無意識のうちに2ちゃんねる風な文体に
所属している学校であったり会社であったり、さらにはその中の部活やサークル・部署などの考え方・モノの捉え方などが、知らず知らずに影響されているのはよくあることだ。
そして、ある集団に対する依存度が高ければ高いほど、その見方や感じ方は本人が気付かないうちに反映されていく。それは、例えば自社で運営しているメディアのユーザーや、ECサイトの会員においても適用される可能性は高い。
例えば掲示板で有名な「2ちゃんねる」というものがある。
そのサイトへ朝から晩まで毎日、閲覧や書き込みを行えば、2ちゃんねる風の見方や感じ方に、好むとも好まざるとも少なからず影響されていくだろう。
そんな事があるのかと思う方もいるかもしれない。しかし、スレッドにもよるが別々の人間が書き込んでいるにも関わらず、2ちゃんねる独特の書き込み内容やシニカルさなどから、ユーザーが影響を受けていると言えるのではないだろうか。
もっとも、我々はさまざまな集団に帰属しているため、ある1つの影響だけを受けているわけではない。
「あの子と遊んではいけません」は同調を避けるため
親が子供に対して、「あの子と遊んではいけません」であるとか、「付き合う友達を考えなさい」などと忠告する場面が。人として正しいかどうかはここで論じるつもりはないが、その親の方針を考慮した場合あながち的外れな話ではないのかもしれない。
集団や他者からの影響を、どのように、どの程度受けるのかという実験は他にも数多くある。S.E.アッシュの行った集団への同調の実験(線分実験)も興味深いので紹介しよう。
S.E.アッシュは、ある線分を最初に見せ、その線分と同じ長さのものを選んでもらうという実験を行った。以下の図を見ればわかるが、もちろん回答は2の線分となる。
通常では1%に満たない誤答率の極めて簡単な問題だが、被験者以外にサクラを使い、そのサクラがわざと誤答をすると、被験者の誤答率も平均で32%に跳ね上がるという結果となった。

もちろん、すべての被験者に同調が見られるわけではない。自分の能力や価値観に絶対の自信を持っている人は影響を受けづらく、集団の影響を多大に受ける人は自信を欠き、判断が曖昧になる傾向になるようだ。
単純作業は誰かに見られながらやった方が効率が上がる
もう1つ紹介しよう。
Web業界だけに関わらず、仕事に応用できるかもしれない面白い実験の1つに、N・トリプレットが行った「社会的促進」と呼ばれる実験がある。
1人で釣り糸をリールに巻き取るといった単純作業を行った場合と、傍らにもう一人、つまり二人で同じ巻き取る作業を行った場合では、一人で単純作業をするよりも、二人で各々単純作業を行った方が作業効率は上がるのだ。
その後、調査を続けていくと同じ作業をするのではなく、ただ傍らで見ているだけで作業の効率が上がる事がわかった。これは「観衆効果」と呼ばれている。
