動画配信にまつわる問題を解消するサービス「Deliver-spice!」
動画を中心とする大容量コンテンツの配信サービスに対するニーズはますます高まっているが、ここで問題になるのが、アクセスが集中するコンテンツを、いかに安定的に、また、リーズナブルなコストで配信できるかどうか。
例えばキャンペーンサイトでは、ウェブサイトへのアクセス数が予測しづらく、動画コンテンツへの急激なアクセスの増加でサーバがダウンすることも珍しくないが、これは広告主にとって大打撃。せっかくのユーザーを取り逃がしてしまうのだ。
また、動画コンテンツの配信に用いられる通常のCDN(Contents Delivery Network)サービスは従量課金制。アクセスが伸びればコスト負担も増すため、予算管理が難しいのも問題だ。大きな反響を集めたことを、素直に喜べなくなってしまう。
ところが、このような動画配信にまつわる問題を解消するサービスがあるという。それが、スパイスボックスと、通信技術開発のHoster-JPが共同で提供する「Deliver-spice!」だ。ここでは、スパイスボックスの工藤暢久氏、Hoster-JPの山田隆史氏、伊野露起氏に、「Deliver-spice!」の概要、さらに技術的な背景について尋ねてみた。
数多くのナショナルクライアントをはじめ、企業サイト・キャンペーンサイトの制作を行うスパイスボックスでは、高まる動画配信へのニーズに対して、頭を悩ませていたという。
「当社が制作を担当するキャンペーンサイトでは、動画を活用したものも多いのですが、短期間で大量のアクセスが集まった場合の対応には、いつも頭を悩ませていました。動画の配信には、CDNと呼ばれるサービスを利用することが多いのですが、通常これは従量課金制。人気を集めたキャンペーンでは、多くの費用がかかってしまいます。場合によっては、配信のための予算を確保するためにコンテンツ制作費用を削らなくてはいけない、なんてことも考えられます。ですので、安定的な動画配信を安価に提供できれば、たいへん良いサービスになると常々考えていたのですが、そんな中で知ったのが、Hoster-JPが持つ、グリッドコンピューティングを応用した大容量コンテンツ配信技術でした」(工藤氏)
一方で、グリッドホスティングなど高度な技術で知られるHoster-JPも、自社のサービスを効果的に使ってくれるパートナーを探していたという。
「私たちが持つグリッドコンピューティングの技術を、サービスに落としこんでいただける企業を探していたので、スパイスボックスとの協業は、嬉しい出来事でした」(山田氏)
異なる長所を持つ2社が協業して提供する「Deliver-spice!」。Hoster-JP テクニカルマネージャーの伊野氏は、その特徴を次のように挙げる。