多変量テストの流れ
1.各表示要素を制作する
ツールを使う前に、まずは登録する表示要素をそれぞれ作成しよう。
当たり前だが、2つ以上の出し分け候補がある表示要素が対象となる。テキスト、画像、表組み、Flash…、出し分けたいものに制限はない。注意したいのは、HTMLの一部分を差し替えるだけで出し分けができるように制作する点だ。出し分け候補の内、それぞれ1つずつはHTMLファイルの該当部分に記述しておき、残りは別のテキストファイルに記述しておく。
差し替え予定部分の行頭/行末にコメントを入れておくと、一目で分かりやすく、後々便利だ。
また、HTML文書構造に問題があるとテスト実施時に予期しない表示を引き起こし、テストどころかビジネスに大きなマイナス影響を及ぼすので慎重を期してもらいたい。
2.多変量テストの登録
Webサイトオプティマイザーにログインして、新しい多変量テストの登録ページへアクセスする。
今回は、Webサイトオプティマイザーの導入部分については割愛する。まだ当ツールを一度も利用したことがない場合は前回コラムを参照いただきたい。登録画面でA/Bテストと同様の項目を入力して次に進む。
次にタグ設定を行おう。出し分けしたい表示項目のコード前後に指定のタグを設置する点が、A/Bテストと異なっているが既にA/Bテストをお試しいただいている読者なら問題なく設置できるはずだ。
指示どおりにタグを挿入したら、検証ボタンを押して正しく反映されていることを確認する。問題が無ければ次へ進めるようになる。多変量テスト独特の、出し分け要素の登録画面だ。もともとHTMLファイル内に記述しておいた要素は「オリジナル」という名称で自動的に登録されている。ここで事前にテキストファイルに記述しておいた表示要素をそれぞれ登録していこう。
要素を登録し終わったら、次の画面で内容の最終確認をする。すべて組み合わせパターンをプレビューして、表示がされているか、崩れていないか、必ず確認しておこう。
余談だが、筆者は初めのうちは全然うまくいかず心が折れそうになった。原因はクライアントから支給されたHTML文書構造に微妙な間違いが合ったことだった。このような場合でもきちんとプレビューでチェックをしていれば大きな問題にはならない。十分なチェックを行ったら、「いますぐ実行」を押してテストを開始しよう。
後は必要なサンプル数が集まるまでテストを続ければよい。筆者の場合は、A/Bテストと同様に各組み合わせごとに100コンバージョンを獲得、もしくは10000回の誘導のいずれかの達成が終了の目安としている。
3.レポートの確認
テストを開始してすぐの段階は数値がかなり不安定だが、それでも1日1回はレポートを確認してもらいたい。毎日確認していく中で、コンバージョンが低迷し続けている「見込みのない組み合わせ」というのが相当数見つかるはずだ。
毎日確認する目的は、これらの「早期無効化」のためだ。組み合わせのレポートページで簡単にできるから、テスト期間を短くまとめるためにもマメに行おう。
多変量テストではこの他、ページのセクション別レポートも確認できる。これがなかなか面白い。
このレポートの中にある「関連性の評価」という指数は、ユーザーの意志決定への影響度を5段階で評価している。この指数がゼロの場合は、ユーザーの気持ちとしては下記のいずれかと考えられる。
- a.どの表示要素も同じくらい魅力的
- b.どれも、どうでも良い情報しか書かれていない
- c.そもそも目にとまっていない
b.c.だと改善の余地がある。b.ならテキストの改善、cならデザインの改善につなげられる。改善視点で考えるとa.に落ち着いてしまうのが1番きつい。このように、セクション別レポートを読み解くことで、さらなる改善へとつなげることができる。
4.テストの終了
十分なサンプル数が集まったら、最も性能の高いページで表示を固定しよう。これで1回のテストが終了となる。
最後に、Webサイトオプティマイザーを効率的に利用するコツ
前回、今回でWebサイトオプティマイザーの基本的な使い方のご案内をさせていただいた。この2つのテストを継続的に使いこなしていけば、コンバージョンレートを倍にすることも不可能な話ではない。
ポイントは「継続的に使えるか」という点だ。継続的に、連続してテストを行うには、テストの経過や結果から新しい仮説をすぐに立てるクセをつけることが重要だ。Webサイトオプティマイザーでは「追加テスト」をスムーズに行う機能も用意されているから、これも活用してもらいたい。
1回の改善で得られる効果はあまり大きくはないかもしれないが、塵も積もれば山となる。1年間こまめに続けていれば驚くほどの効果を上げるだろう。同時にあなたのWebプロデューサーとしての力量も上がっていることだろう。その時は、いろんな意味で弊社までぜひご連絡をいただきたい。