販売主体がDSPか自分かで帳簿内容が異なる
それでは特商法の表記ごとの帳簿内容を確認してみましょう。
<A方式>
条件:特商法表記における販売主体がDSPになっている
卸値:50円 売値:100円
(1)販売している商品が売れて報酬額が確定した場合
未収金 50/受取手数料(収益)50
(2)DSPから指定口座に報酬の入金があった場合
現金預金(資産)50/未収金 50
A方式の場合は、基本的にアフィリエイと報酬と同じ形式になるため、販売主体であるドロップシッピングサービス提供企業にお客さんを送るお手伝いをしたとみなされます。
(1)は、「販売している商品が売れて報酬額が確定した場合」の仕訳ですが、実際に入ってくる額だけを見ることになるので、売値と卸値の差額、つまり、卸値に上乗せした部分が手数料収入となります。ただし、ここでは報酬額が確定しただけであり、手元にお金が入ってきたわけではないので、「後でもらえるお金」ということで、借方に未収金をたてます。
(2)は、「DSPから指定口座に報酬の入金があった場合」の仕訳を表しています。後でお金がもらえる権利(債権)である「未収金」がなくなったかわりに「資産」として現金預金が入ってきます。

<B方式>
条件:特商法表記における販売主体が自分自身になっている
卸値:50円 売値:100円
(1) 販売している商品が売れた場合
仕入(費用)50/買掛金(負債)50
売掛金(資産)100 /売上(収益)100
(2)DSPから指定口座に入金があった場合
現金預金 100 /売掛金 100
買掛金 50/現金預金 50
(1)は「販売している商品が売れた場合の仕訳を表しています。上の仕訳は、DSPからの商品仕入とそれに対する債務(後でお金を払わなくてはならない義務)である「買掛金」で構成されます。仕入額はDSPが最初に商品データを提供する際の卸値(50円)になります。2行目の仕訳は、商品が売れたことによる売上と、後でお金を受け取ることができる権利(債権)である「売掛金」で構成しています。ここでのポイントは、商品が売れた時点でDSPからの仕入れとお客さんへの売上が一気に発生するところです。
(2)は「DSPから指定口座に入金があった場合」の仕訳になります。最初の1行目で売掛金の消失により現金預金が100円入ってきていますが、DSPに対して仕入額である50円(卸値)を支払う必要があるため、現金預金が50円貸方に移動し減額しています。最終的に受け取ることができる金額は50円になります。
ここでは、順番に100円の現金預金が入ってきて、仕入額の50円を支払って…という形になっていますが、実際にはDSP側で処理され50円のみの直接入金になります。あくまでもわかりやすくするために仕訳を分解しています。

さて今回は会計に触れたことがなかった方にとっては、少々難しいかったもしれませんが、ぜひとも簿記の構造を理解して、ドロップシッピング取引の記帳をマスターしていただければと思います。
本表記は、あくまでも帳簿記帳の際の一例及び参考です。実際の税務相談は最寄りの税務署及び顧問税理士にお伺いください。