SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

Web心理マーケティング入門

親はなぜ、「付き合う友達を選べ」と言うのか

無意識のうちに2ちゃんねる風な文体に

 所属している学校であったり会社であったり、さらにはその中の部活やサークル・部署などの考え方・モノの捉え方などが、知らず知らずに影響されているのはよくあることだ。

 そして、ある集団に対する依存度が高ければ高いほど、その見方や感じ方は本人が気付かないうちに反映されていく。それは、例えば自社で運営しているメディアのユーザーや、ECサイトの会員においても適用される可能性は高い。

 例えば掲示板で有名な「2ちゃんねる」というものがある。

 そのサイトへ朝から晩まで毎日、閲覧や書き込みを行えば、2ちゃんねる風の見方や感じ方に、好むとも好まざるとも少なからず影響されていくだろう。

 そんな事があるのかと思う方もいるかもしれない。しかし、スレッドにもよるが別々の人間が書き込んでいるにも関わらず、2ちゃんねる独特の書き込み内容やシニカルさなどから、ユーザーが影響を受けていると言えるのではないだろうか。

 もっとも、我々はさまざまな集団に帰属しているため、ある1つの影響だけを受けているわけではない。

「あの子と遊んではいけません」は同調を避けるため

 親が子供に対して、「あの子と遊んではいけません」であるとか、「付き合う友達を考えなさい」などと忠告する場面が。人として正しいかどうかはここで論じるつもりはないが、その親の方針を考慮した場合あながち的外れな話ではないのかもしれない。

 集団や他者からの影響を、どのように、どの程度受けるのかという実験は他にも数多くある。S.E.アッシュの行った集団への同調の実験(線分実験)も興味深いので紹介しよう。

 S.E.アッシュは、ある線分を最初に見せ、その線分と同じ長さのものを選んでもらうという実験を行った。以下の図を見ればわかるが、もちろん回答は2の線分となる。

 通常では1%に満たない誤答率の極めて簡単な問題だが、被験者以外にサクラを使い、そのサクラがわざと誤答をすると、被験者の誤答率も平均で32%に跳ね上がるという結果となった。

集団による圧力下では、誤答率が上昇し集団への同調を生みやすくなる
集団による圧力下では、誤答率が上昇し集団への同調を生みやすくなる

 もちろん、すべての被験者に同調が見られるわけではない。自分の能力や価値観に絶対の自信を持っている人は影響を受けづらく、集団の影響を多大に受ける人は自信を欠き、判断が曖昧になる傾向になるようだ。

単純作業は誰かに見られながらやった方が効率が上がる

 もう1つ紹介しよう。

 Web業界だけに関わらず、仕事に応用できるかもしれない面白い実験の1つに、N・トリプレットが行った「社会的促進」と呼ばれる実験がある。

 1人で釣り糸をリールに巻き取るといった単純作業を行った場合と、傍らにもう一人、つまり二人で同じ巻き取る作業を行った場合では、一人で単純作業をするよりも、二人で各々単純作業を行った方が作業効率は上がるのだ。

 その後、調査を続けていくと同じ作業をするのではなく、ただ傍らで見ているだけで作業の効率が上がる事がわかった。これは「観衆効果」と呼ばれている。

単純作業は、二人でやるもしくは見ているだけの人がいる中でやる方が効率が上がる傾向にある
単純作業は、二人でやるもしくは見ているだけの人がいる中でやる方が効率が上がる傾向にある

次のページ
作業効率が上がるパターンと下がるパターン

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
Web心理マーケティング入門 連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

原田 学史(ハラダ タカフミ)

株式会社クリエイティブホープ 取締役CMO Webコンサルタント
中央大学卒業 1976年生まれ 神奈川県出身
大学在学中に起業し、1996年より海外からアパレル・雑貨を中心とした商材を仕入れ、国内でネット通販事業を開始。大学卒業後、現GMOインターネットに入社。現在に至るまで一貫してWeb業界に籍を置き、クラ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2009/04/24 15:00 https://markezine.jp/article/detail/7079

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング