクセス解析もより精度の高いものが求められています。
また、携帯電話向けサイトのアクセス解析のニーズも高まっています。携帯電話の場合は、携帯電話独特の特性や、キャリア、機種ごとに仕様が異なり、ユーザを特定してサイト内での動きを追うことが難しくなっています。しかし、携帯電話からWebショップなどを利用するケースも増えているので、重要なマーケットとなっているのです」(外立氏)という。
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より直感的に使えるユーザーインターフェイス
Webマーケティングを実践する上で、もはや無視できない存在となった、アクセス解析のニーズに対し、有償、無償に限らず多くの製品やサービスが提供されている。このような状況の中で「SiteTracker」の強みはどこなのか、うかがってみた。
「『SiteTracker』の強みは、実績と機能、それに使い勝手の良さだと思います。現在のバージョンは『8』ですが、これまでに培ったノウハウやユーザーからのフィードバックを盛り込んできたことで、わかりやすく使いやすいツールとなっています。
特にバージョン8では、『ドラッグ&ドロップ インターフェース』によって、より直感的に使えるようになっています。また、『メトリックス』機能によってフィルタ設定やクロス集計、解析項目などのレポート項目を自由に追加、削除できるようになりました。これによって、ひとつのレポートをさまざまな角度から分析できます。
さらに、グラフをクリックすることでより詳細な情報を表示するドリルダウンも可能になっていますので、個々のデータの深い分析ができ、コンサルティング用途にも有効です。アクセス数の向上だけでなく、コンバージョン率をアップできることも特徴のひとつです。
アクセス解析ソリューションも、確かに多くの製品やサービスが提供されており、機能や目的、思想もさまざまです。しかし『SiteTracker』は特定の訪問者の動きを追うことに力を入れており、この点では他の追随を許さないと思っています。ASP型のサービスもありますが、特定のルートを決める必要があったりコンサルティングが入ることがあり、ツールに合わせたサイト作りをしなければならないケースも多くなっています。これでは本末転倒ですよね。」
Google Analysticの裾野を広げる意味では歓迎
さらに、コストメリットについて外立氏にうかがった。
「『SiteTracker』は、ソフトウェアとしてライセンス販売しており、製品サポートも次年度から本体の20%程度のコストで利用できますので、ランニングコストは低く抑えることができます。ASP型のサービスでは、サイトがヒットしてアクセス数が多くなると金額が劇的に高くなることがありますが、『SiteTracker』ではそのような心配がありません。
『Google Analystic』などは無料でアクセス解析できますが、裾野が広がることはいいことだと考えています。それぞれのツールに利点や不得意な点がありますからね」という。また、現在のユーザーについては、特に多い業種はなく、役所や自治体を含むほとんどの業種にまんべんなく利用されている。また最近では「指名買い」も多く、「SiteTracker」が認知されてきたことが実感できるという。
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今後は「ライトタイムマーケティング」への対応も
アセンディアではまた、10月より「SiteTracker」のオプション製品として「SiteTracker 携帯サイト解析オプション」の提供を開始している。この製品は株式会社エクサージと共同で開発したもので、携帯電話向けサイトの訪問者の行動解析を実現するオプションとなっている。「携帯電話向けのサイトでは、携帯電話のキャリアごとの特有の仕様が原因で、正確なレポートを出すことが困難でした。
たとえばNTTドコモの場合は、ページを移動するごとにIPアドレスが変わります。このためユーザーの経路を取ることができません。ユーザーが5ページ閲覧しても、5人のユーザーがアクセスしてきたとしか解析できなかったのです。
しかしエクサージとの共同開発によって、NTTドコモの場合でも経路を追いかけることが可能になりました。具体的には、サーバーにモジュールを追加することでログにセッションIDをつけていきます。
この方法なら、IPアドレスが変わっても追跡でき、正確なユーザー数を把握することができます。NTTドコモは仕様が特殊ですが、他の携帯電話でも移動中で基地局が変わるとIPアドレスが変わります。携帯サイト解析オプションでは、これらの問題を解決しています」と語る。
最後に、今後の展開についてうかがってみた。「今後は、携帯電話向けサイトへの対応を、さらに充実させていきたいと考えています。最近の携帯電話は機種固有の番号があったり、クッキーを使える機種が多くなっています。PCには当然ながら機種固有番号はありませんが、PCと携帯電話を判別して、携帯電話の場合にはユーザーエージェントに固有番号を付加するなど、「SiteTracker」ひとつで複数の環境に対応できるよう、現在構築中です。
また、最上位エディションである「Premier」にデータモデルエクステンションという機能があるのですが、この機能を使ったデータベースの拡張を考えています。具体的には、他のデータベースのデータを「SiteTracker」に読み込む機能で、現在、技術検証を進めています。データベースの種類によってインデックスの揃え方が異なるなど、相性の問題があるのです。
これをクリアできれば、たとえば会員制ECサイトを持つ企業の場合、会員IDとデータベースの情報を紐づけることができます。そうすると、ユーザーの性別や年齢、時間帯などによって販売の傾向を分析できるため、ライトタイムマーケティングが可能になります。特定のユーザーに対して、最適なタイミングでプッシュ広告を配信するといったことができるわけです。
アクセス解析の新たな活用法も登場
なお最近の傾向として、アクセス解析ツールをイントラネットで利用するケースが出てきています。これは主に大企業や自治体ですが、社内システムにWebシステムを利用している場合に、利用状況を監視したり、コンテンツ内容や文言の適格性を確認したりすることを目的とした使い方です。内部統制などのからみですね。今後はこのような活用法への対応も模索していこうと考えています。
「SiteTracker」は12年の歴史を持ち、インターネットの黎明期から存在するアクセス解析ツールである。12年の歴史について、外立氏に聞くと「実は、初年度の販売本数は0本なんですよ。そこから12年間続けていられるのは、ユーザーのみなさんのおかげだと思っています」と語る。その機能と性能、使い勝手の良さは、大企業や自治体を含むユーザーの多さからもわかる。
事業譲渡によって提供元ブランドが変わったが、まずは「アセンディアが提供するSiteTracker」の認知を広めていきたいという。新規サイトやリニューアルに大規模な予算が割かれる現在、一度SiteTrackerによるアクセス解析を試してみてはいかがだろうか?
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