広告施策/最適な商品供給でアクティブ会員を急増
次に、EC各社の大きな課題となっている、購入金額のアップについて聞いた。決算資料によるとZOZOTOWNの「アクティブ会員1人あたりの年間購入金額」は、43,988円となっており、前年度同期の50,409円と比べると、購入金額が低下している印象を受ける。なお、同社が定義するアクティブ会員とは、過去1年以内に1回以上購入した会員を指している。

さて、購入金額の低下という結果だけ見ると、顧客離れが起こっているかのように見えるが、それは早計だ。同社は、効果的な広告宣伝施策と効率的な在庫供給により、新規、もしくは復活アクティブ会員の獲得に成功している。


つまり、端的に言えば、いままでは、ZOZOTOWNの世界観にマッチした“音楽好き”“洋服好き”なヘビーユーザーが大半を占めていたと仮定すると、それ以外のライトユーザーの利用が増えていると予想できる。当然、ライトユーザーはヘビーユーザーに比べると、購入点数、金額も少なくなる可能性が高く、そういった背景から購入金額が減っていると推測できる。
また、購入金額の低下要因は外部要因にもある。原因の1つとしてファストファッションの流行で価格帯が大きく下がり、メーカーやブランド側が単価を下げた点が挙げられる。
しかし、ZOZOTOWNのアクティブ会員数は総会員約200万人中約80万人となっており、勢いはこれまで通りを維持をしていると考えてもおかしくはないだろう。

また、ZOZOTOWNではZOZOPREMIUM(ゾゾプレミアム)というサービスの提供を開始しているという。同サービスの会員になれば
- ZOZOTOWNの商品を販売開始前に購入できる権利獲得が可能なファストチケットの発行
- 予約商品を注文すると商品価格の5%をZOZOPOINTで還元
- 年2回のセール情報を優先的に案内
といったサービスが受けられるようになり、購入金額アップ施策の一環として実施しているようだ。
すべて自前の物流システム
一方、利益率をアップさせるためのポイントとなるのが物流だ。
決算資料によると出荷件数推移は967,533点と前年同期比で32.2%増と急増しており、それを支える物流ノウハウをどのように構築しているのか、は気になる点だ。

その質問を前原氏にぶつけたところ「基本的に物流に関してはコメントNGです」と前置きしつつ「倉庫をアウトソーシングしていないことが強み」というヒントを明かしてくれた。また、「代表が創業時から手書きで伝票を書いて梱包・発送していた頃からのノウハウ蓄積が大きい」とも語り“すべて自前”で物流管理をしていることがキーだと語った。

システムについても“自前”の自社運用をしており「問題が発生した場合にすぐに改修でき的確な対応が可能」だという。なお、商品の管理についてはバーコードで全てをデータベース化して管理しているとのことであった。
ZOZOTOWNの物流倉庫は本社拠点と同じく千葉にあるのだが、千葉にはAmazonの物流倉庫があることでも有名だ(参考情報:Amazonプレスリリース)。同社に接点はないが、お互い千葉に倉庫を持つという点は奇妙な偶然と言えるだろう。