カート離脱者へのフォローメールで高い反応を獲得
同じく訪問者の行動履歴をベースにしたメールで効果をあげているのが、ベビー用品のECサイト「diapers.com」だ。
このサイトでは、カート離脱者へリマインド目的のメールを送る施策が成功している。2007年のMarketingSherpaや2008年のmarketliveの調査では、50%~60%の訪問者がカートに商品を入れたものの、購入に至らずに離脱しているという結果が出た(参考リンク:InternetRetailer.com「Cart abandonment rises as online shoppers compare prices, MarketLive says」)。
カート離脱の主な要因としては、「セッションが途切れるといったテクニカルな要因」や「競合サイトとのコスト比較のため」といったことが考えられる。サイトとしては、いつまでもカート内の情報を保持しているとデータが溜まる一方なので、カート状況の保持期間を短めに設定しているところが多いが、一方でカートに商品を入れるということは、ある程度購入意欲の高い顧客である可能性が高いため、フォローすることでの効果を期待できる。
diapers.comの顧客の場合、育児中であるため、落ち着いてPCの前に座っていられないことも考えられる。これに対する施策として、カート離脱後の一定期間にフォローのメールを送信。メールにあるURLをクリックすると、離脱する直前の状態のページから購入プロセスを再開できるようになっている。このフォローメールは他のメールキャンペーンと比べて129%の反応があり、メール内の各URLのクリック率も24%と高い結果となっている。
同じようにカート離脱者へのフォローアップに着目した施策を行っているケースとして、バッグ専門のECサイト「eBags」がある。このサイトでは、会員登録していない人でもメールアドレスさえ登録しておけば後から購入手続きを続けられる「Save your Cart」フォームを用意している。これにより、サイトはフォローメールを配信でき、ユーザー側には「商品を買いそびれて一から選び直し」という状態を回避できるというメリットを提供している。
POINT : サービスとしてのフォローメールを心がける、毎度の値引き注意が必要
こうしたフォローメールでの注意点として、販促っぽい内容ではなく、あくまでも『まだ注文の処理が完了していません』といった通知サービスとして送ることが重要です。一定のデータ保持期限を設けて告知するのも、購入の後押しをするうえで必要だと思います。
また、毎回値引きをしないという点もポイントです。毎回行うと、ユーザーが必ず値引きがあると思い、適正な価格での販売が難しくなってきますので。「たまに」の値引き案内は、クリック率を上げるには効果的だと思います。
カート離脱者への取り組みは、企業様の方で、カート離脱者の情報をご用意していただければ、弊社のMailPublisherでも実施することが可能です。消費者の中にはメルマガを嫌がる人もいるので、サービスの一環としたフォローメールなどを使ってメールの活用範囲を広げていただければと思います。今後、こうした施策を自動化していけるかどうかが、メール配信システム開発における重要なテーマの1つになっていくと思います。
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