MarkeZine(マーケジン)

記事種別

検索の概念を変え、“探しあう”楽しさを提供
「NAVERまとめ」の開発担当者のお仕事ぶりを拝見!

 ネット業界の仕事といっても、どんなものなのか、何ができるのか、なかなか外部の人間にはわかりにくいもの。そこで、今をときめく「あの会社」で生き生きと働くキーマンを「職種」にクローズアップしてご紹介いたします。第18回は、インターネット検索サービス「NAVER」を展開するネイバージャパン株式会社で、人気の「NAVERまとめ」を担当する石田雅宏さんのお仕事についてうかがいます。【バックナンバーはこちら】

ミッション:「NAVERまとめ」を支えるバックエンドを最適化する

 2009年7月に日本での事業展開を再開したネイバージャパン。世界シェア5位、韓国では堂々のNo.1シェアを誇る検索サービス「NAVER.com」を母体に、日本でも積極的な事業展開を行なっている。従来の検索サービスがキーワードによるシステム型のアプローチであるのに対し、NAVERはユーザー参加型による「探しあう」方法で情報を検索する手法を加え、より目的にマッチした検索を実現しようとしている。さらに、検索の効果を多面的に高めるために、多様な情報領域の検索結果を1つの画面で提供する「統合検索」や、キーワードを入力しなくても気になる条件で人物や映画、自動車などを検索する「スマートファインダー」など、ユニークなサービスを続々と展開している。

 その中でも1、2位を争う人気を誇るのが、「NAVERまとめ」である。このサービスは「知りたいことを探しあい、その経験・知識をまとめて共有する」ということを目的にしており、あるユーザーが設定した任意のテーマに対して、他のユーザーが情報を持ち寄ってまとめページをつくっていく。さらにユーザーが集まった情報で特に役に立った情報に対して評価を行うことで、より有用な情報が上位に来る仕組みとなっている。

 この「NAVERまとめ」のバックエンドの開発を手がけているのが、今回ご紹介する石田雅宏さんである。

 「『NAVERまとめ』は、1つのテーマに対して、たくさんの人々が情報を寄せ合い、情報の価値を評価することで、よりテーマに最適な情報が集まってくるというサービスです。一見、集合知という意味ではWikipediaに似ていますが、広く誰もが参加できるということが大きな違いです。そのためには、特に高いITの知識を必要とせず、誰でも簡単に操作ができて、さらに、サイトを触っていて楽しいと感じてもらう必要があります。そこで、仕組みとしてもインターフェイスにしても、リッチでわかりやすく楽しいものを目指しています」

 従来の検索サービスがシンプルな”検索窓”のみであるのに対して、NAVERのインターフェイスは整理されつつもリッチでツールとしての魅力に溢れている。「NAVERまとめ」も同様にユーザーが情報を持ち寄るという意味で、よりいっそうのユーザビリティが求められるというわけだ。なお「NAVERまとめ」は、母体である韓国では提供されておらず、あくまで日本オリジナルのサービスである。

 「韓国で提供しているサービスの“単純なローカライズ”という作業は、まったく行なったことがないですね。ネイバージャパンでは日本のユーザーの声をリサーチし、耳を傾け、その中から必要と思われるものを検討し、実現していくといった方法がとられています。企画を支えるために『使いやすさ』と『楽しさ』は重要事項。さらには、ユーザーの意見・要望に答えて対応していくスピードには全社的に強く意識しています」

 「使いやすく」「楽しい」サービスを、スピーディに構築していく。そのために、ネイバージャパンでは徹底的な分業制が敷かれている。

 「ユーザーの声を『企画チーム』が拾い上げ、それをもとに企画として挙がってきたものをスピーディに実現していくのが、製作チームの役割です。インターフェイスをつくるデザイン&コーディングチーム、画面上での動的な処理を担当する部署であるAjaxチーム、そして私が所属するデータベース周りの処理や各種バックエンド処理を行なう開発チームに分かれており、それぞれからメンバーが選出され、プロジェクトチームとなって課題に取り組みます。プロジェクトマネジメントツールが導入されており、各人の進捗状況や不具合の状況などがリアルタイムに共有できるので、『知らなかった』などのコミュニケーショントラブルもなく快適ですね。」

 「ちなみに、これらの連携・開発手順は、アジャイルソフトウェア開発手法の1つであるスクラム方法論に則っています。詳細は割愛しますが、スクラム方法論は変化に柔軟で意思決定がはやく全体を把握しやすく、Webサービスにおいてユーザーの声を素早くサービスに反映するために最適な手法です。プロジェクトマネジメントツールの利用も、ツールに従うのではなくスクラム方法論を実現するために利用しているにすぎません。」

 プロジェクトが決まると、「プロジェクトマネジメントツール」に選別されたメンバーが登録され、ぞくぞくと情報が届き、自らも情報を登録していくことが求められる。また、メンバー同士ではメッセンジャーが飛び交い、密なコミュニケーションをとりながら急ピッチでアイディアが実現されていく。

 目標を共有し、密な連携や打ち合わせを、マネジメントツールやメッセンジャー、メールを巧みに使いながら行っていく。しかし、やはりコミュニケーションは「会うのが一番」という。

 「社内のカフェが充実しているので、そこで打ち合わせしたり、メッセンジャーで『これから相談に行っていいですか?』と聞いてから、直接机にまで出向いていって打ち合わせしたりします。もしかしたら、2~3時間に1回は打ち合わせしているかも(笑)。マネジメントツールやメールは細かく履歴を残すべき時には便利ですが、やっぱり人と合うことでわかることって多いと思うんです」

 こうした分業制、そして綿密な連携力、それがネイバージャパンの強みなのだろう。石田さんもかつてはその明確な分業制にとまどったこともあったというが、慣れてしまえば、自分の役割に集中できるシステムに満足しているという。

 「一例として、ネイバージャパンにはAjax(JavaScript)専属チームがありますが、これは他社では珍しいことです。NAVERのようにリッチでユーザーが使いやすいサイトを作るには、インターフェース寄りの開発の比率も大きくなるため専門のチームを設けているんです。以前勤めた会社では、お客様へのヒアリングから、企画、インターフェイス、そしてデータベースまで任されることが多く、それはそれで手応えがあったので面白かったのですが、どうしても各フェーズについて深掘りできていないような感覚もありました。しかし、今は自分の持ち場に集中することができるので、エキスパートとしてバックエンドの品質を高めることにすべてを費やすことができます。同じようにメンバー全員が自分のできる限りを尽くすことで、全体の品質も上がるように感じます。」

 分業制というと、どこか冷たいシステマチックな印象を持ちがちだが、こと石田さんを取り巻くネイバーのメンバーについては、その効果がプラスに働いているようだ。その秘訣はなんだろう。石田さんはその答えとして、スクラム方法論などの仕組みの他に、「社員一人ひとりのモチベーション」をあげる。

 「おそらくバックボーンとして“挑戦”が好きな気質の人間が集まったんだと思います。NAVERは韓国ではインターネット検索シェアの7割を占め、世界でも5位の検索サービスですが、こと日本ではまだまだ挑戦者。そこにあえて席をおくのは、『“検索”の概念を変えたい』という気持ちがあるからではないでしょうか」

 おだやかな口調ながら、“挑戦者”であることへの気概が感じられる。そんな石田さんは、日々どのような業務に取り組んでいるのだろうか。(次ページへ続く)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • プッシュ通知を受け取る

All contents copyright © 2006-2019 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5