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第4回 あなたの会社が90日で儲かる―感情マーケティングでお客をつかむ


お客が感じる価値を高める方法

 海外旅行に行ったとき、免税店で「ネクタイ三本買うと、もう一本無料!」というキャンペーンがあったとする。しかしよく考えてみよう。「ネクタイ三本買うと、もう一本無料!」。それはイコール「ネクタイ一本、25%引き」である。だが、お店ではそのようには売らないのだ。なぜだろうか。

 答えは簡単だ。「一本無料」と謳ったほうが「ネクタイ一本25%引き」よりもレジに並ぶ率が高いという実証データがあるからなのだ。

 スーパーの新聞の折り込み広告を思い起こして欲しい。「本日タマゴ1パック100円!お一人様一品限り!」というようなコピーは誰もが目にしたことがあるだろう。そして購買に走った人も少なくないだろう。これを先ほどのダイコンの話に置き換えれば、まったく同じ商品でも、「本日13時までに限り90円!」としたほうがお客が感じる価値が高くなっているということなのだ。ネクタイの例も然りである。つまり、お客が感じる価値と、その商品の絶対的な価値とは「値札が一致しない」のである。そう、感情マーケティングとは、「お客が感じる価値」を高めるマーケティング手法なのである。

 また神田氏は、「お客の感情はメカニカルに動く」ということも、ポイントとして本書の中で取り上げている。

 一見、人間の感情を動かすことは困難に見える。しかし、上記の例でも挙げたように、ポップひとつ、キャッチひとつで購買率があがる、つまり感情マーケティングは「機械的」に成り立つということなのである。

 そして、このように広告への反応の数値を追っていくことで、意外なことにお客の感情というのは非常にメカニカルに動いているということがわかるのだ。

まだ、ムダ金を航空券に使いますか?

 先に「メカニカル」という言葉を使ったが、これは、神田氏いわく、「あるスイッチを押せば、お客は機械のように予想された行動をとる」ということである。

 そのスイッチとは、例えば人間関係。営業と顧客の関係だ。

 とある治療院が、チラシに治療院の名前、住所、電話番号、地図をのせていた。しかし反応はサッパリだ。そこで、店主はチラシに「人間くささ」を出すことにした。スタッフの顔写真、コメント、お客様の喜びの声…。するとどうだろう。それまでに比べて40倍のも反応があったのだった。理由を一言で言えば、この「人間くさいチラシ」が、お客に対して安心感や信頼感を得ることができたからである。

 まず、お客は治療院に行こうと思ってチラシを一枚手にしたときに、様々な疑問や不安を持つ。「痛くないだろうか」「腕は良いのだろうか」「値段に対して効果はどうなのか」…。そういう不安面を、「人間くさいチラシ」で取り払ったのである。つまり、お客の感情的な反応を起こすことが極めてマーケティング的には重要なのである。

 ここまで、事例を取り上げつつ感情マーケティングにの概要について簡単に説明してきたが、さらにもうひとつ事例を出そう。それは、航空会社のニ種類の新聞広告である。以下のキャッチコピーを見て欲しい。

  1. 経費削減にはまず航空券から。航空券予約前に、まずご一読を。
  2. まだ、ムダ金を航空券に使いますか?

 この広告は、他の文面・デザインはほぼ同一。扱う商品も同一。違うのは上記のコピー面だけである。さて、どちらが広告効果があるだろうか?

 答えは明らかだ。実際、2.のほうが10倍もの問い合わせがあった。

 繰り返しになるが、この広告が販売しようとした商品は、まったく同じものである。しかし、表現の違いだけでお客からの電話の数が10倍にもなるのである。これが、感情マーケティングのパワーである。一瞬にしてお客の感情をメカニカルに操作し、売れる仕組みを作ることができるのである。

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神田昌典氏について

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この記事の著者

田中 とかげ(タナカ トカゲ)

1979年うまれ、東京育ち。 大学生の頃より執筆活動を開始。ネット関係の記事を主に執筆。 メインは編集。デザインもたまーに。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2006/07/12 21:15 https://markezine.jp/article/detail/66

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