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モバイル・マーケティング・エッセンス

iPhoneよりギャル誌に学べ!
モバイルサイトに取り組むための心得とは?

読者モデルや芸能人ブログに見る「親近感」

 では、モバイルサイト利用者を理解するには、何が必要とされるのだろうか? 連載第1回で触れた通り、モバイルサイトは“若い女性”が積極的に利用する傾向がある。なのであれば、若い女性が接しているものからヒントを得るのが一番だろう。

 若い女性が接しているものは多岐にわたるが、中でも“女性ファッション誌”は、モバイルサイトに携わる上で参考になる要素がたくさん詰まっている。例えば、雑誌上に「読者」として登場する、いわゆる“読者モデル”。彼女らの持つアイテムや言動によって、読者の消費行動が左右されることが多い。ではなぜ、読者モデルが支持を集めるのかというと、彼女達は基本的に、芸能事務所などに所属していない一般人に近い存在であるため、“等身大”で“身近”な存在だからである。4マスの影響力がかつてほど大きくない昨今では、テレビの芸能人や企業の宣伝・広告に距離感、嘘臭さを感じてしまう傾向が強くなっている。だが等身大で距離が近い読者モデルの言動は、信頼性が高いものとして受け入れられているのだ。

 同様の傾向は“芸能人”にもいえる。いわゆる“芸能人ブログ”が人気となったのは、ブログに個人的な内容を記すことで、“遠い世界”であるテレビに出演している芸能人との距離が身近に感じられるようになったことが大きい。しかも本連載の第3回で触れたように、携帯電話は極めてパーソナル性の高いツールであることから、相手に対する親近感が強まりやすいモバイルサイトと、こうしたブログは非常に相性がよい。芸能人のブログに力を入れている「amebaブログ」(サイバーエージェント)のPV数が、2009年3月にモバイルがPCを上回ったというのが、それを証明しているといえよう。

 パーソナル性の強いモバイルサイトにおいては、読者モデルや芸能人ブログのように“距離の近さ”が求められ、それが信頼につながる傾向が強い。それゆえモバイルのユーザーに対しては、上から目線で“押しつけ”“ばらまき”をするのではなく、ユーザーに対して同じ目線で接し、彼(女)らの意見を聞き、対話して真摯に取り入れる姿勢を持つことが重要になるのだ。

▲amebaブログのPV数推移
(サイバーエージェント・2008年第三四半期決算資料より)

モバイルが理解できないなら、理解できる人を活用する

 こうした姿勢を取るには、モバイルサイトに積極的に接したり、利用者から直接話を聞いたりするなどして、ユーザーの行動や考えを理解する必要がある。モバイルサイトで成功を収めている企業やサービスであるほど、こうした努力をしているということを忘れてはならない。

 とはいえ、モバイルサイトに興味関心がなく、ツールとしてしかモバイルサイトに触れていない人にとって、モバイルサイトに積極的に接し、その気持ちを理解するというのは簡単なことではないだろう。ではどうすればいいかというと、答えは簡単だ。モバイルサイトをよく理解している人を連れて来ればいいのである。

 モバイルサイトは、若い人であればあるほど利用頻度が高い傾向がある。それゆえ若い社員であるほどモバイルの“皮膚感”を身につけている可能性が高い。なのであれば、若い社員をモバイルサイトの運営チームに積極的に組み入れ、彼らの意見を聞く、あるいは企画・運営を任せるなどした方が、感覚のズレが発生する可能性が少なくなる。

 無論、人に任せたからといって自らはモバイルについて何も学ばなくてよいという訳ではない。モバイルに対する理解を進めるためにも、詳しい人から話を聞くなり、モバイルサイトを閲覧するなどして、ある程度モバイルの皮膚感を身につける努力は忘れないようにしたい。

 今回の内容をまとめると、以下のようになる。

  • モバイルサイトに取り組むには、PCに縛られずモバイルの視点を持つ努力が必要
  • モバイルサイトに求められるのは親近感。ユーザーとの対話姿勢を大事にする
  • 自分のモバイル知識・経験が少ないなら、より詳しい若い人などを積極活用する

 繰り返しになるが、モバイルサイトに取り組む上では、モバイルサイト利用者の気持ちを理解し、彼らの目線に立つこと重要だ。そのためには普段からモバイルサイトに接するのはもちろんだが、筆者がお薦めしたいのはファッション誌、中でもモバイルサイトのコアターゲットに近い層が触れている、いわゆる“ティーンズ誌”“ギャル誌”を読むことである。これらにはモバイルサイトを積極利用する層の考えや、連携方法などについて学ぶべき要素が多く詰まっているので、どのような層をプロモーション対象とするかに関わらず、ぜひ一度目を通してみて欲しい。

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この記事の著者

佐野 正弘(サノ マサヒロ)

エンジニアとしてゲームや携帯コンテンツなどの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターへと転身。若者のケータイ文化からスマートフォンまで、携帯電話に関する多くの著書を手がけるほか、講演やテレビ等へのコメント等も行っている。近著に「Touch Diamond&Touch Pro 入門ガイド」(翔泳社)「ケータイで稼ぐアフィリエイト 最新情報版」(技術評論社)など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2009/06/30 13:00 https://markezine.jp/article/detail/7577

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