顧客主導の市場で生まれた「顧客経験価値」という考え方
提供側主導だった時代は終わり、いまは顧客主導の時代。お客様が何を考えているのかをきちっと把握していかなければ、どんなに良いものを作っても受け入れられなかったり、すぐに陳腐化してしまう。商品開発力とスピードだけでは生き残れない時代に必要なのは如何にブランドを作り、維持するか。お客様がなんらかの情緒的・感情的価値を感じ、企業から離れていかない状態を作り出すことだ。
「早く、ニーズに即した製品・サービスを作ることは、当たり前の時代になりました。それ以外の価値をどれだけお客様に感じていただけるか、それが他社とのアドバンテージになる」と語る高橋氏。そこから出てきた考えが「顧客経験価値」だ。
「顧客経験価値」とは、お客様が商品を買うまでの経験に対する満足度や、買った後の感動や余韻を大きくすることが大事で、その積み重ねが企業に対するロイヤリティを創るという考え方。その、投資効果などでは説明が付かない価値を如何に提供するか、どうやって提供し続けていくかが「顧客経験価値マネジメント」だ。
「顧客経験価値マネジメント」は、データを分析することから始まる。ただし、従来の手法と異なるのは、データから顧客の感情をどうやってモニタリングするかという点だ。
「CRMの場合は、取引があった際のトランザクションデータなどを元に運用しますが、経験価値ではそのデータをそのまま使うことはできません。現在は、Webの中でお客様がどのような行動をとったかというリッチなデータを集めることができます。しかし、そのリッチなデータも、お客様の感情を表現したものではありません。データから類推していくことで感情を読み取ることが必要になるのです」と、高橋氏。
その感情の類推や予測をSASは統計やデータマイニングの技術を駆使して実現し、顧客がどのような経験価値を感じてくれているかを測っている。
「顧客経験価値マネジメント」を実践するためのインフラを提供
顧客が高い経験価値を感じていると言えば、ディズニーやアップルという企業名が頭に浮かぶ。しかし、それらのやり方を自社にあてはめるのは難しい。
自社の事業モデルにあった顧客経験価値マネジメントの仕組みを導入することが、重要だ。また、高橋氏が顧客経験価値マネジメントのポイントだという「チャネルの垣根を越えてデータをやりとりし、整合性がとれた意思決定を支援する仕組み」も、SASが提供している。
3月27日に開催される、MarkeZine Day Premium 2009の講演では、顧客経験価値マネジメントの実践的なアプローチと、組織として顧客経験価値マネジメントを実践していくためのインフラの詳細が紹介される予定だ。
「従来のマーケティングを支えていた経験と勘を、科学的に理解して次のマーケティングに活かす。経験と勘を、企業の資産として次に引き継がれる形で残していくことが重要」という高橋氏。敷居が高いと感じるデータ活用だが、その実践が求められる時代に入ったいま、「顧客経験価値マネジメント」へのニーズはより高まるのだろう。
SAS Institute Japanの高橋氏の講演は14:40~となります。こちらからご確認いただけますので、詳細を聞きたい方はぜひご来場ください。