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Omniture Summit 2010総力レポート

オムニチュア内のマーケターが実践している、“お手本”のようなマーケティングワークフロー


オンラインマーケティングの成功に必要な5つの信条

 続いて同氏は、オムニチュアのオンラインマーケティングの取り組みにおいて重要視している5つの信条を順に紹介した。

1. 売上目標に紐付いた戦略的マーケティング

 オムニチュアでは、単なるページビューやリード獲得数ではなく、売上や売上原価に対してマーケティングチームが責任を持っている。B to Bのビジネスでは、一般的にリード獲得がマーケティングの重要な役割になるが、オムニチュアではリードをさらに、「MQL(Marketing Qualified Lead)」、「SAL(Sales Accepted Lead)」、「SQL(Sales Qualified Lead)」に細分化し、指標化している。

  各施策においても、売上にどれほど貢献しているのかを重視している。つまり、検索キーワード1つの購入が、最終的に売上にどれだけ貢献しているのかをマーケティングチームが指標にしているというわけだ。これらは、B to Cの業態では既に当たり前の考え方だが、製品やセールスプロセスに多くの人が関わり、クロージングまでのサイクルが長いB to Bでは、なかなかそこまで効果を追跡して測定することは難しかった。しかし、テクノロジーの進化により、ようやく実現可能になり始めている。

各指標のセールスプロセスにおける関係性
マーケティング予算からインプレッション、レスポンス・・・とより成約確度の高いリードになる
営業がアプローチできるリードになった段階で、営業チームに引き渡す
各指標のセールスプロセスのおける関係性

2. 重要なマーケティング指標と仮説を、ファイナンスとセールスチームで共有

 オムニチュアでは、前期のマーケティング予算と活動の成果を、ファイナンスチームとセールスチームでレビュー・共有し、今期の売上に対する貢献度をコミットしている。これには、企業の売上に対するマーケティング活動の貢献度を明確に数値化することで、マーケティング活動の予算化がスムーズに行えるというメリットがある。

 前述のとおり、B to Bではこれまでマーケティング活動からセールス完了までのプロセスを数値化することが困難であったが、昨今のテクノロジーの発達によりプロセスのトラッキングが可能になった。トラッキングする際には、上記のマーケティング活動の指標のほかに、「売上、平均客単価、マーケティングコンバージョンレート、セールス完了率、セールスサイクルなどの指標も共有するとこが大切だ」とチェルドゥティ氏は語る。なお、オムニチュアでは、新規顧客&パイプラインからの売上の約40%が、オンラインマーケティングにより開拓されているという。

3. ユーザー/サイト訪問者中心のデマンドマーケティング

 オムニチュアではマーケティングを「プロダクトマーケティング」「コーポレートマーケティング」「デマンドマーケティング」の3つに分類している。

 リード獲得をミッションとするデマンドマーケティングチームでは、下記の4つの機能に分けて、それぞれチームを組織している。

デマンドマーケティングプログラムの企画

 セールスチームとともに、新規セールスパイプラインの数やソリューションのターゲットとなるセグメント、インダストリー、見込み客の属性を決定するチーム。また、それに基づいた適切なマーケティングミックスを決定し、各プログラムの予算配分を行う。

プログラムの制作

 ウェビナー、ホワイトペーパー、ベンチマーク調査等のマーケティングプログラムのコンテンツの開発をするチーム。リサーチファームや顧客と共同で魅力的で教育的なコンテンツを作成する。コンテンツは「売り込み」ではなく「教育」をテーマにし、製品のプロモーションではなく、オンラインマーケターの日々の問題を解決するためのヒントやベストプラクティスを中心にコンテンツを作成している。

チャネルオペレーション

 WebサイトのSEO/SME、ディスプレイ広告、メールマーケティング、イベントなどを実行するチーム。ROIを指標としてこれらのメディアミックスを常に最適化している。例えば、昨年はSEOのROIが45ドル(SEOへの投資1ドルあたりで45ドルの売上を獲得)で、ディスプレイ広告を大幅に上回っていたため、ディスプレイ広告への投資の一部をSEOへシフトさせたという。

マーケティングオペレーション

 データベースマーケティングや、オムニチュアの製品群を使って日々のマーケティング活動の運用を行うチーム。前述の「数値化」で挙げた指標のトラッキングから計測、ダッシュボードの作成までを行う。

デマンドマーケティングチームの構成
デマンドマーケティングチームの構成

4. 可能な限り自動化する

 自社やパートナーのテクノロジーを使って、可能な限りオンラインマーケティングを自動化する。効率的に生産性を高めるためには必須の考え方だ。ただし、「テクノロジを導入して自動化することが目的ではなく、有効なマーケティング活動や人材がいて、初めて自動化によるメリットが生まれる」とチェルドゥティ氏は苦言を呈す。従って、良いマーケティング戦略がなければ、良い結果を生むことはない。「チームの強化」「目標の共有」「人材の育成」が、投資としては最初の項目になり、テクノロジーへの投資は最後にするべきだという。

5. デマンドキャンペーンの最適化

 デマンドマーケティングキャンペーンを最適化するために、オムニチュアではリード獲得プログラムのターゲットとして「アナリスト」「オンラインマーケター(B to B)」「オンラインマーケター(B to C)」「エクゼクティブ」の4つのセグメンテーションに分類し、それぞれに最適なコンテンツやプロモーションを提供している。各セグメントを徹底的に研究し、特徴や特性、日々抱える問題をプロファイル化している。

次のページ
実際にどのようなフローで実施しているのか?

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この記事の著者

須賀 正明(スガ マサアキ)

McGill University修士課程卒業(MBA)。ブリティッシュコロンビア州バンクーバーITベンチャーで、M&A戦略の策定、アジアパシフィック地域の事業戦略の策定、市場開拓に従事。2002年よりMacromedia(現Adobe)にて、Flex、ColdFusion、JRunのプロダクトマネージメン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/05/26 20:19 https://markezine.jp/article/detail/9822

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