登録データを利用してマーケティングに活かす
店舗とネットの連携については、まず「電子クーポン」が紹介された。店舗内の所定の施設で、フェリカ機能を持つ携帯電話を使って「電子クーポン」をダウンロードすると、そのまま店内で使用できる。10周年記念イベントなどの施策としても人気が高く、購買に直結することから今後も継続していく予定だという。
また、2つめの施策として、メンバーズポイント制度の共通化が紹介された。2007年以前の未登録制の店舗専用メンバーズカードを廃止し、新しく登録制の共通カードのシステムを導入。登録制にすることによって、顧客属性や購買履歴といったデータが得やすく、そうしたデータの分析により「HMV KIOSK」という店頭機械にメンバーズカードをかざすと、商品推奨リストやおすすめコンテンツなどが表示されるようになる。また、登録データを利用して、定期的にメールマガジンを配信しており、全体の6割というモバイルへの配信には特に、一人ひとりのニーズへの対応を目標としておいているという。
雨宮氏は「モバイルはPCよりいっそうパーソナルなツールであり、HMVが目指すお客様一人ひとりに合わせたマーケティングを実現する有効な手段の1つになるだろう」とその期待を口にする。
商品軸からユーザー軸のマーケティングへ
プロモーションについても、モバイルに対する期待は高い。旗艦店である渋谷店とオンラインショップの設立10周年を記念したイベントにおいては、モバイルとの連携による施策を多数展開したという。その方法としては、まず起点となるPCサイトとモバイルサイトを立ち上げ、フジロックなどのイベント会場からの生レポートなどのコンテンツをPCとモバイルで閲覧できるようにした。アーティストからの動画メッセージも両方から閲覧できる。こうしたリアルな情報提供によって、HMVやアーティストへの親密性を高めるというわけだ。
雨宮氏は最後に、「これまで商品を軸にしたマーケティングやプロモーションが当たり前だったが、今後はユーザーを軸に転換し、よりパーソナルなアプローチが出来るよう取り組んでいきたい」と、今後の戦略とその意気込みを述べ、「特にモバイルについてはその傾向を強め、より一人ひとりのお客様が楽しめて購入しやすいものにしていきたい」と抱負を語った。
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