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“相似形”で考えよう!マーケティング脳を鍛える10のレッスン

レッスン2 確実に勝つ、その“方法”とは?~有利なポジショニングに身を置く~

 格闘王になりたいのなら、仮に体格が小さくても、体格差のハンデを負ってしまう相撲ではなく、柔道のような体重別に階級のある競技を極めるという考え方ができましょう。打撃系格闘技の中でも蹴り技に自信がなければ、キックボクシングを選ぶのではなくてボクシングでパンチ技に磨きをかけて頂点を目指すのが賢明なのかもしれません。

 このバトル・ルールは、スポーツマンシップのために存在するのでしょうけど、せっかくですから最大限に利用したいものです。それは、バトル・ルールは、使い方によってプレイヤーの力を大きくも小さくもする魔法だからです。つまりプレイヤーが、仮に弱点を持っていたとしても、バトル・ルールを有効に活用すれば、ハンディキャップを帳消しにできるのです。

 それどころか、自分に都合の良いバトル・ルールを選択したり、場合によっては創り出すという発想を持てば、チャンピオンにもなれる道が開けるはずです。

 例えば、総合格闘技にはいくつかの人気団体がありますが、それぞれのチャンピオンからは、それぞれの団体のカラーを感じ取ることができます。

 バトル・ルールが異なれば、不利にも有利にもなります。残念ながら、ある団体のチャンピオンが別のルールの団体ではそのスペシャリストに歯が立たないというのは、よく見受けられるシーンです。逆に自分に合ったバトル・ルールの下で闘えば、それは大きなアドバンテージになるのです。

必殺技づくりのススメ

 どの種目の格闘技を極めるか、それを判断することは、マーケティング上、どの市場で戦っていくかを決めることに似ています。見方によっては、私たちのビジネスにおけるマーケティングは、格闘技を極める方法を探るのと同じ作業であることが言えるでしょう。

 ただし大きく異なるのは、私たちは大抵の場合、第三者的な審判や、ルールを設定する主宰者が不在という条件の下での戦であるということです。誰もルールをつくってくれません。従って、自分のマーケティングの戦いにおいて、自分なりの“バトル・ルール”を設定することがとても重要になってくるのです。

 けれども闇雲にバトル・ルールをつくっても意味はありません。ルールづくりの際には、その“バトル・ルール”の中で、自分がどのような“必殺技”を持ち得るのか、ということを意識しなければなりません。
 まさに、先ほどの格闘技の例と同じです。関節技なのか、絞め技なのか、それとも打撃技なのか…。自分なりの必殺技を磨き上げていくことは、すなわち自分たちが、戦う相手とどのような差別化をしていくのかを考えることなのです。

 ちょっと分かりにくいかもしれませんので、例をあげて考えてみましょう。あるインターネットのブーケ屋さんが以下のようなバトル・ルールを設定したと仮定しましょう。

インターネットのブーケ屋さんのバトル・ルール
  1. インターネット経由で、ブーケのカスタム・オーダーの受注
  2. 全て注文があってからブーケを手作り
  3. 大手フラワーショップの同等品より20%安い
  4. 注文から24時間以内に配送
  5. お届け先は、東京・神奈川限定

 この5つのルールにはこのブーケ屋さんの姿勢がよく表れています。<受注><生産><配送>という、自分のお店にとって最も重要な3つのファンクションをよく意識した上で、どのようなビジネスを展開したいのかが表現されているのです。
 さらに、日本全国では商売しない、というところにある種の潔さも感じます。北海道や沖縄に届けない(または、届けられない)ことは、お客さんの全体数を減らしてしまうという“機会の減少”を意味することになりますが、これを弱点と考えるのではなく、配送エリア限定というルールの中で最大限に特徴を打ち出し、売上を上げていこうと割り切っているのです。

 そして、インターネットに特化することで、価格やスピードを“必殺技”の一つとし、大手フラワーショップに勝負を挑もうとしていることが分かります。

 いかがでしょうか? 自店の特長を把握した上で、バトル・ルールを設定しただけですが、これだけでもこのインターネットのブーケ屋さんが、非常に特徴がある、魅力的な店舗に見えてきませんか? 

 バトル・ルールづくりの効能はまさにその点にあります。自分たちのビジネスに対して、やる気やひらめきを与えてくれる作業なのです。何と言っても、自分たちにとって有利なルールでの「戦の挑み方」を考える、極めて創造的な作業なのですから。マーケティングは、当事者である自分たちがワクワクしないと、そのプランニング自体に意味がないのです。

【レッスン2-1】
「あなたは、何屋さんですか?」。上の例を参考にしながら、自社の商品・サービスはどのようなバトル・ルールで戦いをするのか、さまざまな視点から書き出してみましょう。その際に、自社の“必殺技”も意識してください。

次のページ
お客様視点で考える“バトル・フィールド”

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この記事の著者

東急エージェンシー 神通 靖彦(ジンヅウヤスヒコ)

理系出身のマーケティング・プランナーを目指し、総合広告会社(株)東急エージェンシー入社。マーケティング局、デジタルマーケティング局などを経て、現在、ナレッジセンター所属。
広告主と一緒にマーケティング、戦略、ブランド議論などを効果的に行う新しいカタチを開発・提供中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/01/30 15:00 https://markezine.jp/article/detail/648

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