コミュニティの影響力に注目したマーケティングとは
広告が日々の生活の中で溢れている今、広告に対しては消費者から厳しい目が向けられている。
一方、知人の意見や口コミへの信頼が寄せられている傾向があるので、「仲間(コミュニティ)の行動・選好・影響力(=ソーシャル・インフルエンス)を理解して活用する必要がある」とSAS Institute Japan株式会社ビジネス開発本部CIグループの高橋昌樹氏は指摘。「MarkeZine Day Spring 2010」のセッションで、コミュニティ分析をすることで、影響力のあるインフルエンサーを見つけ出し、精度の高いマーケティングが可能になると説いた。
得意とする予測・分析の技術を基に、SAS Instituteがどのようにコミュニティ分析を行っているのか、またキャンペーンを個別最適ではなく全社最適でプランニングすることでROIを大幅に高められた成功事例をあわせて見ていこう。
ニーズ通りの広告が届いていない現実
(以下、高橋氏) 「MarkeZine Day Spring 2010」全体のテーマである“個客”マーケティングについて、当社の顧客がどんな形で取り組んでおられるのか、その一端をご紹介させていただきます。
最初に「マーケティングの今」ということで、調査データをご紹介させていただきます。ある調査会社による消費者市場調査の広告に関するアンケート結果がこちらになります。ご想像に難くないでしょうが、お客様にとって広告はネガティブな存在になっていることが読み取れます。
企業が期待するほどお客様は優しくないわけですから、お客様のニーズに合ったコンタクトを、お客様が希望する手段・タイミングで実施する必要があるということができます。
また「現在利用している技術やサービスを回答してください」という調査結果によると、リストに登録しておくとテレマーケティングを拒否できるサービスである「テレマーケティング拒否リスト」は67%の人が使っていると回答しています。「何も利用していない」人が15%居ますが、8割以上の人が必要のない広告を排除するために何らかの手段を講じているのが分かります。
もう1つ、「あなたが信頼できる情報源を教えてください」という質問があります。この質問については想像どおり、「知人からのメール」「消費者の評価やレビュー」を優先しています。
初耳の情報ではないと思いますが、いろいろな意味でお客様へのパワーシフトが起きている証拠ではないでしょうか。お客様がいろいろな情報を取捨選択して選別できる状況が起きていると。そういう状況ですので、ソーシャル・インフルエンスを理解して、活用していく必要があるわけです。