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多様化するモバイルビジネスの「リアル・チャンス」をさぐる! mobidec2009レポート

スマートフォン、twitter、ソーシャルアプリ、そして・・・
キーマン達が予測する2010年のモバイル業界

twitterとソーシャルアプリはコミュニケーション形態を変えるのか

 その後、テーマは「日本でtwitterが米国のように普及するか」に移った。

 ドワンゴの川影氏は、情報収集メディアとしての有用性から肯定の立場をとる。従来、自分自信にとって有益な情報を集めるためには、さまざまなニュースサイトやブログの横断など、少なくない労力を費やす必要があった。しかしtwitterを活用すれば、情報発信が好きなtwitterのフォロワーが次々と「すごいパス」を出してくれる。ツイートを追うだけで、さまざまな業界の重要ニュースをつかむことができてしまう。

 ゼンリンデータコムの藤沢氏も肯定派。アプリの開発者が公式には出せないぼやきなどをつぶやくことによって、ユーザーの意見を吸い上げるなど、顧客サポートにtwitterが使えているからだ。

 一方、モデレーターであるKLabの真田氏は否定派だ。米国で流行したチャットがさして受け入れられなかったことから分かる様に、「日本人はリアルタイム性があるものはあまり好きではない」と見るためだ。日本人が求めるコミュニケーションには、ケータイメールのリアルタイム性で十分だ。

 ただし、真田氏もtwitterが1対Nのメディアとしては普及すると見ている。Amebaが黒字転換したのは有名人ブログの集客力にあるわけだが、twitterにも同じ現象が期待できる。その意味で、真田氏は、「アメーバなう」に注目しているという。

ソーシャルアプリ

 次の討論テーマは「ソーシャルアプリ」。アプリケーションを開発・公開できるプラットフォーム「mixiアプリ」がスタートし、破竹の勢いでユーザー数を伸ばしているmixi。例えば育成ゲーム「サンシャイン牧場」の登録者は3百数十万人にも上る。

 アイフリークが2009年10月に投入した「ミクプレ」は、氏名・住所・メールアドレスを知らないマイミク(mixi会員)にリアルなプレゼントを贈ることができるmixi唯一の物販アプリだ。しかし、物販のアプリをダウンロードしてもらうためのハードルは高い。そこでアイフリークでは、さまざまな仕掛けを準備しているところだ。

 ザッパラスも10月から占いの「ミク×ミク診断」を配信。座談会当日朝の時点で33万人がダウンロードされている。杉山氏は「コミュニケーションの底流にあるのは共通項探し。占いはその導入剤になり得る」と、占いとソーシャルアプリの相性の良さに注目する。現在は無料だが、2010年度に向けて有料版を出す予定だ。

 現時点で、未参入のゼンリンは位置情報を活用したソーシャルアプリを検討しているところだ。一方、音楽をメインにしたコンテンツを販売しているドワンゴでは、ソーシャルアプリをビジネスで活用する切り口を見つけるのは難しいと判断している。

 また、ソーシャルアプリ関連ビジネスを別方向から見ているのがKLabだ。「いいゲームの作成と、サーバーの安定運用に求められる能力は違う」ことから、高負荷を分散するサーバーの構築と運用ノウハウを提供する形で関与していく。

ますますビジネス環境が厳しくなる2010年にどう立ち向かうか

 「成熟するモバイルコンテンツビジネスで伸びしろがある分野とは?」という問いに、ザッパラス杉山氏が挙げたのは、女性向けの健康管理サイトなどの生活情報系だ。サービスの分母がまだまだ小さいため、伸びる余地が残っている。ゼンリンデータコムの藤沢氏が取り組もうとしているのは、新たな地図情報のソーシャルビジネス。現在の地図サービスは、探すべき場所が決まっている人を対象にしているのに対し、新サービスでは行き先の決定をサポートする。

 ドワンゴの川影氏が実現すれば面白いと考えているのは、ダウンロードしたFlashのコンテンツからサイトにジャンプできたり、コンテンツ同士で通信ができるようなモデルだ。構想は興味深いものの、コントロールが及ばなくなる可能性のある通信サービスをキャリアが認めるのは難しいだろう。アイフリークの永田氏は、新製品の新機能依存で新サービスが伸びるモデルは、購買意欲が落ちている現在では難しいと見る。それでも既存サービスでビッグタイトルが生まれ、伸びるというセオリーはまだ死んでいない。

 最後のテーマは2010年のモバイル業界予想と抱負だ。全員に共通しているのが「2010年はモバイルビジネスにとって厳しい年になる」という認識だ。ザッパラスの杉山氏が新ビジネスのキーワードとするのが、プラットフォームのオープン化だ。ゼンリンデータコムの藤沢氏は、音声認識など、生かされていない基礎技術を使った新しいユーザーインターフェース(UI)に注力し、ドワンゴの川影氏もUI改革による新しいプロモーション戦略を打ち出す。アイフリークの永田氏の注目ポイントは、独自の集客力の確立と、魅力あるコンテンツのさらなる投入だ。

 KLab真田氏は「2010年はソーシャルの年になる」との見方を示す。「SNSのユーザー数がキャリアのポータルを凌駕し、1999年にスタートしたiモード以来、10年ぶりのビッグ・ウェーブが来る」と花火を打ち上げ、mobidec2009における座談会が終了した。

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この記事の著者

久原 秀夫(クハラ ヒデオ)

フリーランス/ITライター

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/01/16 11:00 https://markezine.jp/article/detail/9339

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